ダウンホール(downhaul)
セイルを畳むときにひっぱるロープのこと。
タック(tack)
これはいくつか意味があります。前後のつながりからみて意味を判断しましょう(って、当たり前か)
まず、セイルの中にタックというところがあります。で、そこについているロープもタックといいます。
それから、セイルの開きをタックといいます。右方向から風を受けていたら「スターボードタック」、左方向から風を受けていたら「ポートタック」といいます。
でもって、日本語で言うと「上手回し(うわてまわし)」もタックです。これは風上(ふうじょう)に向かって方向転換を行う方法です。海星ではこのタックの練習がトレーニングの中に入っています。「タッキングプラクティス」といいます。
チェーンロッカー(chain locker)
文字通り「チェーン」をしまっておく場所のことなんですけど、何の「チェーン」なんでしょ?
船が持っている大切な「チェーン」と言えば、錨(いかり)についている鎖(くさり)です。
錨をウインドラス(windlass)という機械で巻き上げると、鎖がチェーンロッカーに入っていくようになっています。
って、普通の船は小人さんがチェーンロッカーの中でチェーンを整理してくれる(つまり自動的に)のだけど、海星では人が入って、チェーンをさばいています。
ツー・シックス・ヒーブ(two(2) six(6) heave)
ヒーブ(heave)という単語には「綱で何かを引き寄せる」とか「(重いものを)持ち上げる」とかいう意味があります。じゃぁ、2と6は何?
実はこれはその昔軍艦が帆船だったころのお話。軍艦の最大の武器としてはやはり大砲でしょう。その大砲をうつときの掛け声だったそうです。私は大砲を撃ったことがないので分かりませんが(普通の人間はそうだろ)大砲を撃つには何人かの人がついてそれぞれの役割を分担していかねばならないそうです。
大砲を撃つと、砲筒を掃除したり、弾込めをしたりするために、大砲を下げます。でもって、準備が終わって弾を発射するとき、その2番と6番の役割を果たす人に「引け(つまり「ヒーブ」)」と命令が出されます。引っ張ると大砲が砲門から出て、そして発射されます。
海星では力を合わせてロープを引くときの掛け声として使っています。「よいしょ、よいしょ」とか、「うんこらしょ、どっこいしょ」(それでもかぶは抜けません←『おおきなかぶ』)とかと同じ。大した意味はございません。はい。
テンダー(tender)
帆船って海につかってる部分どうなっているかご存知ですか?
船が水に沈んでいる部分のことを喫水(きっすい:draft)というのですが、帆船は風による横流れを防ぐために水に沈んでいる部分が深いのです。
となると、浅いところに行っちゃうと船が底に支えちゃってしまうのですね。
そこで、テンダーの出番です。テンダーは日本語にすると「足舟」。親船が岸壁につけない場合、親船は沖に錨で泊まって、そこから陸までテンダーに乗っていきます。
今でもタイタニックみたいなでっかい客船で南海のトロピカルアイランド巡りみたいなのに行ったら、ほとんどがテンダーでの上陸になると思います。
登檣礼(とうしょうれい:man the yard)
帆船おたくであれば一度は見ておきたいですね。元々は軍艦が帆船であったころに入港するとき、戦闘が不能な場所(
ヤード上)に人を配置して「私たちは戦いに来たんではありませんよ」って意思表示をするものだったと言います。
トッピングリフト(topping lift)
ブーム
とかヤードをマストの天辺から吊っているワイヤーです。
トリッピングライン(tripping line)
ステイスルの
クリューとかスパンカーのフートとかを引き揚げるためのロープです。
とも(stern)
船尾のことです。舟へんに尾と書いて「とも」と読ませることもあります(IMEにはありませんでした)
トリム(trim)
犬の美容師(?)のこと「トリマー」っていうでしょ。それとか写真なんかの「トリミング」それと同じ意味ですね。トリムって、「手入れをする」「余分なものを取り去る」なんて意味があります。
船の場合は「(船の)バランスをとる」なんて意味と、船乗りさんがよく使う言いまわしとしては「こざっぱりと綺麗にする」なんて意味があります。
また、帆船では風向きに合わせてセイルの開きを調整することを「トリム」ともいいます。
ドルフィンストライカー(dolphin striker)
取り外しが可能であり、食料が著しく少なくなったときに取り外して文字通りいるかを突く…なわけないでしょっ。帆船の全部に突き出ている
バウスプリットの下に取り付けられている棒です。
ノット(knot)
船の走る速さの単位です。これって帆船時代に考え出されたものらしい。船の速さを測るのに、ロープに結び目を付けてそれが一定時間の間にどれだけ出ていったかで速度を測ります。現在でもこの方法で速度を測るための道具(ハンドログ)が船にはあります。
で、どのくらいの速さかというと、1時間に1マイル(1.852km)走る速さになります。まぁ簡単にいうと1ノットは時速にすると約2km。10ノットだと時速約20kmとなります。
それから、さっきハンドログの説明で「結び目を…」とやりましたが、ノットには「結び目」という意味もあります。帆船によく飾ってある、ロープ結びの見本を「ノットボード(knot board)」といいます。
バーカンチン(barkentine, barquentine)
3本以上の
マストを持っていて一番前のマストだけ横帆を持っている帆船のことです。
バーク(barque)
3本以上の
マストを持っていて前のマストは横帆、一番後ろのマストに縦帆を持っている帆船のことです。大型帆船は大体がこのバーク型かシップ型です。
ハーネス(harness)
命綱ですね。
ヤードでの作業中、もし足を滑らせたらこれであなたはぶらさがるはずです。たぶん。
パーム(palm)
手のひら?まぁ、そのとおりなのだけど、これは帆船には欠かせない道具です。なんでしょ?
