■海運用語集 は行

海運用語集 は行
- バーゼル条約(ばーぜるじょうやく)
- 正式名称は、「有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約」。有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分によって生じる人の健康または環境に係る被害を防止することを目的とし、1992年5月に発効、加盟国は120カ国を超える。本条約では、対象となる有害廃棄物を幅広く取り上げており、その中にはアスベストやPCBといった船舶の構造上必然的に含まれている物質も含まれため、船舶の解撤(スクラップ)を目的とする船舶移動についても同条約が適用されるのかどうか各国は慎重な対応を行っている。
- ハイキューブ・コンテナ(はいきゅーぶこんてな 背高海上コンテナ)
- 長さ40フィートのコンテナのうち、高さが9フィート6インチのものを指す。日本国内を輸送する場合には、道路交通法等の法規制の関係から通行経路を指定した上で、警察庁、国土交通省より輸送許可を受けなければならない
- バイヤーズ・コンソリデーション(ばいやーず・こんそりでーしょん)
- Buyer's Consolidation とは、特定の輸入者のために、輸出地で複数の荷主からの貨物を輸入者専用のコンテナに積合せることで、CFSチャージ・フレイト・輸入通関費用等の削減が可能となる。
- ハーネス(はーねす)
- タンカーの航タンク内等担いで上がる時が困難な場合、人の体をしっかり支え吊上(下)げることが出来る救助用の物。
- 排ガスエコノマイザー(はいがすえこのまいざー)
- タンカーの航海中には、燃料(C重油)の加熱用や、電気を発生させるタービン発電機の動力源として、蒸気が必要です。航海中に必要な蒸気は、主エンジンから出る排気ガスの熱を利用した『排ガスエコノマイザー』にて発生させています。『排ガスエコノマイザー』は主エンジンのターボチャージャーから出た排気ガス(約310℃)を、大気に排出する煙路に配置されたチューブ(内側にはボイラー水を通している)のことで、このチューブで蒸気を発生させます。チューブを通り抜け熱交換した排気ガスの温度は、150℃程度となっています。
- 排水トン数(はいすいとんすう 排水量)
- displacement tonnage。船体の水面下部分の容積。排水容積を立方メートルで求め、海水の比重1.025を乗じたもの。排水トン数は、積荷によって船の総重量がほとんど変化しない艦艇などの大きさを表すのに使用される。
- バイスバロットの法則(ばいすばろっとのほうそく)
- 高気圧から低気圧に風が流れる原理を利用して、風を背に受けて立つと高気圧を背にすることになり、その状態で左手を斜め前方(真横+30度)の方向に延ばした方向に低気圧があることから、風に対する経験則として、古くから航海者の間で用いられた法則のことをバイスバロットの法則という。
- 配船(はいせん)
- 荷主の意向、積荷の内容、船舶の能力、桟橋の構造、船の現在地、天候の状況等総合的に勘案し、適当な船を手配すること。
- ハイヤーベース(はいやーべーす Hire Base)
- 船舶を常に運航し得る状態に保持するための必要諸経費(船費〜減価償却+修繕費+保険料+金利)を,1ヵ月(30日)・1重量トン当たりに換算表示したものをいい,次のような式で計算される。 年間船費÷(重量トン数×年間稼働日数×1/30)=H/B したがって,C/B(チャーター・ベース)がH/Bを超えるときは採算は黒字であり,C/BがH/Bを下回るときは赤字となる。
- バウ・スラスター(ばう・すらすたー Bow Thruster)
- 船首水没部に左右舷に通じる通風孔を設け、この中央に推進機を取り付けて船首を左右に移動させる推進装置。狭水路の離着桟や方向転換に便利な装置。⇔(反)スタン・スラスター(Stern Thruster)。バウ・スラスター、スタン・スラスターとも船側にあることから、サイド・スラスター(Side Thruster)ともいう。
- 泊地(はくち Anchorage)
- 港湾内で船舶が比較的安全に停泊することのできる水面をいい、一般に防波堤、護岸等の外郭施設や、岸壁等の係留施設によって囲まれている。
- 爆発限界(ばくはつげんかい)
- 油面から蒸発する引火性ガスと空気が混合した時、何らかの原因で点火した場合、引火爆発する濃度(空気中の当該ガスの濃度(混合割合)範囲を指す。上限をUEL (Upper Explosive Limit)、下限をLEL(Lower Explosive Limit)と呼んでいる。例えば、アセトンの場合、UELが12.8%でLELが2.5%で、逆に言えばその範囲外であれば、爆発しないということになる。
