土砂災害の広島で避難者住宅に空き巣、避難を促すニセ電話も
広島市で20日に発生した土砂災害で、被災地域の避難者らの住居を狙った空き巣が相次いで確認されたことが23日までに、分かった。県警では、被災住宅に避難を促すニセ電話をかけ、住民を外出させようとする手口も確認しており、注意を呼びかけている。一方、発生から初の週末を迎えた現地では、災害ボランティアの姿も増え、この日は1000人以上が、がれきの除去などにあたった。
2011年の東日本大震災でも一部で問題となった空き巣行為が、捜索活動の続く広島市で確認された。
安佐北署によると、23日までに2件の被害を確認。安佐北区可部東6丁目近くでは、避難先から自宅の様子を見に来た住民が、現金1万円と時計4個(計1万円分)がなくなっているのを見つけた。濁流の影響で壊れた玄関のドアから侵入したとみられる。
さらに、そこから徒歩圏内の別の一軒家でも、1階のガラス窓が割られて何者かが土足で住宅内を歩き回った跡が残っていた。住民男性(73)は、貴重品を持って避難していたが、タンスやカバンの中が荒らされていたといい、男性は「まさか自分がこんな目に遭うとは」と、悲しそうに語った。
2件とも、住民は避難のため、災害当日の20日午後から21日早朝まで家を空けていた。空き巣は、この時間帯を狙ったものとみられる。22日からパトロール用の警察官を増員した安佐北署では、「被災で窓やドアが壊れているところもあり、カギをかけるのが、難しい家もある。外に出る時は、せめて貴重品だけは常に着けてほしい」と避難者に訴えた。
一方、安佐南区では、八木地区の住宅に、警察官を名乗る女性から「避難勧告が出たので避難してください」との電話があった。何者かが空き巣目的に外出させようとした可能性があるとみている。県警では「電話で避難を呼びかけることはない」としている。