もったいぶるなって?
正解はセイルを縫うための革あてです。セイルは簡単に破れないように少し分厚い布でできています。で、普通には針が通らないのですね。この革あてを手にはめて、針の頭を押して縫っていきます。
バイ・ザ・ウインド(by the wind)
「風まかせ」の帆船らしい言葉です。いくら風まかせっていったって、そりゃ目的地ってものがあるでしょ。でも、いくら性能がいい帆船であっても行きたい方向から風が吹いてきてたらお手上げです。
ご存知かと思いますが、帆船は真後ろからの風だけじゃなくて横から風を受けても斜め前から受けても進めます。いろいろ説明すると長くなるのですが、飛行機の翼に働いている「揚力」というものが帆船のセイルにも働いて、斜め前の風を受けて前進させることもできるのです。
で、この「バイ・ザ・ウインド」とはどういう状態をいうのかと言うと、その帆船の持っている性能ぎりぎりのところで前進することを言います。目的地からできるだけ離れないように、風上にある目的地に向かってできるだけ風上に上るように走ることをいいます。
バウスプリット(bowsprit)
帆船の前に突き出しているものです。日本語では「斜檣(しゃしょう)」といいます。
この下に人形がとりつけられていることもあります。その人形のことを
バック(back)
「後退」なんですが、これは、帆船にとってとてもこわいことです。
帆船は後ろから風が吹いてくる分には(普通のことだから)強いのだけど、前から吹いてくると弱いのです。「バック」は前から風がセイルに入ってセイルが裏返しになった状態をいいます。「裏風が入る」とか「バックを打つ」などと言うこともあります。
ハリヤード(halyard)
帆や
ヤードを引上げるロープのことを言います。
バング(vang)
ガフ
の先端についていてガフの動きを調整するためのロープです。
ハンド(hand)
サッカーにおいてキーパー以外の選手がフリースロー以外で手を使ったプレーをすること。
…だったら帆船基本用語集に入れる必要の無い用語じゃないか。
面白いことに日本語と英語がとてもよく似た使い方をする単語なのだけど、日本語でも「手」のことを「担い手」とか「運転手」などという風に「(何かをする)人」という意味でも使うよね。
ハンドがまさにそれです。(ロープを引っ張る)人がいますよ、といった意味で使われます。
また、セイルを畳む、縮帆(しゅくはん)の意味でも使われます。
バントライン(buntline)
横帆を綺麗に畳むためのロープです。横帆の下辺についています。端っこだけ引っ張っても真中がだらーんと垂れ下がってしまいますよね。ということで、下辺に何本かついていてここを引き上げることによってたたみます。劇場なんかの緞帳(どんちょう)で、上向きにあがっていくのがあるでしょ。あれを想像してもらうといいかもしれない。
ピーク(peak)
スパンカー
の上の隅っことか、ガフの先端のことを言います。まぁ、よく使う「最高点、絶頂」なんて意味からも想像できますね。
ビレイ(belay)
帆船ってロープがたくさんあるでしょ。で、それを留めておくことをビレイといいます。ほとんどのロープはビレイピン(belay pin)と言われる棒に留められています。
それから「ビレイ」とオーダーが出たときは、ビレイピンにロープを留めます。通常時計回りに8の字に3回ほどかけます。
ピンレール(pin rain)
ビレイ
ととても関連のある言葉なのですが、これは、ロープを留めておくビレイピンが並んでいるものです。手すりに穴があいたようなものです。この穴にビレイピンを差しこんで使います。
ファイフレール(fiferail)
これもビレイピンを並べるものなのですが、
マストの周りに並んでいるピンレールと思ってもらってもいいかもしれません。
フィギアヘッド(figurehead)
船首飾りです。帆船の特徴とでも言えるかな?まぁ、フィギアヘッドのない帆船もあるけどね(海星もないです)
日本丸は「藍青」、海王丸は「紺青」(共に少女の像)、あこがれは「ヤマトタケル」(神話にでてくる神様)を付けています。外国の例も含めて女性像、神様の像などが多いようです。守り神ということなのですね。昔、外国の帆船で船長の奥さんの人形をつけていたのもあるそうです(船長が変わる度にフィギアヘッドもつけかえていたとか)また、船名にちなんだものや、魔よけの意味を込めて、伝説上の怪物や強そうな動物などがつけられることもあります。