- 暴露甲板(ばくろこうはん exposed deck)
- 主に風雨に曝される甲板のこと。最上部にあることから露天甲板とも言う。多くの船舶などでは上甲板は通常、露天甲板であるが、自動車運搬船や大型客船などは上甲板の露天部分はほとんどない。
- 白油(はくゆ Clean Oil)
- ガソリン、灯油、軽油等透明な軽質石油類の総称。⇔(反)黒油(こくゆ)
- バース(ばーす Berth)
- 埠頭・桟橋の中で、船を係留する場所。
- バース・ターム(ばーす・たーむ)
- 積み地や揚げ地の船内荷役費を運送人が負担するという取引条件のことで、定期航路では、ほとんどこの運賃条件となっている。
- 裸用船(はだかようせん Bare Boat Charter)
- 船主が船員を配乗せずに、船舶を一定期間用船者に貸し渡す契約。
- バタフライ弁(ばたふらいべん Butterfly valve)
- ボールバルブと同様に弁軸を90度回転する事により開閉を行う。またゲートバルブと同様に開閉バルブとして使用される。「蝶形弁(ちょうけいべん)」ともいう。
- バタワース・マシン(ばたわーす・ましん Butterworth Machine)
- タンク内を洗浄するために清水を噴射する装置のこと。360℃回転し、タンクの内壁を隈なく、洗浄する。今は、固定式(タンク)になっている。
- 鉢巻船(はちまきせん)
- 一代限りの船。解撤権を購入していないので、この船を代替しようとしても次の新造が認められない船。一代限り船専用のマーキングとして白と赤の線を船体を巻くように左右の舷にペイントしていたので、このように呼ばれるようになったもの。現在はマーキング表記方法が若干変更となり、左右のそれぞれの舷の中央部に白・赤・白の長方形のマークが付けられている。
- パッキング・リスト(ばっきんぐ・りすと)
- Packing List とは、貨物の梱包方法・個数・数量・重量等が記載されている梱包内容明細書である。
- 把駐力(はちゅうりょく)
- アンカーが海底に船を繋ぐための力。底質が砂の時は小さく、岩等は大きくなる。
- 発火点(はっかてん)
- ある物質において、他の火源がなくても、自ら継続的に燃焼を起こす温度のこと。ガソリンで246℃、水素は580〜600℃程度。
- パッキン(ぱっきん)
- 回転や往復運動などのような運動部分の密封に用いられるもの。
- ハッチ(はっち)
- 船の甲板にある艙口(そうこう)、船倉口、昇降口。昇降口の蓋、艙口の覆い。
- 端切り(はなぎり ライン・フラッシング Line Flushing)
- タンカーから化成品などを荷揚げする際、配管の中に残存している前航の貨物あるいはタンク洗浄水などを事前に洗い流す作業を端切りという。ふつう本揚げに入る前、少量の貨物を別の小タンクに流して行う。使われた少量の貨物は、汚損貨物(Slop Cargo)としてスロップ・タンクやドラム缶などに収納される。
- パナマ運河(ぱなまうんが)
- 1914年に竣工した閘門式運河。全長65km、閘室は長さ335m、幅33.5m。
- パナマ運河トン数(PCNT)(ぱなまうんがとんすう)
- Panama Canal Net Tonnage(PCNT)。1969年のトン数条約による国際総トン数の算出に用いた船舶の総容積に、パナマ運河当局独自の係数をかけて算出する。船舶法に定める総トン数、純トン数とも異なる。
- パナマックス(ぱなまっくす)
- パナマ運河を満載状態で通航し得る最大船型。パナマ運河を通航可能な船の最大幅は32.31メートルであるため、通常は船幅を32.2メートルとしている。一般的には、6万〜7万載貨重量トン数(D/W)程度。
- バラスト(ばらすと Ballast)
- 空船時、または、積荷が少ない時船体のバランスを取るため、船底に入れる水のこと。Ballast…船の底荷
- バラ積み(ばらづみ)
- 荷物を梱包したり、コンテナ化せずに、直接船倉(タンク)に入れる積荷のこと。
- バルバス・バウ(ばるばす・ばう Bulbous Bow)
- 球状船首。水面下でふくらんでおり、形が球根状で、波の抵抗によるエネルギーのロスを少しでも軽減する為に考案されたもの。実際の波とバルバス・バウの波と干渉し合って、波の発生を少なくすることが目的。魚雷形、円筒形、楕円形、水滴形、ラム(衝角)形等がある
- パレタイズ梱包(ぱれたいずこんぽう)
- Palletised梱包とは、パレット単位の梱包のこと。書類作成では、P/Lと略称する。
