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崩壊の危機にひんしたこの国に、一筋の光がようやく差してきた。イラクでア…
崩壊の危機にひんしたこの国に、一筋の光がようやく差してきた。イラクでアバディ国民議会副議長が首相に指名された。情勢はなお混沌(こんとん)としているが、新政権への準備が始まる。
イスラム教シーア派、スンニ派、クルド人の三つに分裂しかかっている国内をまとめ、挙国一致の態勢を築けるか。それがこれからのかぎになる。
国家の分裂は、民族や宗派間の大規模な虐殺や避難民の発生を招きかねない。中東全体の混乱につながる恐れもある。新首相が担う責務は大きい。
国内の各勢力も小異にこだわることなく、国家再建に向けて力を合わせてほしい。
8年間にわたって政権を担ってきたマリキ前首相は、自らのシーア派に偏った人事を進め、軍や行政の重要ポストから他派を排除した。不満を強めたスンニ派部族は、過激派「イスラム国」への支持に走り、クルド人は独立志向を強めた。
議会の最大会派であるシーア派連合が、マリキ氏の下にいたアバディ国民議会副議長をあえて首相候補に選んだのも、イラクが統一国家として生まれ変わるうえでマリキ氏の退任が不可欠と判断したからだ。政権を手放そうとしなかったマリキ氏は結局辞任に追い込まれた。
アバディ氏はバグダッド出身のシーア派で、イラク戦争後に亡命先の英国から帰国した。調整型の実務家だ。欧米との交渉に手慣れている一方で、地元社会での基盤は薄く、軍や行政機関をどれほど掌握できるかわからない。
何より急がれるのは、軍や警察から排除されてきたスンニ派を統治システムに取り込み、国家の建設に参加させることだ。
手間と時間がかかる作業で、難航が予想される。しかし、イラクが国家としての枠組みを保つには、欠かせない営みだ。
近隣諸国との関係改善も望まれる。そのためには、米国、国連のほか、イランやトルコなどの周辺国が、自らの利益に固執することなく、新首相を支える必要がある。
日本はこの地域への直接のかかわりは薄いが、そのぶん調整役として適任ともいえる。積極的な貢献への道を探りたい。
イラクがこのような状況に追い込まれたのは、マリキ氏ひとりのせいではない。国内各派がそれぞれ党利党略を追い求めた結果である。
過激派が伸長し、宗派間の溝が深まるいま、対応に猶予はない。イラクの政治家たちには、今回が最後のチャンスかも知れないとの自覚を促したい。
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