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» 2014年08月25日 10時50分 UPDATE

iPhone 6、直前のディスプレイ設計変更でサプライチェーンに混乱か

9月に発表されるとみられるiPhone 6について、ディスプレイの設計が急きょ変更されることになり、サプライヤーに若干の混乱が生じたもようだ。サプライヤーにとってのAppleリスクを浮き彫りにした形にもなっている。(ロイター)

[22日 東京 ロイター]
REUTERS

 来月とみられる米Appleの「iPhone 6」のローンチ前に、重要な部品を再設計する必要が生じてパネルの生産がストップしたため、サプライヤーらは同端末用ディスプレイの確保に躍起になっていると情報筋が語った。

 この問題で製品の立ち上げが遅れることになるのか、初期の販売台数が少なくなるのかは不明という。低価格スマートフォンを販売する競合に市場シェアを奪われる中、Appleは年末のホリデーシーズンに向けて2モデルの大画面iPhoneを準備中だ。

 この問題は、Appleの厳しい仕様に応じるためにサプライヤーが直面するリスクを浮き彫りにしている。これとは別に、大きい方のiPhone 6のディスプレイを薄くするための技術に関する問題が発生したが、既に解決済みという。

 Appleは9月9日にメディアイベントを計画しており、そこで4.7インチと5.5インチの2サイズのiPhone 6──いずれも4インチの「iPhone 5s」と「iPhone 5c」より大きい──を発表するとみられている。

 2人の情報筋によると、ディスプレイを明るくするためのバックライトを再設計する必要が生じたため、6月から7月にかけてディスプレイの製造が停止し、パネル製造もその影響を受けたという。Appleは究極の薄型端末を目指しており、当初は4.7インチ端末のバックライトフィルムを従来の2層から1層に減らすことを望んでいたと、情報筋の1人は語った。4.7インチ端末は5.5インチ端末より先に量産に入っていた。

 だが関係者によると、新しい仕様のバックライトは明るさが不十分だった。このため設計し直すことになり、これに時間がかかった上に一時的にディスプレイの製造を停止することになったという。

 現在生産は再開しており、サプライヤーは遅れを取り戻すためにフル稼働しているとサプライチェーンの情報筋は語った。

 ディスプレイの製造元にはジャパンディスプレイ、シャープ、韓国LG Displayが選ばれたという。

 上記3社もAppleもコメントを断った。

より大きな影響も

 Appleは、新型iPhoneとiPadについてサプライヤーへの厳しい要求で知られている。同社は競争の激しいガジェット市場で高価格を設定するために、抜きん出たデザイン、サイズ、機能を創造しようとするからだ。

 こうした要求は不具合や遅れの原因になる。昨年の「iPad mini Retinaディスプレイモデル」の発売も、ディスプレイの問題で遅れた。

 この問題はまた、売り上げの不安定さにつながるため、サプライヤーにとってはAppleに売り上げを頼りすぎるのは危険であることも示している。

 新iPhone向けパネルの主要サプライヤーとみられるジャパンディスプレイは今月、“ある大口顧客”(アナリストはAppleだとしている)から予測通りの発注を受けたが、出荷は7〜9月期にずれ込むだろうと語った。

 投資家はジャパンディスプレイのAppleへの依存を懸念している。UBS証券は、ジャパンディスプレイの2015年3月期通期の売上高の3分の1以上がApple向けによるものになると予測する。同社が8月7日、予想を下回る第1四半期(4〜6月期)決算を発表した後、同社株価は過去12週間の最安値501円をつけた。

 Appleのサプライヤーやアセンブラーが多い台湾では、新型スマートフォンの立ち上げに向けて工場は出荷を急いだが、7月の輸出は予想ほどには伸びず、Apple関連事業の不安定さを示した。

 iPhoneを製造する台湾Pegatronの広報担当者は「現在、われわれの通信端末の特注部品の供給にやや不足がある。こうした問題はよくあることで、製造への影響はほとんどない」と語った。

 サプライチェーンの情報筋は以前、新型iPhoneのディスプレイのインセル技術(液晶画面を薄くするためにレイヤーを減らす技術)の問題で5.5インチモデルの製造が遅れていると語った。あるディスプレイ業界の情報筋によると、このインセル問題は既に解決しているという。

 韓国Samsung Electronicsや、最近ではXiaomi(小米科技)やLenovoなど低価格端末を販売する中国メーカーに市場の覇権を揺るがされる中、Appleへの際立った製品発表のプレッシャーは高まっている。

 iPhone 6の発表は、Appleの株価上昇への追い風になると見込まれている。同社の株価は好調な第1四半期の業績発表後、30%超上昇し、100ドルを超えた。

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