- バンカー(ばんかー Bunkering)
- 船舶が燃料を補給すること。
- バンカー・サーチャージ(ばんかー・さーちゃーじ Bunker Surcharge)
- 割増料金。危険負担や燃料油などの急激な値上りのため、既に定められた通常の料金の適用が困難な場合に定める付加料金。燃料費の値上りに伴い運賃にその分算する場合、バンカーサーチャージという。Bunker…石炭船の時代の船の石炭庫。今は、船の燃料油。Surcharge…追加料金、(荷)の積み過ぎ、過重、不足税
- ハンディーバルカー(はんでぃーばるかー)
- 一般的に、1万8千〜5万載貨重量トン数(D/W)程度のばら積み船の総称。
- バンニング(ばんにんぐ)
- vanningとは、貨物をコンテナに詰めること。英語では、Loading/Stuffingともいう。
- 汎用船(はんようせん)
- 航路や貨物は一定ではなく、それぞれの航路・貨物により1航海毎に運賃が決定する仕組み。月毎の繁閑により、月間の合計運賃も変動する。⇔(反)専航船
- PI保険(ぴーあいほけん PI:Protection and Indemnity)
- 船舶を所有・運航することによって生じる、船主又は運航者が負担すべき経済的損失を填補する保険。従来の船舶保険や貨物保険では、主に船体と貨物のみが付保の対象でしたが、P&I保険では、人(船員や旅客)や海洋汚染、港湾設備等への損傷等も填補され、また、荷主(又はその保険会社)から求償された貨物の損害も補填する仕組みとなっています。船主同士の互助組合(Protection Club)が発端で、その後積荷に対する損害を含めた補償(Indemnity)を取り入れたProtection & Indemnity Club(船主相互保険組合)が誕生しました。日本では、一部民間損害保険会社も、取り扱うようになりました。Protection…保護。他からの賠償請求をプロテクト(防御)するという意。Indemnity…補償…損害賠償の保証。
- ビーム(びーむ)
- ビームはフレーム(肋骨)を上部甲板で連結し横強力を保つ部材のこと。
- ピグ押し(ぴぐおし)
- 配管内にPIG(ピグ)と呼ばれる管内移動体(主にゴムや発泡ポリウレタン製)を入れて、窒素や水で押すことで配管内に残る残液をタンクに押し戻す、また配管内のクリーニングに用いること。
- 避険線(ひけんせん)
- 海図上で水域を区画し航路上の安全の限界を示すような位置の線のこと。入出港時や狭水道航行時は、変針や他船・障害物等の避航の機会が多く、海図上で都度船位を確かめながら航行する余裕のないことも多い。そこで、1本の線で水域を危険域と安全域に区画できる避険線があれば、船位を測定しなくとも避険線を測定するだけで安全域であるか確かめられ、水域を有効に活用して弾力的な操船ができる
- 避航船(ひこうせん)
- 2隻の船の針路が交差し衝突の恐れがある場合を「横切り関係」といい、横切り関係になった場合は、「他船を右に見る船」に避航の義務があり、もう一方の船は速力を保持して航行しなければならない。この時に他船を右に見て避航しなければならない船を「避航船」という。
- 比重(ひじゅう)
- その物質の質量とそれと同体積の水の質量との比(ある物質の質量÷水の質量)、通常、水の比重は1(摂氏4℃時)とされています。ケミカルタンカーの場合デッドウェイト(積める重さ)とタンクの容積との関係があり、例えば、パラキシレンの比重は約0.86なので、最高に積んでタンク容量(容積)×0.86分の重さしか運べません。(実際には安全のため、タンク容量の95%。逆に言うと、荷物の重量を0.86で割ったもの(=容積)が運べる計算(1/0.86=1.16倍積める計算)となりますが、タンク容積があるので、その制限を受けます。
- 非常用位置指示無線標識装置(ひじょうよう いちしじ むせんひょうしきそうち E-PIRB)
- 船舶の遭難時に無線信号(遭難信号)を発信する装置のこと。 沈没など遭難時に 406MHzの電波を発射し、人工衛星(コンパス・サーキット)を 介して各国主管庁(日本では海上保安庁)に船名及び国籍を送信、連絡が届き次第、 捜査が行われることとなる。手動でスイッチを操作して救難電波を発射する方法と 沈没時におおむね4m以上に該当する水圧が加わると動作する水圧センサーにより 取り付け架台から自動離脱、浮上し電波を発射する方法がある。
- ビット(びっと Bitt)
- 岸壁にある頭の丸い杭。係船ロープをひっかける為に使用される。この杭に船側から出た複数のロープを巻きつけ、船を繋ぎ止める。
