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海運雑学ゼミナール
037 だいぶ訛っているけれど船の上では標準語
 海事用語の多くは英語から来ている。しかし実際に船員や海事関係者の会話を聞いていると、英和辞典ではみつからないような不思議な単語がよく飛び交う。
 例えば「チョッサー」。これは一等航海士のことで、チーフオフィサー(chief officer)が訛ったものだ。
 このほかにも「ボースン(boatswain=甲板長)」、「ナンバン(No.1 Oiler=操機長)」、「ホコ(hook=釣り金具)、「テークル(tackle=索具)」、「チェン(chain=鎖)」、「ヒーボイ(heave away=クレーンのワイヤを締める、貨物を吊りあげる)」、「ストライキ(slack a way クレーンのワイヤーを緩める、貨物を吊り下げる)」など数多い。
 どれも長い伝統の中で使われる自然に訛って使われるようになったもの。一般にも「スタンバイ」も、やはり海事用語の「stand by!=用意!」が訛ったものだ。
 こうした現象は、日本に限らず英語圏を始めとする世界の海運界に広くみられ、訛ったまま世界共通語として通用している言葉も多い。「ボースン」や「テークル」、「スタンバイ」などはその例だ。
 なぜこうした訛りが生じるのか定説はない。しかし海に生きる男達の匂いを漂わす海運独自の「方言」に、いい知れぬ魅力を感じる船好きも多いはずだ。
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