刀の鯉口を切った状態で、相手との間合いがどのくらいかによって、
立ち廻りの振り付けの方向性も変わってきます。

このように適度に距離が空いている状態では、

鯉口を切った状態でのにらみ合いから抜刀様に切り結び、すれ違って

間合いの詰まったところで袈裟に合わせたり、

足を斬りながら今度は再び相手との間合い(距離)をとるための攻防が生まれたりします。

『互いに離れたところから両者激突!』みたいな攻防が描きやすいわけです。
逆に鯉口を切った状態で、まるで出会い頭のようになり間合いが詰まってしまった場合は、
そこからそれ以上詰められず、又離れたりも出来ずというように、
まさに抜き差しならないまま硬直化した状態が続いたりと…。

つまり最初に敷いた間合いのレールいかんでは、その後の展開がまるで違うということでもあります。
だから単純にざっくりと『適当な位地で鯉口を切って。』と言っても、
その間合い位地しだいで作品のテイストがガラリと変わるということでもあります。
だから 私(清水)はこの最初の間合い設定をどうするかということに凄く時間を割きます。
又、こうした 関係性というものへの理解力は、ふだんの生活の中の人間関係から学ぶべきことが沢山あります。
『斬り合い』とはいえ、人と人の関係性ですから、
スムーズな展開になるか、詰まって進まなくなるかという原因は、
案外似ているものなんです。