- 118番
- 海上保安庁への緊急通報用の電話番号。海上における事件・事故が発生した場合は、この番号へ通報する。陸上の110番の海上版。
- 評価申告(ひょうかしんこく)
- 輸入申告に際し、日本からの副資材の供与、親子・本支店等の関係、コミッション、ローヤリティの支払い等がある場合には、海外で発生したコストであるため輸入課税の対象となり、インボイス・バリューをアップする必要があるが、その根拠となる申請書のことで、“個別申請”と“包括申請(2年間)”がある。
- ビルジ(びるじ Bilge)
- ポンプ室及び機関室の底に溜まる油(荷物、潤滑油)や水等。
- ビルジキール
- 船体の横揺れを減揺する設備の一つで、船首から船尾の船底湾曲部に沿って取付ける板のこと。「湾曲部竜骨」ともいう。
- ファイヤーワイヤー(ふぁいやーわいやー Fire Wire)
- 非常用曳船ワイヤーロープのことで、自船又は周辺に火災発生等の場合、緊急引き出し用に使用するもの。使用方法は、ワイヤーを自船のボラードに結止し船首部、船尾部の沖側に水面上から約1m離した上で吊り下げておく。
- ファンネルマーク(ふぁんねるまーく Funnel Mark Funnel)
- 船舶の煙突の外側に描かれた社章。入港時の目印となる。
- 浮標(ぶい Buoy)
- 船をつなぐために水上に浮かべたもので、チェーンなどで水底に固定してある。航路標識にも用いる。
- 部員(ぶいん)
- 総トン数20トン以上の船舶に乗船する乗組員のうち、船舶の運航に関する国家資格を有していない乗組員(甲板員、操舵手、機関員等)を「部員」と呼ぶ。国家資格を有する乗組員(船長、機関長、航海士等)は「職員」。
- フィーダーサービス(ふぃーだーさーびす)
- 輸送効率向上のため、コンテナ船は主要港のみに寄港し、貨物取り扱いの集約化と運航の迅速化、安定化を図っている。主要港以外の貨物は主要港まで輸送され、主要港からは別便に積み替えて輸送される。この主要港と支線港との間のコンテナ輸送をいう。
- 封印(ふういん)
- 積港から揚港まで船の貨物艙の艙口を開放厳禁にするために施す封緘。
- 風速(ふうそく)
- 単位時間に空気の移動した距離。普通、地上10メートルにおけるある時刻の前10分間の平均風速をその時間の風速という。m/s やノットなどの単位で表すことが多い。
- フェアリーダー(ふぇありーだー)
- 本船の係船索出し入れ時に係船索の保護を目的として設置されるもの。
- フォワーダー(ふぉわーだー)
- 運送取扱人のことで、本来は欧州で発運した業務であるが、その業務範囲は広く、荷主の輸出入貨物取扱いのAgent業務がメインである。特に通関・本船手配・コンサルタント業務等が重要で、日本では通関業者=フォワーダーと思っているが間違いである。
- フォアピークタンク(ふぉあぴーくたんく Forepeak Tank)
- 船首部の上甲板より下に位置する空間のタンクで、一般的に船内で使用する清水を備蓄するタンクとして使用されている。船首水槽ともいう。⇔(反)アフターピークタンク、船尾水槽(せんびすいそう)
- フォース・マジュール条項(ふぉーすまじゅーるじょうこう Force Majeure Clause)
- 不可抗力条項のこと。当事者の一切の注意や防止努力にもかかわらず、外部から発生して当事者の義務遂行を阻害する事実により、義務が遂行できなかった場合は、義務不履行の責任を免れると解される。運送契約には一般にこのことを明示した不可抗力条項が書き込まれる。一般には次のような事態が含まれる。
- 地震、洪水、火災、嵐その他の天災、自然の災害
- 戦争、侵略、封鎖、その他の敵による武力行為
- 革命、反乱、騒乱
- ストライキ
- 接収、徴発、禁止、規制などの政府の行為
- 伝染病
- その他いずれの当事者も制御できない第三者の過失または不法行為
- 不稼動損失保険(ふかどうそんしつほけん)
- 船舶が一定の海難事故等によって稼動不能の状態となった場合に得ることができなかった収入や支出せざるを得なかった費用等を填補することを目的とした損害保険会社による保険。
- 不寄港証明(ふきこうしょうめい)
- 中近東向け船積みに関し、本船がイスラエル及びその支援国港には寄港しないという証明書で、船会社によって発行される。
- 吹流し(ふきながし)
- 吹流しとは、布などでできた筒を高所からぶら下げ、風向や風速を目視で確認するための設備。
- 復元性/復元力(ふくげんせい/ふくげんりょく)
