船内妖語の基礎知識
始めに乗組員の方の船内での役職および、呼び方を教えたいと思います。これらは、あくまで水産大学校練習船の中での役職・呼び方であり、他の船舶によっては違う場合があります。くれぐれもお気をつけください。
甲板部 | 機関部 | ||
役職 | 船内での呼び方 | 役職 | 船内での呼び方 |
船長 | キャプテン | 機関長 | チーフ エンジニヤー |
首席一等航海士 | チーフオフィサー (チョッサー) |
首席一等機関士 | ファースト エンジニヤー |
次席一等航海士 | ファースト オフィサー |
次席一等機関士 | ジュニアファースト エンジニヤー |
二等航海士 | セカンド オフィサー |
二等機関士 | セカンド エンジニヤー |
三等航海士 | サード オフィサー |
三等機関士 | サード エンジニヤー |
甲板長 | ボースン | 操機長 | ナンバン |
甲板次長 | ストーキー | 操機次長 | ストーキー |
操舵手 | クォーター マスター |
操機手 | ナンブスリー、 ナンブフォー |
甲板員 | セイラー | 機関員 | ファイアマン |
通信・事務・司廚部 その他 | |||
役職 | 船内での呼び方 | 役職 | 船内での呼び方 |
通信長 | 局長 | 事務長 | パーサー |
医者 | ドクター | 事務員 | クラーク |
司厨次長 | 次長 | 司厨長 | 司廚長 |
司厨員 | ボーイ | 司厨手 | コック |
ここからは、さらに深く突っ込んでいこうと思います。ちょっとした知識を要する言葉もあるかもしれません。もし分からない言葉があれば、掲示板、もしくはメールにて投書してください。こちらも、なるべく一般の方にも分かりやすく説明するように注意を払っていますが・・・ おつむが弱いもんで。
あ行 | か行 | さ行 | た行 | な行 | は行 | ま行 | や行 | ら行 | わ行 |
船内用語 一般用語 解説 アスタン
(Astern)後進 船が後ろに下がること。 アヘッド
(Go Ahead)前進 船を前に進める事。 アンカー
(Anchor)錨 船をその場に留める時に投入する。アンカーを投入してその場に留まる事を錨泊という。 ウェス
Waste (Yarn)ぼろ布 主に拭取り用のぼろ布。機関の掃除や、整備・点検等において機関部は大量に消費するので重宝する。 エヴァポレイター
(Evaporator)
RO
(Reverse Osmosis)造水装置 耕洋丸にはこの2つが稼動している。前者は海水を蒸留させる方式。後者は海水を浸透膜に通して濾す方式。海水の温度によって変動するが、一日の造水量を合計20トンぐらいに抑えている。天鷹丸はROのみ使用している。 F.O
(Fuel Oil)燃料油 エンジンを動かすには絶対に必要なもの。船舶においては一般に重油を使う(LNG船はガス)。なかでも高級なA重油から、低質でドロドロのC重油まであり、一般の商船は経費削減から後者を使う。 L.O
(Lubricating Oil)潤滑油 金属同士が常に擦れあっているエンジン等の稼動部分は、これがないとすぐに焼きついてしまう。とある話で潤滑油が供給されず、ものの数分でエンジンは停止してしまったと言う。もちろんその後はエンジンオーバーホール。 エンジンルーム
(Engine room
E/Rと表記)機関室 海洋機械工学科の乗船学生はお世話になる、船を動かすための重要な機械等が凝縮された空間。主機関をはじめ、発電機関、冷凍空調装置、船によってはボイラや蒸気タービン等等、機械好きにはすべてが興味の的になる。
ちなみに熱発生源が凝縮されているため、機関室温度がディーゼル船では40度、タービン船では50度を突破する。オス
(o-su)押忍 水産大学校の練習船内での挨拶は基本的にこれ。教官は「船内ではどんな挨拶でもいいからこれを励行する」と言われるが、女性乗組員はもとより女子学生も最終的には”押忍”になる。雰囲気的にも何故かこちらの方が良く似合う。おはようございます? こんにちは?? それらを発するカロリーがもったいない。 オモテ
(Bow)船首 船体前方部分。
船内用語 一般用語 解説 カシグ
(Heel)傾く 船体がローリング、ピッチングしている状態。バラストの管理をしていないとこのような状態に陥る。 ギャレー
(Galley)調理室 乗組員等全員の食事を作っている場所。講義、ワッチ中は、鼻腔をくすぐる芳醇な香りが乗組員等のおなかを惑わす。 グ○ーンピース
(野菜)
(G○een ○eace)グリーン
○ース妄信狂信的酔狂な過激環境保護団体の代名詞。活動資金集めのために、利用されているとも知らないのか、矛盾した活動を厚顔無恥で行うア○な団体。
