2009年10月27日

青色照明効果はホンモノか 事故・犯罪…確かに数字は減少

10月27日7時56分配信 産経新聞

青色照明効果はホンモノか 事故・犯罪…確かに数字は減少
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JR山手線の大崎駅ホームに設置された青色照明(JR東日本提供)(写真:産経新聞)
 ■増える導入例 待たれる科学的証明

 青色の照明を活用する動きが広がっている。自殺抑止や防犯、安全運転など目的はさまざま。すでに導入した地域では犯罪件数の減少や事故が減ったという実績もある。ただ、照明を設置するだけで本当に効果があるのか。各地の事例や専門家の話から、青色照明の持つ力を探った。(森本昌彦)

  [フォト]名神高速養老サービスエリアでは家庭ごみ持ち込み防止目的で設置

 ◆1年かけ検証へ

 「青色の光には人の心を落ち着かせる効果があるとされており、試行的に実施した。設置することで少しでも(自殺が)減少してくれればと考えている」

 今年9月からJR山手線の駅に青色照明を設置した理由の一つについて、JR東日本東京支社はそう説明する。10月12日に山手線が命名100周年を迎えたことを記念し、駅を明るくするとともに自殺抑止を期待しての設置という。

 支社によると、山手線の自殺件数は平成18年度9件、19年度15件、20年度18件と増加傾向にある。青色照明は列車が進入するホーム端に設置。これから1年ぐらいかけて効果を検証する。

 青色照明の設置を進めたのは山手線が初めてではない。JR西日本は18年12月から青色照明の設置を進め、関西線や阪和線など約60カ所に付けられている。

 主な目的は踏切事故の防止。人の心を落ち着かせるとされる青色照明の効果によって、踏切が降り始めてから強引に踏切内に侵入するのを防いだり、自殺を考え、気持ちが高ぶっている人の心を落ち着かせることで思いとどまらせたりすることを目指した。

 このうち37カ所で設置前と設置後の状況を検証したところ、17年4月から設置までの間に13件の踏切事故が起きていたが、設置後から今年3月まではわずか2件。一定の効果が表れている。その後、青色照明の活用は広がり、首都圏では京浜急行電鉄や西武鉄道が導入している。

 ◆目的はさまざま

 鉄道会社以外に青色照明を活用し、一定の効果を上げているケースもある。

 奈良県警は17年6月から、防犯を目的に団地や駐輪場に青色照明を取り付け始めた。設置した35カ所で前後1年の効果を見たところ、刑法犯の発生件数は14・9%減少。こうした効果から、今年4月時点で設置場所が104カ所、設置台数は3115基に広がっている。

 中日本高速道路(NEXCO中日本)も19年から、ごみの減量化を目的に、岐阜県の名神高速養老サービスエリア(SA)あんどのごみ箱近くにある照明を青色に変更。同SAでは、ごみの量が前年比2、3割減少する効果があったという。

 設置の動きが広がっている青色照明だが、実際どれだけの効果があったかは不明だ。JR西日本でも踏切事故の件数は減ったとはいえ、事故自体は起きている。また、奈良県警のケースでも、犯罪が減少した個所を見ると、青色照明設置だけでなく、パトロールなど複数の対策を行ったところでの減少が目立っている。

 本当に効果があるかどうかは科学的な検証が必要なようだ。

                   ◇

 □「科学的な実証結果ない」

 ■慶応大学の鈴木恒男教授(色彩心理学)の話

 「色として青は赤などに比べて、人を落ち着かせるイメージがある。しかし、残念ながら照明を青色に変えただけで犯罪や自殺を止めることはできないし、科学的な実証結果もない。自殺抑止や防犯についてもそれぞれ方策があるのだから、別の対策を考えるべきではないか


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