- 船は普通、真直ぐに安定して浮いているが、波や風など影響により船体が傾くと真直ぐな状態に戻ろうとする力が起こる性質がある。この性質を復元性といい、その復元する力を復元力という。 船がさらに傾いて、ある角度まで傾くと復元力がなくなり、引っくり返ってしまう。この状態の角度を復元力の限度といい、この限度の大きい船ほど転覆しにくいということになる。復元力の限度を大きくするには、船の重心を低くすることが必要だが、復元力の限度をあまり大きくすると、船はすこし傾いただけですぐ戻ろうとする力が働くことになり、乗り心地が悪くなるとともに、積荷の荷くずれの原因になる。
- 複合一貫輸送(ふくごういっかんゆそう)
- インターモーダル。特定の貨物が、船舶、鉄道、自動車、航空機など種類の異なる2つ以上の輸送手段により相次いで運送される場合を複合輸送あるいは複合運送というが、この場合、荷送人の戸口で貨物が詰められ、かつ封印された貨物を輸送の中継地で一度も開封することなく荷受人の戸口まで単一の運送人の一元的な責任管理のもとに届けることをいい、コンテナの普及により普遍化した。
- ふ中扱い(ふちゅうあつかい)
- 通常輸出入貨物は、保税地域又は他所蔵置場所に搬入したうえで、輸出入申告を行うのが原則であるが、他の貨物と混載されていない均質・大量貨物、貨物の積付け状況が検査を行うのに支障がないこと等の条件のものについては船に積んだまま輸出入手続きが認められ、この取扱いをいう。具体的には大麦、石炭等関税及び内国消費税(消費税を除く)が無税である品目がこの対象品目となっている。原則として特恵関税の適用を受けて無税となる貨物には本扱いの適用はない。
- ブッキング(ぶっきんぐ)
- Bookingとは、船会社(運送人)等に船舶の予約を行うこと。
- 不定期船(ふていきせん)
- 荷主と運航業者間で長期の輸送契約を結ぶものの、必要な時に必要な場所に運ぶため、運賃は荷動きの増減を反映する。一般にバラ積船(鉄鉱石、石炭、穀物等)やタンカー(原油、石油製品、LNG等)、自動車運搬船など。⇔(反)定期船(ていきせん)
- 船尺(ふなじゃく)
- 船側のタンクを測定する方法のこと。積荷の時、荷主側で数量を測定し、船側でも確認のため、数量を測定する。船は海上にあり揺れるため、正確な数量を特定するのが難しいが、測定深度を液体で濡れている部分で測定する。近時は、甲板上にある液面計で測定する。
- 船荷証券(ふなにしょうけん B/L)
- Bill of Lading(B/L)。運送人と荷送人との間で、特定の貨物について物品運送契約を結んだことを証明する書類で、荷送人の請求により運送人が発行する。B/Lはその所有者に貨物引き渡しを約束した引換え証であり、貨物の運送/引き渡し条件を定める運送契約書でもある。同時に流通性を持つ有価証券でもあり、これら3つの権能を有する。なお、船舶の高速化により、B/Lが未着のうちに貨物が到着し、引き渡しが遅れるような事態等に対処するため、ウェイビル(Waybill)が考案されている。B/Lとの違いは貨物の受取りに際しウェイビル本証の提示が不要なことと、有価証券ではなく流通性が無いことである。
- フラッギングアウト(ふらっぎんぐあうと)
- 先進海運国の海運会社が、主として人件費の削減を目的に所有船の船籍をパナマやリベリアなどの便宜置籍国に移すこと。これらの国々は税収等のために先進国船社の運航船舶の誘致、置籍を図っており、船員の知識や資格の最低基準を定めた国際基準(STCW条約)を批准している他国の海技資格を簡易な方法で承認しているため、先進国の船員に替えて人件費の低廉な東南アジア人の船員等を乗組ませることができる。
- フラップラダー(ふらっぷらだー)
- 舵板の後端にフラップを付け、プロペラ排水流れを利用し通常の2倍の舵角(70度)を取ることができ、出入港の頻度が高い船の操縦性能を高めている。
- フランジ(ふらんじ Flange)
- 流体の配管でパイプや弁などの部品をつなぐ際に使われる、円盤部分同士をボルトなどで締結することで、パイプ同士を繋ぎ合わせる。配管の基本的接続部品のひとつ。
- フリートレードゾーン(ふりーとれーどぞーん)
- free trade zone。自由貿易地域または指定保税地域と呼ばれる。一般的、統一的に明確な定義は無いが、世界の各地域にあり、その地域の関税制度により、自由港(香港、シンガポール等)、輸出自由地域(韓国、台湾等)、外国貿易地帯(米国)および自由辺境地域という一般講学上で分類され、これらはそれぞれの国や地域経済に重要な役割を果たしている。わが国では、1987年12月に沖縄県那覇市の一部が「自由貿易地域那覇地区」として沖縄開発庁長官より指定を受けた。
- ブリザー弁(ぶりざーべん)