水産大学校の遠洋航海では、このグリ○ンピ○スの活動を垣間見る事が出来る。寄港地で練習船付近の見知らぬ外国の方から、「ツナ!? ツナ!?(ツナ=マグロ)」と言われたら注意しよう。元気な水大生なら力の限り戦ってください。
ただでさえ有色人種を締め出そうとする動きのある白豪主義復古中のオースト○リアや、その他ニュー○ーランド等では特に要注意。あの純真一直線の情熱にはマジびびります。
なお、この用語に関して伏字が多いのは、別にこの団体からハッキングを受けて勝手に書き換えられているからでは有りません、あしからず。舷門
(Gang Way)船出入り口 船を出入りする方はここで氏名を告げてください。遠洋航海のときは現地の方もこられるので英語は必須。船内見学を希望する人、娼婦を売りに来る人、妄信的酔狂的過激環境保護を訴える方々等、ほんとに様様な人が来る。 コンルーム
(Control room
C/Rと表記)機関制御室 機関室で頑張っている各種機器の状態(主に温度や圧力など)をここで監視する。また、配電盤もここに集中しているため、ブレーカーを落とさないように気をつけなければならない。下手したら船が停まります。
船内用語 一般用語 解説 サー
(Sir)了解
完了とくにブリッジにおいてワッチの時、コースなどの指示されたことは必ず復唱し、指示されたことを完了したならば復唱の後にサーを付けて確認する。少なくとも、日本人で名前の前にサーを付ける人はいないでしょう。 サロン
(Saloon)大広間
(客間)重要な客人が訪船した場合、贅沢なつくりであるこのサロンに招き入れる。遠洋航海時には税関の職員の方々が良く利用される。
普段は滅多に使用されない。学生の利用なんてもってのほか。シュキ
メインエンジン
(Main Engine
M/Eと表記)主機関 船を動かす要、航海訓練所の有名な帆船”日本丸・海王丸”にももちろんこれが付いている。船舶のエンジンは、蒸気タービンから現在、過給機付きディーゼルが主流。この過給機の発達のおかげで、出力が無過給機関と比べて最高10倍近くまで増加させる事になる。冷却も海水を2次として利用するので、自動車と比べても非常に熱効率が良い。 スカイライト
(Sky-Light)天窓 機関室上部に設けられている開閉式の窓。こもる熱気を逃す役目もあります。 スターボード
(Starboad)右舷 船首に向かって右側
語源は、昔の船は舵が右舷側についており、英語でStair Board (ステアボード)がなまってスターボードになったという。スタンバイ
(Stand-By
S/Bと表記)準備
用意他にも4年生の遠洋航海のときに、寮生によって行われる水産の心意気を表す伝統行事としての名称もこれ。 船底弁
(Kingstone Valve)海水吸入元弁 呼んで字のごとく、船は船底から海水を取り込んでおり、冷却清水の冷却用として利用されている。その他にも雑用として、掃除用に甲板へ送られたり、海水風呂として使用されたり、、造水装置にも送られている。港内ではフィルターにゴミやクラゲ等が溜まるので非常に困る。たまにお魚さんも入っている。
船内用語 一般用語 解説 ターボチャージャー
(Turbo Charger)過給機 船舶のエンジン出力は、この過給機の性能によって決まると言っても過言ではない。エンジンから出る排気エネルギーを吸気エネルギーに変換して空気を多く吸い込んで出力をアップする。自動車においては燃費が悪くなると酷評されるこれも、船舶において出力は最大で無過給機関の約10倍に達し、冷却も海水を利用するなど非常に熱効率が良いので、燃費(燃料消費率)も断然良くなると言う、画期的な発明。 タラップ
(Trap)舷梯 停泊中船から乗下船するとき、パイロットが船に乗りつけるときに利用する。 チャートルーム
(Chart room)海図室 この部屋で海図を広げ、計測結果より現在地を割り出す。1時間に1回は海図に現在地を書き込む事が、国際条約によって決められている。 ディスポーザー
(Disporser)残飯粉砕
処理装置残飯はディスポーザーで粉砕! 後は魚の餌になるのです。陸から遠く離れれば直接海中へレッコします。 デッキ
(Deck)甲板 船外の通路、作業場となる場所。なかでも木張りの甲板を木甲板(もっこうはん)という。また、各階の甲板によって、”コンパスデッキ””キャプテンデッキ””2ndデッキ”などと呼ぶ。
練習船では、広い船尾甲板でトレーニングやスポーツの場と化す。テレグラフ
(Telegraph)伝令器 ブリッジとコンルームの間をつなぐ連絡手段のひとつ。これの指示によりエンジンの発停等を行う。 トモ
(Stern)船尾 船体後方部分。水産大学校練習船の場合、とも甲板での作業があるので広くとってある。そのため朝のラジヲ体操もここである。休み時間になると運動場に様変わり。他にもレクレーションの場にもなる。
船内用語 一般用語 解説 ノット
(knot)船速
