研究開発は最も重要な差別化戦略の一つです。
以下に紹介する、さまざまな新技術の研究開発、実用化に積極的に取り組んでいます。
改質装置をオールインワン構造にしたメリットは他にもあります。装置内に組み込む反応器間に伝熱体を設けて積層構造にしたため、最高反応温度(約650℃)である改質反応器と、最低反応温度(約100℃)であるCO除去器の2点だけの制御が可能になり、遺失するエネルギーが最小限になったのです。さらにCO変成器とCO除去器の間に、スタビライザー(除湿器)を装着したことで、ガス中の水分の悪影響が少なくなり、CO除去触媒の活性がフルに発揮され、CO除去性能と安定性が飛躍的に向上しました。その結果、改質器出口のCO濃度を安定して1ppm以下に抑えることに成功。業務用PAFCに比べて5000分の1という、極限までの低減を達成したのです。
【図解】シンプルな積層エレメント構造(受賞技術名
「家庭用燃料電池用小型改質装置」)
こうして燃料改質装置の実用化にめどがつき、平成14年頃から燃料電池システムメーカーさんに向けてライセンスの提供を始めました。その前年にはカナダの水素燃料電池ベンチャー企業から引き合いがあり、私はさっそく現地へ。訪問先では改質装置単体で性能確認をして頂く予定でしたが、現地の技術者から「CO濃度が非常に低いので当社の純水素仕様の燃料電池につなげてみよう」と突然の提案。当時、電池本体は相当高価でしたので、改質器のせいで壊すと大変なのですが、「ダメです」とは言えず引き受けてしまいました。しかし、発電準備中は内心は冷や冷やでした。持ち込んだのは手作りのプロトタイプ機ですし、初めての空輸でしたので、気圧差によって装置内に空気が入って触媒が傷んでいないか、とか、振動で内部耐火材が割れたりしていないか、とかいろいろ心配でしたから・・・。結果的には首尾よく発電できて、現地の技術者の方々に「素晴らしい」とお褒めの声をいただけました。この時の安堵感、達成感は今でも忘れられません。(神家)
エネファーム用大阪ガス改質器・改質触媒プロセスに対する社外表彰