中国美容整形事情 何が何でも日本に来て施術したい人が急増中


 美容整形大国と聞いて真っ先に思い浮かべるのはどこでしょうか?おそらく多くの方が韓国という国名を挙げるでしょう。そのとおり、韓国では美容整形がある意味文化として根付いていると言っても過言でないでしょう。


中国は美容整形大国


 では、日本はどうでしょう。たしかに美容整形ブームの波が数年前から押し寄せ、テレビ番組等でも一般視聴者から公募して美容を通じた“変身”ブームが続いています。しかし個人的な主観ではありますが、美容整形大国というイメージの浸透までは達してないかと思います。

 国際美容外科学会のまとめたデータを見ても、人口割合での美容医療施術件数は韓国がダントツ首位で続いてギリシャ、イタリア、アメリカと続きます。日本は台湾に次いで7位という結果になっています。



 では、美容整形総数でみるとどうなっているでしょうか。国土や人口に比例して、アメリカがダントツの1位で、以下、ブラジル、中国と続きます。見てわかるとおり、実は中国も美容整形の大国であり、そして毎年美容整形件数がどんどん増えています




中国人が美容整形をする理由


 前振りはこのくらいにして、本題である中国での美容整形市場に目を移しましょう。急速な経済成長に伴い、国民の所得レベルが格段と向上した中国において、ここ数年美容整形に対して熱い視線が送られています。その背景にあるのが隣の韓国や日本のファッション文化の流入、そして就活ブームでもあります。

 生活レベルが向上するにつれ、当然海外からの情報も数多く入手することができ、衣食住に関わる分野以外での消費に多くが割かれるようになってきました。そのような中で美容整形はある意味ファッション感覚で手軽にできるというイメージが浸透していったのです。

 また、国内外で活躍するファッションモデルや俳優、歌手などの影響もあります。今までは憧れの遠い存在であった彼らが、数多くのメディアに出演することで一般人の目に触れ、遠くても近い存在になったからです。

 そして美容整形することで少しでも彼らに近づきたいという願望を叶えることが、そう難しいことではないということを、メディアなどを通じて広まっていきました。特にウェイボー/Weibo(微博)などの口コミサイトの威力は絶大でしょう。

 一方、社会的に見れば就職難の時代に突入し、学歴はあって当たり前といった世界の中で、より大きな企業に入社するためには個性を主張するためのスキルや特技はもちろんのこと、リクルートファッションに至るまで強く求められるようになりました。

 といってもこれは企業側が決めたものではありません。やはり口コミサイトなどを通じて、噂が噂を広める形で、リクルーター同士の思い込みの“採用基準”が設定されていきました。これに近いことは日本でも思い当たりませんか?新卒入社はブラックスーツが基準であるといったようなことが・・・。

 というような形で、その発展形で美容整形にたどり着くことになります。つまり身なりを整える中で、“外見”の持つ重要性というのがクローズアップされていったのです。今では就活用の美容整形が当たり前になりつつあります


韓国よりも日本の美容整形に注目が集まる


 さて、ではそういった美容整形を施すためには専門医でカウンセリングして施術という流れになるのですが、当然トラブルがつきものです。

 中国国内では美容整形自体が韓国や日本に比べると新興でもあるので、国内に経験豊富な医師は少なく、施術ミスなどのトラブルも数多く存在しています。そういったニュースは口コミサイトなどで瞬く間に広がりますので、中国の患者(美容整形希望者)の中でも比較的生活レベルの高い方々は国内よりも海外に目を向けることになります。

 特にお隣の韓国は冒頭データにもあるとおり美容整形大国であり、中国国内に比べて経験豊富な医師が数多く活動されています。しかもお隣国家ということである意味気軽に往復できるというメリットがあります。

 しかし、ここ数年その流れは変わりつつあるのです。理由は何かお分かりでしょうか?最近ニュースでも取り上げられ話題になっていることですが、韓国美容整形業界特有のものとでもいうのでしょうか、“個性”という部分にスポットを当てた場合、パターン化された施術後のイメージが出来上がっているという部分です。

 つまり、施術後の顔立ちがどの患者さんも皆同じような顔立ちになってしまうということです。もう少しわかりやすく言いますと、韓国の有名な某女優のような顔立ちが量産されるといったイメージです。

 実際に私もいくつかの術後写真を見て驚きを隠せませんでした。数人並ぶと、誰が誰なのか見分けがつかないのです。たしかに一人一人は見違える程の変化を遂げ、モデルさんのようなのですが、個性が見当たりません。これには私たちはもちろん、美容整形に感度の高い中国人も敏感に反応するわけです。

 そこで、日本の美容整形に目を向けてみましょう。日本の美容整形の歴史は古く、明治時代に遡ります。日本の美容整形の特徴は素顔を生かすことに始まります。素顔を残しつつ個性を大事にする整形というものが基本に根付いています。

 もちろん最近の技術は非常に高度なので、モデルさんのように変身することも可能ではありますが、素顔=個性といった部分を大事にする姿勢は変わりありません。

 また、日本はテクノロジー大国でもあるので、先端医療や先端テクノロジーといったものを取り入れた高度医療に加え、経験豊富な医師が数多く活動しているので、「安全」「清潔」「最先端」といったキーワードをウリにしている医療機関も少なくありません。

 そのような状況ですので、多少高額な出費でも日本に来て施術したいという中国人が増大しているのです。

 実際中国の知り合いから「日本で私(あるいは、私の友人)が美容整形の施術を受けたいので、有名なクリニックと先生を紹介してほしい」というような問い合わせをしばしばいただきます。たしかに安全や安心といったものはお金では買えないものなので、経済的なゆとりを手にした中国人であれば、何が何でも日本で手術したいと思うでしょう。

 以上


夏川 浩

夏川 浩
http://www.brisian.co.jp/

ブリジアン株式会社 代表取締役。
北京出身、中国系日本人。千葉大学工学部卒業後、一部上場IT企業と一部上場印刷会社で国際営業に従事、中国において政府・メディア・企業経営者等に幅広い人脈を持つ。
2011年にブリジアンを設立、新華社・CCTV・瑞麗をはじめ中国の多くの大手国営メディアと提携し、日本企業の中国でのプロモーションやマーケティングをトータルでサポートしている。特に中国富裕層に対するアプローチを得意とし、日本への誘致や中国での高額品販売イベント・富裕層パーティーなどを手がけ、多くの成功事例を作る。
ブリジアンは日本国内において中国富裕層の集客から来日後の対応など、ワンストップで対応できる業界の第一人者である。

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