(節)1ノットとは、1時間に1マイル(1マイル=1852m)走る速度を言う。
船内用語 一般用語 解説 バウスラ
(Bow-thruster)船首
推進装置出入港時に船首を舵以外で左右に転回させる装置。船首喫水線下にトンネルが設けられており、その中のプロペラを回転させて水流を船体の左右に発生させる事によって推力を得ます。大きいモーターを使用(つまり電気をいっぱい食う)するため、発電機を2台並列運転にしないと運転できません。 パントリー
(Pantory)配膳室 学生は自分たちで食器などの片付けをする。冷蔵庫や調理器具なども置かれており、寄港先で買ってきた材料や釣った魚など、自分たちで料理をする事も可能。 ピッチ角
(Pitch Angle))プロペラ
翼角度船においてはプロペラの翼角(羽の角度)を指す。なんと現在、プロペラの翼角を変更することができる船もあります。これによって船速を容易に変えることができるのです。 百薬の長 酒
(Sake)白波 ファンネル
(Funnel)煙突 化粧煙突と訳す。主機関や発電機関、ボイラなどの排気管がむき出しではかっこ悪い。そこでそのまわりをケーシングで隠す事にした。このケーシングをファンネルと呼ぶ。 プロペラ
(Propeller)スクリュー 船の中ではスクリューではなく、プロペラと言いう。これには大きく二つに分類でき、ひとつが固定ピッチプロペラ。これは翼角が一定のプロペラで、船速を変更するにはエンジンの回転数を変えなければならない。これに対して可変ピッチプロペラが生まれ、これはエンジンの回転数を変えることなく、翼角を変えることによって自由に、そして簡単に船速を変えらることができる。水産大学校の練習船には後者を設備している。 ベーシン
(Basin)手洗い 船が時化ている時は繁盛する。 ホィールハウス
(Wheel house
W/Hと表記)操舵室 ブリッジにある船を操るところ。各種レーダーやコンパス、舵輪に計測機器が置かれている。 ポート
(Port)左舷 船首方向に向かって左側。ポートといわれる所以は、昔の船は左舷側に舵がついておりこれを壊さないように、また今ではプロペラの回転方向に伴う事情(固定ピッチの場合)から、接岸するときは左舷側に港をつけるのが容易なので、この名がついたという。ちなみに水産大学校練習船は可変ピッチプロペラなので、右舷側が容易。
船内用語 一般用語 解説 マイル
(Mile)浬 船がどれだけ走ったかを示すとき、船の中ではマイル表示をする。1マイルは1852メートル。 メガネ
(Ring Spanner)リングスパナ メガネレンチのこと。確実にボルト・ナットを締め付けたいときに使用する。メガネのように柄の両端についている。レンズは入っていません、あしからず。 メスルーム
(Mess room)食堂 学生の場合、教室と兼用しています。 モンキー
(Monkey Spanner)自在スパナ 決して猿ではない。モンキーレンチのこと。ボルト・ナットの径を問わないスパナ。でも頭をなめやすい。非常手段。
船内用語 一般用語 解説 冷却海水 C.S.W
(Cooling Sea Water)自動車ではエンジンの冷却水を送風によって冷却しているが、これが船舶の場合になると、冷却水を船底弁から取り込んだ海水によって冷却している。よく船の舷側下から水がジャバジャバ出ているが、あれはこの冷却し終わった海水を捨てているのである。冷却海水と書かれていても、実際はただの海水。 冷却清水 C.F.W
(Cooling Fresh Water)400度〜500度に達するエンジンは、冷却してあげないといろいろと不都合が起きてしまう。そこで清水によって、暑く燃えたぎる水産男児のようなエンジンを冷ましてやらないといけない。 レッコ
(Let go)捨てる 投げる 決してレッツゴーではない。係留策を解くときからゴミを捨てるときまで、下船して日常生活に戻ってもなお頻繁に使用する。 ログブック
(Log book)航海日誌
機関日誌国際条約により、一定時間ごとに、航海日誌の場合は船体を取り巻く情況(現在地、航走マイル、気象等)、記事を記載し、機関日誌の場合には各種機器の現在値を記入しなければならない。
これらはもし事故などを起こした場合の重要な証拠書類となる。最低5年間は保存しておかなければならない。
船内用語 一般用語 解説 ワッチ
(Watch)当直 船に就職したならば避けて通れない道。学生等ももちろん行います。見張りの事。
0(12)時から4(16)時までを通称ゼロヨンワッチ
4(16)時から8(20)時までのヨンパーワッチ
8(20)時から12(0)時までのパーゼロワッチ
といい、通常一日三交代制です。
他にも恐怖のブローワッチなどもあります。近代化船では、毎日朝の8時から夕方の5時まで、しかも日曜はお休みという陸上と変わらない勤務時間がほとんど。