- タンク内の圧力を一定範囲内に保つため、常に大気との間で自動的に呼吸作用を行う機能を持ったバルブ。この作用により、タンク内のベーパーによる膨張または収縮によるタンクの損傷を防止する。可燃性の液体に対しては、フレームアレスターと組み合わせて使用する場合が多い。
- フルコンテナ船(ふるこんてなせん)
- コンテナのみを積込むことのできる船のこと。
- ブレーキハンドル(ぶれーきはんどる)
- ブレーキハンドルとは、甲板上にある、揚錨機又は係船機のドラムを固定するために使用するもの。
- フレート・トン(ふれーと・とん)
- 港湾取扱貨物量の単位。容積1.113m3または重量1,000kgを1フレート・トンとして、このいずれか大きい方で計上される。
- フレーム(ふれーむ)
- フレームとは船体の前後方向に適当な間隔で設置され、外板が張られて縦方向の強度を確保するもの。人間の肋骨に相当する。(関連語句:ビーム)
- フレームアレスター(ふれーむあれすたー Flame arrestor)
- 貨物タンクに取り付けてあるベント管などの開口部に設ける火炎侵入の防止装置。船舶の内外で起こった爆発の際に発生して伝ぱんすようとする火炎を消炎する。炎は平らな面はそのまま走るが、窪みの部分には集中的に侵入する。ベント管の開口部は炎の侵入口になりやすいので、これを防ぐため、円筒形に枠の中に金網とディスタンス・リングを数枚交互に入れたもの。
- フレストバルブ(ふれすとばるぶ)
- フレストバルブとは、シート面にテフロンパッキンを使用し弁体を2つ割りとした仕切弁のことで、タンカー等の多数の仕切りのある船倉にそれぞれ積載されているオイル等の流体を船外に搬送するためのバルブ
- フレッシュウォーター(ふれっしゅうぉーたー Fresh Water)
- 清水。洗浄用、洗濯・炊事・風呂用に用いられる。
- 振れ止め錨(ふれとめびょう)
- 単錨泊時に船首の振れ回りを抑制するため投錨舷とは違う反対舷の錨を使用すること。
- フローティングドック(ふろーてぃんぐどっく)
- 凹字型 をしていて、多数に仕切られた内部のタンクに注排水する事により、沈下、浮上出来る、浮きドックの事です。主に、ケーソン(コンクリート防波堤)製作等に使われることが多く、ケーソンドックとも言われます。その他、造船用に用いられたり、荷を載せ運搬等に使うことも出来ます。
- フローティングルーフ・タンク(ふろーてぃんぐるーふたんく Floating-roof Tank)
- 屋根が貯蔵物液面に浮いており、液面とともに上下するタンクのこと。和名では浮き屋根式タンクとも呼ばれる。原油・ガソリン等の蒸気による損失、また、蒸気相を無くし安全性が保たれることから揮発性石油類の貯蔵に用いられる。
- プロフォーマ・インボイス(ぷろふぉーま・いんぼいす)
- Pro-forma Invoice は、“見積り送り状”ともいわれる。輸出入契約成立以前に原価や費用チエックのために作成されるが、後進国では、L/C開設や輸入許可取得のために必要である。日本での輸入通関でも、船積書類未着の場合、これを使って輸入申告することも可能であるが、売買契約書やL/Cコピー等のエビデンスを添付する必要がある。
- プロペラ(Propeller)
- 推進翼。エンジンの出力をプロペラ軸を通じての回転により推進力へと変換するための装置。
- 分解(ぶんかい)
- ナフサを分解炉の中に水蒸気を送りこみ、800℃以上の温度にすると分解し、分子が細かく切れて(分解し)、もっと小さな分子(炭化水素〜エチレン、プロピレン、ブタジエン、ベンゼン、トルエン、キシレン等)にさせること。 分解時は、高温のため気体で、混ざり合った状態だが、蒸留して分けて取り出す方法を取る。(分留(ぶんりゅう))
- 平均風速(へいきんふうそく)
- 単位時間内に吹いた風の平均的な風速。気象庁では10分間の平均値を用いている。瞬間風速は平均風速の倍程度になることがある。通常、平均風速が毎秒10〜15メートル以上の風を「強風」、毎秒20メートル以上の風を「暴風」と呼び、強風注意報、暴風警報などが発表される。
- 平水区域(へいすいくいき)
- 港湾内、湖沼、河川等波の穏やかな水域。
- べーパー配管(べーぱーはいかん Vapour Pipe)
- タンカーにおける貨物油の気化ガス(Vapour)を外部に導く配管。
- ベルブック(べるぶっく)
- 船長の主機関(テレグラフ)のオーダー、タグボート及びパイロットの名前等を記載しておくメモ帳のこと。
- ベルマウス(べるまうす)
