ボースン(甲板長)
本当は、操舵手やセイラーマン、操機員やコックなど、まだまだ船にはたくさんの乗組員がいる。 ところがわたしの下船が突然決まってしまい、このブログも間もなく終わりになってしまう。 (ブログが終わるかどうかはわからないが、少なくとも航海記は終わる。) したがって、乗組員紹介記事はこれが最後になるだろう。 一等航海士を頂点とする甲板部は、士官である3人の航海士の下に、無資格の甲板員が6〜7名いる。 甲板長(Bosun, Boatswain)はその無資格クルーの親分であり、軍隊で言えば下士官、曹長にあたる。 (そのほか、機関部、司厨部にも合わせて8名の無資格クルーRatingがいる。) 甲板部の野郎どもは、整備作業をするのが航海中の主務だが、揚錨機を預かり、ロープ作業もワイヤのアイ入れもこなす。 高所作業もロープに下がり軽々とやる。セイラーのヘッドとして、かなり立派な職人だ。 一般に船の世界ではボースンと呼ばれるが、わたしのイメージでは老練で頑ななオヤジがボースンだ。 若い航海士にとっては鬼軍曹的な存在であり、わたしも若いころ、厳しく甲板作業を教えられた。 強烈な記憶だ。 恥ずかしい話、現場を知らなかった駆け出し航海士だったわたしは、よく泣かされた。 士官とは名ばかりで、経験のなかったわたしがボースンにかなう筈もなかったのだが、 「船というのはそんなもんじゃねえんだ。」 北海道の浦河出身のそのボースン、何かとそう言ってわたしを叱責したものだ。 かなり悔しかった、が、わたしには抗弁するだけの実力が備わっていなかった。 だが現在、日本人のボースンはいなくなり、しかも本船のボースンはわたしと同い年で、イメージする老練な雰囲気はない。 それでも、ボースンという職はわたしとはおいたちの違う「長」だけに、どこか畏敬の念を持ってしまう。 たとえば、本船の一等航海士はわたしより10も年上だが、かれに敬語で話されてもなんとも思わない。 航海士の仕事は資格がなくてはできない「やや」知的な仕事であるかもしれないが、わたしも経てきた道だ。 しかし、同い年とはいえボースンに敬語で挨拶されるだけで、少し緊張する。 どうも過去のボースンのしごきが今もトラウマになっているらしい。 写真
■本船の甲板長。ボースン。 |
人の世界はどこでも一緒ですね。エリートとベテラン。海自・海保・警察・消防・税務署などなど。
要はベテランにバカにされずに懐かせて、如何に部下の人心掌握を図るかですよ。(ひょうたん島)
2008/5/25(日) 午後 1:07 [ ひょうたん島 ]
デッキの現場はぼースンには頭は上がりませんねえ。
ワイヤーのアイ入れ等ははどのキャプテンでも難しいでしょう。ユーモアと異文化理解で統率・・いい経験でしょう。たかまる
2008/5/25(日) 午後 8:25 [ tak*ma*u0*07 ]
大相撲5月場所は琴欧州ヨーロッパ人初の優勝、14勝1敗で立派です。大人気でテレビも大騒ぎです。笑顔がいい。
州にサンズイをつけた字にして初優勝・・海は縁起がいいですねえ。
白馬4勝11敗、ざんねんでした。
2008/5/25(日) 午後 8:52 [ tak*ma*u0*07 ]
ひょうたん島さん、
仰っている意味、よく分かります。
やはり縦社会、テクニカルスキルよりもヒューマンスキルのほうが重要な場面が多かったりしますね。
2008/5/26(月) 午前 8:24
takamaruさん、
船はいろんな人に支えられて動いていると思いますね。陸側でも、船内でも。
アイ入れにかんしては、わが社の航海士はみんなできますよ。
2008/5/26(月) 午前 8:33
誠に失礼しました。アイ入れ全員できる現場スキルは頼もしいです。安全運航のベースです。
2008/5/26(月) 午前 9:15 [ tak*ma*u0*07 ]
ところで、原油高の影響はどうですか?沖縄の海運会社倒産のニュースみました。
2008/5/26(月) 午後 1:28 [ ]
takamaruさん、
ははは、やはり部員の仕事内容を、部員ほどうまくできなくとも、理解できないと、という社の方針のようです。
2008/5/26(月) 午後 6:30
nunureoさん、これはかなり影響していますね。
しかしながら原油高によるマイナスよりも、運賃・傭船料高騰のほうがものすごく、結果的には燃料の高騰は吹き飛んでしまっております。喜んでいいのやら・・・近い将来が怖い状態です。(笑)
2008/5/26(月) 午後 6:32
私の父はボースンでした。定年まで乗船員を守り、今は隠居です。貴重な写真ですね。現場はみせてもらった事なかったから。
2008/9/18(木) 午後 9:42 [ ポースン ]
立派にお勤めされたんですね。
ボースンには、古い記憶ですが、本文にもあるようにトラウマがあり、船長になった今でも畏敬の念が抜けません。職人肌の、またわたしとは違う気質のプロですね。
2008/9/18(木) 午後 9:48