ゴリラ:猛勉強で数字1〜5覚える 京都市動物園で国内初

毎日新聞 2014年07月26日 16時09分(最終更新 07月26日 20時26分)

勉強に励むゲンタロウ=京都市左京区の市動物園で2014年7月4日、宮川佐知子撮影
勉強に励むゲンタロウ=京都市左京区の市動物園で2014年7月4日、宮川佐知子撮影

 京都市動物園(左京区)の雄のニシゴリラ、ゲンタロウ(2歳)が今春から数字の猛勉強に励み、大きな成果を上げている。パネル上の数字を順番にタッチすると、リンゴがもらえる訓練を重ね、1から5までの数字を順番に認識できるようになった。動物園によると、米国でも同様の研究が行われているが、国内では初めて。難題に向き合うひたむきなゲンタロウの姿が来園者に公開され、人気を集めている。

 ゲンタロウはゴリラ舎で母ゲンキ(28)、父モモタロウ(14)と暮らす。5月上旬にタッチパネルを設置。同園生き物・学び・研究センター長の田中正之さん(46)が先生役となって勉強が始まった。

 最初は、パネル上の「○」に触れるとリンゴの破片がもらえる訓練を実施。次にパネル上に示された「1」「2」を順番に触れるともらえるルールにし、一定の正解率を超えると「1、2、3」に、更に「1、2、3、4」へと進んだ。これまでに計約4900回の練習を繰り返し、「1〜5」を習得。今月22日から「6」を加えて週3、4日の勉強を続けている。ゲンタロウの勉強ぶりに刺激されてか、無関心だった母ゲンキも興味を持ち始めているという。

 人間と同様、ゴリラも間違いが続くと勉強に対する意欲をなくすといい、田中さんは「自信を失っている時は易しい問題に戻ったり、間違えてもニンジンなどのご褒美をあげて励ましたりした」と話す。

 大型類人猿の知性研究は、京都大学霊長類研究所がチンパンジーの「アイ・プロジェクト」で成果を上げている。しかし、タッチパネルを使ったゴリラ研究は国内では例がなく、動物園は京大と提携して取り組む。

 京大野生動物研究センターの特任教授も務める田中さんは「現段階では評価が難しいが、かなり速いスピードで学習している印象だ。今後も学習を発展させ、ゴリラの知性研究の土台作りに役立てたい」と話している。【宮川佐知子】

最新写真特集