フートロープ(foot rope)
文字通り足元にあるロープです。
ヤードで作業をするときの足場になります。ぐらぐらとゆれますし、体重のある人が横に来ると下がります(笑)
ブーム(boom)
手持ちの英和辞典(『ジーニアス英和辞典』大修館書店)によると
1.(海事)斜檣(しゃしょう)、縦桁、ブーム
2.長いさお、ブーム
3.(起重機の)腕木
などと書いてあった。なんだよ、1.2.は。最後についてる「ブーム」には訳者のやる気の無さを感じたな(って、そんな感想かいてどうするんだよ)
フェンダー(fender)
船を岸壁などに係留するとき、そのまま着けてしまうと岸壁に船体が当ってしまいますよね。でもって、船体を傷めることになります。
そこで使われるのがフェンダーです。船体と岸壁の間の緩衝材の役割を果たします。
フォアマスト(fore mast)
一番前の
マストのこと。…だが、ケッチのように前のマストが高いときにはフォアマストはなくなる。要するに後ろにもっと高いマストがある場合「フォアマスト」と呼べるんですね。とすると、フォアマストは一番高いマストではないとも言えますね。
ブラスワーク(brass work)
ブラスワークの「ブラス」って、みなさんよく知っている「ブラスバンド」の「ブラス」と同じ物です。さて、何でしょう?
実は「ブラス」って、真鍮(しんちゅう)のことなのですね。ほら、ブラスバンドって、トランペットとか、ホルンとか、トロンボーンとか、真鍮を使った楽器が多いバンドでしょ。直訳日本語「真鍮楽団」(笑)
で、本題に戻って、ブラスワークなんですけど、これは真鍮を磨くことです。真鍮ってピカピカ光ってるとかっこいいんだけど、このかっこよさを保つためにはしょっちゅう磨いとかないといけないんですね。(船では)お外にあるってのに、雨にぬれちゃうと、それだけで光らなくなるんだなぁ、これが。
ブランケット(blanket)
「毛布」という意味なのですが、帆船ではちょっと違った使い方をします。いろいろなものに風がさえぎられた状態をいいます。例えば陸地近くを航行していて山に風がさえぎられたとか、レースで近くに帆船がいて、その帆船のセイルに風をさえぎられたとか、そういう状態を指します。まぁ、「ブランケット」には、「すっぽり包む」という意味もあるので、その応用篇の使い方っていうところでしょうか。
話は違いますが、話の腰を折ってしまってしらけさせてしまうことを英語で「wet blanket」と言います。日本では「時化る(しける)」なんて言いますが、なんだかおもしろいと思いません?海に関係ある見方をすると、英語では「おだやかな海」日本では「荒れ狂う海」。同じ「話」に関することなのに全く正反対なのですね(実は、英語の方は燃え盛っている火にぬれた毛布を掛けると消えてしまうってことから来てるんだけどね)
ブリガンチン(brigantine)
2本
マストの帆船です。フォアマストが横帆でメインマストに2枚の縦帆を装備しています。2本マストということで、あまり大きな船はありません。海星はこの種類の帆船です。オランダの「スワン・ファン・マッカム」、香港の「ジ・フン」などがあります。
ブリッジ(bridge)
船橋のことです。操船をするところです。車でいうと「運転席」、飛行機でいうと「コックピット」と言ったところでしょうか。帆船の場合は、全てのセイルが見渡せるように後ろの方にある場合が多いです。その他の船の場合は前の方が多くて、しかも高い場所にあって、見晴らしがいいところですね(他の船なんかにぶつかったりしないよう、見張りをしなくてはいけないから、見晴らしのいいところなんですね)
ブレース(brace)
ヤード
の先端(ヤーダム)に付いているロープで、これでセイルの角度を調整します。
ベアポール(bare pole)
1枚もセイルを揚げていない帆船のこと。ベアって裸って意味です。帆船(船)って女の子だから「ヌード」ってこと?きゃーはずかしぃ。
おもしろいんだけど、逆に船を飾り立てることを(旗を飾ったり、イルミネーションを付けたり)ドレスアップ(dress up)って言うんですよね。