- ベルマウスとは、油(ケミカル)吸入管の先端についている吸入口のこと。放流量を増加させるため、吸入口の形状をラッパ状にしており、その形がベルに似ていることから、ベルマウスと呼ばれている。液体タンクに積む込み時にタンク底部5cm程度の位置に設け、空気の吸入を押さえて低液面まで吸引する役割を持っている。タンカーにおいて積荷時は、陸上配管から本船荷役配管を通り、ベルマウスよりタンクへ流し込まれる。揚荷時は、ベルマウスから貨物を吸引し甲板上の荷役配管を通って、陸上のタンクへと送油される。
- 変針(へんしん)
- 船の針路を変えること。
- 便宜置籍船(べんぎちせきせん FOC)
- Flag of Convenience (Vessel)。船の所有権や管理者が、掲げている旗の国とは別の国にある場合その船はFOCと呼ばれる。登録税、固定資産税などの軽減や、賃金の安い外国人船員を雇用して運航コストを下げることを目的に、先進国の船主が保有する船舶をパナマ・リベリア・キプロスなどの諸国に便宜的に置籍した船舶をいう。船員費の高い米国がはじめたが、今や世界的に用いられている。
- 偏差(へんさ Variation)
- 地球自体が大きな磁気体であり、地理上の北極・南極の近くに磁北・磁南があるので、コンパスの磁針は、地理上の北極・南極を指すのではなく、磁北を指しズレが生じる。このズレを偏差と言う。
- ベンチマーク(べんちまーく)
- FOC(便宜置籍)船に乗組むAB船員(able seaman=甲板手、経験3〜4年の部員)の月額賃金のこと。ITFが一方的に決定しボイコット(荷役拒否)などを背景に強制的な適用を船主に要求している。2003年5月にはIMMAJ等の船主団体とITFとの間にIBF(国際団体交渉協議会)が設置され、団体交渉によってIBF−CBA(労働協約)が締結されている。
- ベント管(べんとかん Vent Line)
- 空気管とも言う。ガス排出管。カーゴタンク内に発生したガスは、この管を使って、引火する恐れのない場所まで導いて排出させるパイプ。
- 防舷材(ぼうげんざい)
- 桟橋と船体が直接接触しないように、桟橋に取り付けられているゴム製のクッション材。
- 芳香族(ほうこうぞく Aromatic Compound)
- ベンゼン環を含む化合物。主にベンゼン・トルエン・キシレンの総称。芳香をもつ化合物の共通構造であったことから「芳香族」とよばれるようになった。アロマ。BTX(ベンゼン、トルエン、キシレン)。
- 防食亜鉛板(ぼうしょくあえんばん)
- 船体周囲や配管は海水で満たされているので、鉄よりも先に亜鉛を腐食させることで、鉄の腐食を防ぐために取り付ける亜鉛板や亜鉛棒などを『防食亜鉛』という。
- 膨張式救命筏(ぼうちょうしききゅうめいいかだ Life Raft)
- 膨張式救命筏の歴史は古く1913年第1時世界大戦において英空軍が膨張式救命筏を採用したのがはじまりと言われている。その後、1960年SOLAS条約で正式に採用となった。通常はカプセルに格納されており、船体放棄(総員退船)する際、海面へ投下すると自動で膨張し筏の形となる。筏の中には生き延びるために飲料水、乾パン、信号灯、海面着色剤、日光信号鏡(いわゆる鏡)、生存指導書、レーダー反射板、釣り針、釣り糸等が備えられている。
- 膨張トランク(ぼうちょうとらんく Expansion Trunk)
- 膨張トランクとは、温度が上昇することによって高圧になる等の危険を防ぐために貨物タンクに設けられた場所のことをいう。
- 補機(ほき)
- 主機以外の機関を指す。代表的な機関として発電機、各種ポンプ、通風装置、ボイラー、空気圧縮機、給水機、潤滑油ポンプ等。⇔(反)主機(しゅき)
- 北西太平洋地域海行動計画(ほくせいたいへいようちいきかいこうどうけいかく NOWPAP)
- Northwest Pacific Action Plan(NOWPAP)。国連環境計画(UNEP)では、閉鎖性が高く環境汚染物質が蓄積しやすい国際海域を保全することを目的として、沿岸国が連携協力して対策を行う地域海行動計画を提唱しており、その一つとして、日本海および黄海を対象としたNOWPAPが、沿岸国である日本、中国、韓国およびロシアにより1994年9月に採択された。各国協力の内容は、(1)海洋データベースの構築、(2)海洋汚染のモニタリングと分析評価、(3)海洋汚染事故に対する準備と対応策の構築などである。
- ホギング(Hogging)
- 船体が長さ方向に対してやや凸の状態、すなわち中央が船首部・船尾部より上昇している状態(又は現象)のこと。
- 保険証券(ほけんしょうけん)
