坂本、竜討ち復活逆転弾「ホッとしています」
◆巨人4―1中日(23日・東京ドーム)
全てを吹き飛ばした。1点を追う初回1死二塁。坂本は、1ボールから山井の甘く入ったスライダーに迷うことなく踏み込んだ。「久しぶりに出たヒットがいい形だったので、ホッとしています」。豪快なスイングから放たれた打球は美しい放物線を描き、左翼席中段へ。自身25打席ぶりのヒットが、逆転の12号2ラン。完璧な一発でたまりにたまったうっぷんを晴らした。
長いトンネルからようやく抜け出した。17日の広島戦(マツダ)の第2打席でタイムリーを放って以来、自己ワーストタイとなる24打席連続無安打に苦しんでいた。チームがサヨナラ勝ちした22日の中日戦(東京D)でも4打数無安打。試合後には「もう、打てないんだよ」と珍しく感情をあらわにして悔しがった。
昨年のこの時期も苦しんだ。8月以降の54試合で打率2割2分3厘。20打席以上連続無安打の時期が2度もあった。連戦による疲労から右足を痛め、打撃フォームを崩したのが原因だった。「あれだけ20何打席も打てないっていうのは、今までなかった。僕の技術不足でズルズルいってしまったし、プロの壁だと素直に受け止めました」
今年も蓄積疲労から下半身が踏ん張りきれず、上体が前に突っ込んでしまっていた。だが昨年の経験も踏まえ、「焦っても仕方ない」と自らに言い聞かせた。この日の全体練習前の個別練習では、ロングティーを行い、体全体を使って大きくスイングすることを確認。さらに練習中には、原監督から、打ちに行く際に顔が下がっていることを指摘され、最後まで体の軸を残して打つことを意識して臨んでいた。「力を抜いていい感じでバットが出ました」と理想の形から放たれたアーチだった。
だが、その後の3打席ではノーヒット。試合後は「早く次の一本が出るように頑張りたい」と切り替えた。頼れる背番号6が復活ののろしを上げた。(井上 信太郎)