ヘッド(head)
船の洗面所のことです。海星ではトイレとシャワーが訓練生の
キャビンについています。
ヘッドセール(head sail)
文字通り前の方についているセイルのことです。方向を安定させるのに有効なセイルとなります。
ヘルム(helm)
舵(かじ)のことです。ヨット競技で舵取りのことをヘルムスマン(helm's man)といいます。
海星では、舵取りの当番をヘルムと呼ぶこともあります。
また、タックするとき、「ヘルムスアップ・ヘルムスダウン(Helms up. Helms down.)」というオーダーが出るのですが、その意味は「舵を風上に取れ、舵を風下に取れ」です。
ペンダント(pendant)
短いワイヤーとかロープで出来たものなんですけど、大体の
ステイスルって下側(タック)がマストなんかに固定されてるの。ペンダントはマストなんかからちょっと離して揚げられるセイルについています。
ホイッピング(whipping)
ロープのほつれ止めです。やっとかないとロープはどんどんほどけていってしまいます。
ボースンズロッカー(bosun(bo'sun, bo's'n)'s locker)
ボースン(bosun)というのはボートスワイン(boatswain)の略です。日本語で甲板長(こうはんちょう)という意味になります。つまり、デッキで仕事をしている人の中で一番偉い人ですね。
ボースンは機械関係の以外のものの修理屋さんでもあります。ロープが傷んでいないかチェックしたり、セイルを補修したり、船にペンキを塗ったり、ニスを塗ったりするのがボースンの仕事です(実際は、監督になるんだけど)
で、ボースンズロッカーといえば、そういった作業に必要な道具が入っています。例えば、セイルを補修するための裁縫セット(?)とか、はさみとか、ナイフとか、そういったもの。
海星では、その他の大切な装備として(?)ロケット花火発射台、パチンコなどの武器も入っています(おいおい)
ポート(port)
「港」という意味ももちろんあります。が、ここではちょっと違う意味なんですね(当らずも遠からじ、といったところか?)
昔、船の舵板は右側にありました(右利きの人が多いでしょ。そしたら、右に舵がある方が便利だから)で、その舵を守るために左側を港につけていたのですね。だからポートといえば、船の左側のことをさします。
船よりずーっと後に登場した「飛行機」。実は、船を真似たところが多いのです。今度飛行機に乗るときにどちら側から乗るのかよーく注意してみてください。左側だよ。飛行機なんか、右でも左でもどっちっからでも乗り降りしてもよさそうなもんだけど、左に出入り口がついているんですね。
対義語:
ポーランドマジック(Poland magic)
海星テクニカルターム(そんなものがあるんかい?)の一つです。
海星はポーランドで作られた船なんですけど、このポーランド結構おもしろい国なんですよね。なんと言ったら良いのか、自分が一番というか、わがままというか、「規格」なんてものをまるで無視してるんだな、これが。
モンキースパナって規格ものだと、押していくと閉まるようになってるんだけど、それが逆に開いていっちゃったり(左手用だったのだろうか?)、ねじのピッチがユニークだったり、まぁ、それはそれは笑わせてくれるのです。
ホール・アウェイ(haul away)
「はじめ」とか、「かかれ」とかいう意味ですね。その前に、どのロープを引っ張って、どのロープを緩めて、とか説明があって、それぞれ準備が出来てたら、「ホール・アウェイ(「ホーラウェー」と聞こえると思うけど)」とオーダーがでます。そしたら、引っ張る人は引っ張って、緩める人は緩めてと作業にかかるわけですね。
ホールド(hold)
「ちょっと待った」かな?
ロープを引っ張ったり、緩めたりしているときに、「ちょっと微調整したいな」とか、「げげっ、引っかかった」とかいうときにこのオーダーがでます。そのままの状態で待っておくことです。
ボンク(bank)
船のベッドのことです。これって、面白いなぁっておもうのは、「川岸、土手、堤」なんて意味があるってこと。昔の船乗りさんって、陸にとってもあこがれて、自分たちが寝るベッドのことをこう呼んだのかしら?