- Insurance Policy は、貨物保険が付保されていることを証しているもので、裏書きにより権利譲渡がなされるが、有価証券ではない。カーゴ・ダメージがあった場合には、オリジナルの証券に基づき求償処理がなされる。付保の仕方にも“個別保険”と“包括保険(Open Pohcy)”がある。
- 保持船(ほじせん)
- 2隻の船の針路が交差し衝突の恐れがある場合を「横切り関係」といい、横切り関係になった場合は、「他船を右に見る船」に避航の義務があり、もう一方の船は速力を保持して航行しなければならない。この時に針路速力を保持して航行しなければならない船を「保持船(針路速力保持船)」という。
- 保針(ほしん)
- 風や波を受けないように船の針路を安定に保つこと。
- ボースンストア(ぼーすんすとあ Boatswain's store)
- 甲板長倉庫。航海関係の索具、修理用工具、予備品等を格納するために使用する倉庫で船首揚錨機の下部に設けられている。
- 保税運送(OLT)
- Over Land Transportの略で、外国貨物(未通関貨物)を保税のままで、他の保税地域に運送すること、
- 保税蔵置場(ほぜいぞうちじょう)
- 税関長から許可を受けた場所で、輸出入申告(CY通関を除く)を行う場合、貨物を必ず搬入する場所のこと。旧保税倉庫と保税上屋が一緒になり、“保税蔵置場”となった。保税蔵置場での蔵置期間は3ヵ月、倉入れ承認(関税未納のまま保管すること)を受ければ承認後2年間である。
- ポートステートコントロール(ぽーとすてーとこんとろーる PSC)
- Port State Control(PSC)。寄港国による監督。IMO(国際海事機関)やILO(国際労働機関)が定める国際条約の基準に適合していない船舶を排除するために、船舶の寄港する国(ポートステート)の監督官が入港船舶に対して船舶の設備、乗組員の資格などについて条約に適合しているかを検査すること。1981年、IMOにおいてPSCについての監督手続きに関する決議が採択されたことを契機に、世界的にPSCが本格的に実施されることとなった。我が国は1983年から船員の資格・航海当直体制にかかわるPSCを、1984年から船舶の構造・設備にかかわるPSCを本格的に開始し、その後も逐次その充実強化を図っている。
- ボートダビット(ぼーとだびっと)
- 船舶に積載されている救命艇を水面に降下させる装置のこと。電力がなくてもボートの自重で自動的に降下する、重力型が一般的に採用されている。
- ボラード(ぼらーど Bollard)
- 係船柱。船を係留する際に係船ロープを巻きつけ、係止するため、甲板上または岸壁に設置した柱。2本1組のものがボラード。(1本のものがビット)
- ボレロ(ぼれろ)
- ボレロ(Bolero)は Bill of Lading Electric Research Organizationの頭文字を取ったもの。貿易における電子商取引をいう。船荷証券(B/L)や輸出入関連の貿易船積書類を電子化してネット上で譲渡流通させる取引。電子データを中央の運営機関で認証し安全性を確保する。運営組織体はBolero International Limitedと称し、1998年6月に設立。 ボレロ(bolero.net)は、世界の主要金融機関と海運業界各社が参加する団体を設立母体とするため、特定の企業に結びつくことのない中立的な存在である。利用者は有価証券であるB/Lの権利移転を電子的に管理するタイトル・レジストリ(Title Registry)機能を利用することができる。また、自動決済サービスにより、文書応諾チェックから決済に至るまで、時間とコストのかかる手作業の手間を省き、bolero.net−銀行間の情報交換を完全に自動化し商談から決済までの貿易業務処理のSTP(Straight Through Processing)を実現している。
- ホワイトリスト(ほわいとりすと)
- 95年改正STCW条約の基準を遵守し、海技資格を証明する制度が確立していると認められる締約国のリストで、2000年12月のIMO(国際海事機関)の海上安全委員会において第1回目のホワイトリストが公表された。
- 本船扱い(ほんせんあつかい)
- 通常輸出入貨物は、保税地域又は他所蔵置場所に搬入した上で輸出入申告を行うのが、原則であるが他の貨物と混載されていない均質、大量貨物等については、本船に積んだまま輸出入申告をすることが認められているが、“本航扱い”とはこの取扱い方法をいう。具体的な取扱い諸条件は「ふ中扱い」に準じる。
は
ひ
ふ
へ
ほ
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