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サイ・ゴダード(3月18日)
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【スポーツ】<首都スポ>一橋大端艇部 日本一への挑戦2014年8月24日 紙面から
国立文系のトップ校が、スポーツでも大学界の頂点に立とうとしている。一橋大端艇(たんてい)部。日本ボート競技界屈指、129年の歴史を誇る名門部は23日、全日本大学選手権大会(インカレ、埼玉県戸田市・戸田ボートコース)の男子エイト準決勝を勝ち抜き、24日の決勝に進出した。大会初日(21日)の予選では、8連覇中の日大に完勝(日大は敗者復活で準決勝進出)。花形種目で、同部史上初のインカレ優勝を射程にとらえた。 (藤本敏和) 真っ赤なユニホームと真っ赤なオール。スクールカラーに染まった8人が息をそろえてこぎ始めると、長いボートが一気に加速する。釣り用のエンジン付き小型ボート以上のスピードで、水上を滑り始めた。悲願のインカレ初制覇を目指す一橋大端艇部は、今月上旬の相模湖合宿で最高の仕上がりを見せていた。 私大の強豪校と異なり、入部前にボートを経験した部員はほとんどいない。しかも、約半数が浪人して入学している。 「高校時代に勉強しかしてこなかった部員ばっかりです。入部したとき腕立て伏せすらできなかった者もいますし、懸垂なんか大多数ができませんでした」と、中村澄人(社会学部4年)は笑う。東京・成城高時代は畑違いの自転車部。運動部出身というだけで重宝がられたという。 入部から半年後に行われる新人戦では、経験者やスポーツエリートがずらりと並ぶ私大に惨敗した。1年生のエイトは順位すらつかない9位以下に沈むのが恒例だ。そんな部員たちが、たった3年あまりで国内トップクラスに成長していく。男子エイトでは2009年インカレで27年ぶりの決勝進出(4艇中4位)を果たすと、10年4位、11年5位、12年4位、そして昨年はついに2位。今春は全日本軽量級選手権で実に31年ぶりの優勝。インカレ初優勝は現実味を帯びている。 集団のまとまりや団結力だけで強いわけではない。今年7月に行われたU23世界選手権の代表に中村、平木漠(社会学部4年・麗沢)、藤田陸(商学部4年・米子東)の3人が選ばれ、中村と平木は日大の佐藤、奈良と組み、男子軽量級舵手(だしゅ)なしフォアで5位入賞。平木は中大の林と組み、男子軽量級舵手なしペアで8位に入った。90年生まれでU23代表に入れなかった鎌田宜隆(商学部4年・桐朋)も、今春にシニア代表の1次選考を通過した。一橋大は「個」の力でもトップクラスなのだ。 強さの理由は練習量にある。チームのスローガンは「マイレージ メイクス チャンピオンズ」(距離が王者をつくる)。言葉通り、こいでこいで、こぎまくる。 朝練は6時から8時または8時半まで。午後は4〜6時。いずれも水上にいる時間だけで、ほかにマシンを使った練習や陸上練習、ボートの準備と掃除などがあるため、すべての練習にかかる時間は毎日約6時間。その間に他の学生とまったく同じ授業と試験が待っている。 しかも、休日がない。月曜の午後と火曜の朝に練習がないため、部内ではこの合間が休みとして扱われているが、24時間まるごと休める日は基本的にない。部員は埼玉・戸田の艇庫に併設された合宿所に連日泊まり込み。地方出身の部員たちは下宿もあるが「帰れるのは月曜の夜ぐらいです」(藤田)と苦笑いする。 これだけの練習量にもかかわらず、入部後の脱落者は少ないという。その理由は、独特の自由な雰囲気にある。体育会系にありがちなガチガチの上下関係やあいさつの強要はなく、ボートの手入れや雑用も上級生、下級生分け隔てなく行う。こんな部だから、入部まで経験がなくても国内トップクラスの選手になれるのだ。 「今年はインカレだけでは終わらない。その後の全日本選手権(9月11日〜14日・戸田ボートコース)も目標です」。インカレを初制覇すれば、次は47年ぶりの全日本制覇。一橋大がこの夏、名実ともに日本ボート界の頂点に立つのか−。 ◇ 首都圏のアスリートを全力で応援する「首都スポ」面がトーチュウに誕生。連日、最終面で展開中 PR情報
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