竹内結子、18年で初舞台に「背中びしょびしょ」奮闘中
初舞台で主演を務める「君となら」(脚本・演出=三谷幸喜、東京・渋谷のパルコ劇場)を上演中の女優・竹内結子(34)を直撃した。ドラマ、映画では第一線で活躍してきた竹内だが、舞台では初体験の連続に「余裕ゼロなので、この先どうなるんだろうって感じ。開演前は指先が冷たくなってます」。三谷氏の初期の名作コメディーと格闘中の竹内に心のうちを聞いた。(高橋 誠司)
ピアノのイントロが鳴り響く。「うわーっという焦りのような不思議な気持ちになりますね」。18年のキャリアでも初めての体験という。
「やっぱりやることの量が多いので、1個やったら1個忘れてそうで怖いです」。初めての舞台は、想像以上にハードだった。9日に初日を迎えたが、すでに舞台の恐ろしさを体感した。「セリフがどんどん転がっていく舞台なので、年齢や数字を間違えるともう大騒ぎですね。こんなに人前で汗をかくんだってくらい、背中びしょびしょです」と苦笑いした。
竹内が演じるのは、70歳を超える恋人のケニー(小林勝也)との交際を家族に切り出せず、うそにうそを重ねてしまうヒロインの小磯あゆみ。あゆみに振り回される一家の騒動を描くコメディーだけに、うそを言うタイミングや間の取り方が出来を左右しかねない。「うまく言わないと“ぬるっ”となってしまったり、その一つ一つは大事ですね。あゆみは存在自体が無責任な人なのでそこはブレないよう心掛けてます」
映画「ステキな金縛り」(11年10月公開)で初めて仕事を共にした三谷氏から舞台の素養を見込まれ、17年ぶりの再演となった本作の出演依頼を受けた。「舞台を避けてきたわけではなかったんですが、今回はうまく話が進んで。やったー!と思いましたが、その後すぐに怖くなりました」。7月からの稽古では、三谷氏から「映像よりも大きな芝居をすること」「客との間の取り方」などのアドバイスを受けた。「声を大きくしてもがなってるだけだし、なんか勝手が違って。稽古では私ひとり出遅れてる感じがしました。幕が開いてからもお客さんとのコミュニケーションが難しくて課題ですね。まだ自分が入っていけてないのかなあって反省してます」
愛息が待つ自宅でも舞台のことで頭がいっぱいだ。「公演を終わって帰るともうグッタリ。家族とテレビ見たり、お風呂に入ってても『あのセリフなんだっけ?』って不安になって、台本を引っ張り出したりしてます。予備校生みたい」。東京公演(パルコ劇場)は9月15日まで行い、その後大阪(シアター・ドラマシティ、同17~23日)、名古屋(名鉄ホール、同25~28日)と長丁場。「登山口に入ったら逆に頂上が見えなくなった感じ? 今は毎日、反省反省ですが、千秋楽で『次また舞台がやりたい』と思えるようになることが目標かな」。竹内の試練の夏はまだまだ続く。