中日スポーツ、東京中日スポーツのニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 中日スポーツ > 芸能・社会 > 紙面から一覧 > 記事

ここから本文

【芸能・社会】

没後10年 CDでよみがえる池野成 「牡丹灯籠」音源発掘

2014年8月25日 紙面から

亡くなる3カ月ほど前に撮影された池野成=2004年5月、東京都内の自宅で

写真

 映画「ゴジラ」の音楽で知られる作曲家伊福部昭に師事し、吉村公三郎、山本薩夫、増村保造といった巨匠作品で映画音楽を手掛けた池野成の没後10年を記念したCDが9月10日に発売される。三重県桑名市在住の研究家出口寛泰さん(35)が、生前の交流を元に、オリジナル音源にたどり着いた。

 CDに収録されるのは、「牡丹灯籠」と「妖怪大戦争」。2004年に4枚組CD「池野成の映画音楽」を制作した際、「牡丹灯籠」の音源が判然とせず、収録できなかった。その後、配給会社でマスターテープが発見され、今回初めてCD化。前作にも収録した人気作品「妖怪大戦争」とのカップリングで発売される。

 出口さんによると、「和楽器がおどろおどろしく鳴っていればよいとされていたアナクロニズムに満ちた楽器編成を一蹴した池野のスコアは、現代音楽の方向から、『怪談・妖怪』という素材にあらためて近代的なボリュームを与えた」点で、この2作の音楽は特筆されるという。池野の映画音楽の特色として、トロンボーンに代表される低音楽器群の独特のサウンドと必要最小限まで楽器編成を絞り込む「潔さ」と選択の天才的「的確さ」があげられるという。

 30日からは、東京・神保町シアターで「作曲家・池野成の仕事」と題した企画上映が始まる。先の2本のほか「顔役曉に死す」(岡本喜八監督)、「雁の寺」(川島雄三監督)など16本が日替わり上映される。初日には、出口さんと音楽評論家片山杜秀さんとのトークショーが開かれる。

 <池野成(いけの・せい)> 1931(昭和6)年2月24日、札幌市生まれ。東京音楽学校(現東京芸大)に入学後、伊福部昭に師事。「ゴジラ」で助手を務めた。「嫁ぐ日」で映画音楽を手掛け、「夜の蝶」「しとやかな獣」「黒の試走車」「白い巨塔」など記録映画、テレビ番組を含め約300本の映像音楽を手掛けた。祖父は、世界的植物学者の池野成一郎。04年8月13日没。

 

この記事を印刷する

PR情報

おすすめサイト

ads by adingo




中日スポーツ 東京中日スポーツ 中日新聞フォトサービス 東京中日スポーツ