医療機器や薬の輸出入の状況をみると、日本はどちらも輸入超過が続いている。国が音頭を取る「病院輸出」は貿易収支の改善に寄与するとの期待がある。
Q 日本の医療機器の輸出入の現状は。
A 厚生労働省の薬事工業生産動態統計調査によると、2012年の輸入額は1兆1883億円に上る。これに対し、輸出額は4900億円で約7千億円の貿易赤字だ。
国内で使われる医療機器の約半分は心臓ペースメーカーやカテーテルなどの治療用機器。これらの分野は欧米企業のシェアが高い。身近な医療機器であるコンタクトレンズで輸入が多いのも一因となっている。
Q 医薬品はどうか。
A 同じように輸入超過だ。12年は輸入が2兆8174億円。輸出は1376億円にとどまった。
Q 貿易収支の改善に向けた政府の対策は。
A 現政権は成長戦略で医療技術・サービスの国際展開を掲げている。日本の医療機関が海外に進出すれば、国内メーカーの医療機器や薬が海外で使われる機会が増え、輸出の拡大につながると期待されている。
経済産業省によると、調査段階を含め「病院輸出」計画は約50件に上る。カザフスタンでの高度がん診断センターなど、ビジネスとして成り立つ可能性が高い案件は具体化に向けて動き出している。
Q 医療法人が海外進出する際の規制は。
A 海外で病院を設立するには、進出国の法規制により、現地企業と合弁会社をつくるケースが多い。これまでは医療法人が出資することは原則できなかったが、厚生労働省は3月、海外進出に限って認める通知を出した。ただ出資額は過去の純利益の蓄積である「繰越利益積立金」の範囲内に制限されている。国内での病院経営に支障をきたしてはならないというのが規制の理由だ。
厚生労働省、コンタクトレンズ