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【挿絵で振り返る「アキとカズ」】(21)竹島を不法占拠した「李承晩ライン」の惨状
ところで、この映画には日本漁船の乗組員として江原真二郎演じる在日コリアンの男が登場する。
同時期に公開された吉永小百合主演の「キューポラのある街」(浦山桐郎監督、昭和37年)では、貧しさの中でけなげに生きる在日コリアンが、北朝鮮への帰国事業に夢を託す(※当時の日本ではこちらが大多数だった)とったイメージでとらえているのに対し、江原演じる「あれが港の灯だ」の在日コリアンは、より「屈折」している。
日本人からも、韓国人からも「スパイ」「半日本人」などとさげすまれ、居場所を見いだせない。恋人にもコリアンであることをなかなか打ち明けられず、苦悩を続けるのだ。
北朝鮮への帰国事業に参加することも、彼ら(在日コリアン)にとって決して「最善の策」として描いているわけではない。この映画の製作者(今井監督や脚本の水木洋子)が「怜悧(れいり)な目」を持って、この問題の「真実」を見つめていたことがうかがえる。こうした意味でも、改めて注目してほしい映画だ。(「アキとカズ」作者、喜多由浩)
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