ものづくりというお仕事を始めて、驚いたことの一つがテーパーというものでした。
テーパーというのは太い径から細い径に徐々に変化しているシャフトの事をいいます。野球のバットなどもテーパーになっていますし、釣り竿もテーパーになっています。
このテーパーというのは、それぞれ目的があってこの形状を成しているわけです。野球のバットならば、遠心力を利用しやすい用に先端を重くするために、先端部分を太くしています。 釣り竿はその逆で長い竿を見かけより軽くする為に、先端へ行くほど細くしています。
このように、テーパーってのは気づかないけれど、気づかないところで重要な機能を担っています。
このテーパーの仕組みに一つに、テーパーシャンクというものがあります。
機械などの切削工具、ドリルや治具を取り付けるための仕組みの一つで、この写真の様な形状をしています。
これは旋盤で品物のセンターを補助する為の工具ですが、右側のテーパーを機械側に刺して固定します。
この固定方法が不思議なのです。
機械側にはこのテーパーと同じ形のメスのテーパー穴が開いていて、この工具を勢いよくメステーパーに入れると、“トン!!”という感じではまります。
このままじゃ、何かの衝撃ですぐに抜けてしまう気がしますが、不思議なことに絶対に抜けません。
軽くストンと入れただけで、手では抜けない程の力で把握されて抜けなくなりますから、勢いよくハマると、裏側からかなりの力で突かないと抜けなくなります。
不思議でしょぉ?
小さい頃、瓶の口に指を入れたことありませんか? (まあ、大きくなってもやる人が希にいますが……。)
あれはこの仕組みに似ていて、ぴったり行ってしまうと、確実に抜けなくなりますから、気を付けないといけません。
このテーパーで固定する利点は、なんと言っても芯が出ることです。
ストレート同士のスレーブでネジ止めなどにする場合は、穴とシャフトが±0では絶対に入りませんから、必ず穴がプラス、シャフトがマイナス寸法になっています。どんなに精密に作っても、最低±0.005程度の隙間が無いと、通常の方法では入れることができません。なので、結果的に必ずその隙間分だけ芯の誤差が生じます。
対してテーパー同士ではめ合った工具は、お互いのテーパー同士で、センターに寄せ合う構造になっていて、テーパーが多少ずれていても、確実にセンターに落ち着きます。
ただし、突き詰めていくと精密に作ったストレートのはめあいの方が精度が出るらしく、最近の超精密物では金属の熱膨張を利用してクランプする焼き嵌めという方法も出てきています。
簡単な製造方法で、確実にフィットさせるというテーパー構造はいろいろなところに応用されていて、水道管などをつなぐネジ部分もテーパーネジという物が使われていて、ねじ込んでいくことで、テーパーにより隙間を無くし、水漏れを防ぐ方法が採られています。
他にも色々日常生活で役に立っているテーパー構造、皆さんも探して見てください、なるほどぉと思うこと受けあいです。
気が向いたら押してくださいな