村山富市元首相(90)は22日、ソウル市内で講演し「村山談話を否定するのなら、この世界で日本という国は生きていけない」と述べ、安倍政権による最近の歴史歪曲(わいきょく)の動きを強く批判した。第2次世界大戦での日本の敗戦から70年を迎える来年には、安倍晋三首相が村山談話を無力化する「安倍談話」を発表する懸念もある。
村山元首相は22日、ソウル市内の東北アジア歴史財団で行われた「韓日の歴史認識と日本軍慰安婦問題の解法を問う」と題する討論会の基調講演で「村山談話は日本国家の公式的な歴史認識であり、全世界に示した国際公約のため、これを再検証することは不可能だ。日本国の首相となった人はこれを守るべきであり、これを守れない人は公職にとどまることはできない」と主張した。
「慰安婦の強制動員を否定する安倍首相は、日本の首相としての資格がないため辞任すべき」との考えを遠回しに表現した格好だ。村山氏は首相在任中の1995年、帝国主義・日本の植民地支配と侵略戦争を反省し謝罪した「村山談話」を発表した。
村山氏は、旧日本軍による慰安婦強制動員を認めて謝罪した「河野談話」についても、否定することのできない、日本政府の公式の歴史認識だと主張。「河野談話については安倍首相の態度が不安を招いたことがあったが、今年3月の参議院予算委員会で談話の継承を表明した。河野談話も日本政府の公式的な歴史認識であり、これを否定することはあり得ない」と述べた。
村山氏は慰安婦問題解決のために韓日首脳会談の開催を呼び掛けた。村山氏は「今、日本だけ案を出すよう言っていては解決できないと思う。韓日首脳会談を正式に開き、慰安婦問題を解決することが必要」と訴えた。
この日の討論会には和田春樹・東京大学名誉教授、尹徳敏(ユン・ドクミン)韓国国立外交院院長、李東官(イ・ドングァン)元大統領府(青瓦台)広報首席、鄭鎮星(チョン・ジンソン)ソウル大社会学科教授、李元徳(イ・ウォンドク)国民大教授、イ・ソンスン韓国挺身(ていしん)隊研究所所長など専門家約20人が出席した。