北海道・礼文島でも豪雨による土砂崩れ 母娘2人死亡
豪雨被害が相次ぎ、広島市では土砂災害の捜索活動が続く中、北海道礼文島で24日午後1時ごろ、大雨の影響による土砂崩れが発生し、住宅1棟が全壊。住人女性2人の死亡が確認された。礼文町役場によると、島内で大雨による災害が理由で死者が出たのは初めて。稚内地方気象台は同日、礼文町などで50年に1度の記録的な大雨が降ったと発表した。
またも豪雨による被害がもたらされた。24日午後1時ごろ、礼文町北部の船泊村チヱサントマリで土砂崩れがあり、無職・石戸谷勉さん(85)の住宅が全壊。妻の妙子さん(81)と長女・富士代さん(55)の死亡が確認された。
稚内署によると、石戸谷さんの家のすぐ裏で高さ、幅それぞれ約50メートルの土砂が一気に崩れたという。石戸谷さんは3人暮らし。救助された勉さんは胸を打つなどのけがを負ったが、意識はある。
札幌管区気象台によると、礼文町では24日午後1時40分までの24時間の降水量が183ミリとなり、観測が始まった2003年以来、最大の降水量となった。稚内地方気象台は同日午前に「利尻・礼文の利尻富士町と礼文町では、50年に1度の記録的な大雨となっている所がある」と発表。礼文町、利尻富士町、稚内市に土砂災害警戒情報を出していた。
礼文町役場は「午前から猛烈な雨が降り、小康状態になったと思った午後に、各地で地滑りが起こった」と当時の状況を説明。島の沿岸部は傾斜があり、土砂崩れが起きやすい地形だが「大雨による災害で死者が出たことは今まで一度もなかった」という。全壊した石戸谷さんの家の近くまで行った住民男性は「昼ごろは、目の前が見えなくなるほどの大雨だった。道路に川のような水が流れていた」と証言した。
同町内では、ほかにも数か所で地滑りが発生。島の東海岸を中心に7地区で避難勧告が出され、住民約80人が小学校などに避難した。女優・吉永小百合(69)主演で公開された12年の映画「北のカナリアたち」のロケセットが保存してある「北のカナリアパーク」も島の東海岸にあるが、こちらは被害はなく無事だった。土砂崩れがあった船泊村でも、映画の数シーンの撮影が行われたという。
◆8月の主な豪雨による被害
▼1日 ゲリラ豪雨で、神奈川県山北町のキャンプ場内を流れる川が増水。一家を乗せた車が流され、母子3人が死亡。
▼9、10日 台風11号。岩手、茨城、岐阜、静岡、大阪、兵庫、香川の各府県で計11人が死亡するなど、広範囲で被害。
▼17日 京都府福知山市などで局地的豪雨。マフラーまで冠水した車に乗っていた男性が、排ガスの逆流による一酸化炭素中毒で死亡。兵庫県丹波市では土砂崩れで家屋が倒壊し、男性1人が死亡。
▼20日 広島市安佐南区、安佐北区で土砂災害。24日までに死者50人。
▼同 福岡県春日市の川に女性が流され死亡。
▼22日 福岡県内の豪雨で、同県志免町の河川の見回りをしていた男性警察官が流され、死亡。
▼24日 北海道礼文島で土砂崩れ。女性2人が死亡。