民主党の大畠章宏幹事長は22日、土砂災害で多くの犠牲者が出ている広島市の現場を視察した。

 各党で党幹部が被災地を訪れたのは初めて。行方不明者の捜索が続き、現場の混乱を避けるため視察を控える党が多い中で、大畠氏は記者団に「安倍晋三首相の政治姿勢が問われる」と述べ、衆参両院の予算委員会などで追及する考えを示した。

 視察したのは大畠氏ら国会議員3人と地元選出の地方議員ら計十数人。被害が大きい安佐南区の土石流発生現場や土砂が流れ込んだ県営住宅で消防隊員らから説明を受けた。大畠氏は視察前、「救出活動を妨げない形で状況を把握したい」と語っていた。

 首相は22日に官邸で被災地選出の河井克行自民党衆院議員と面会した際、「現場に迷惑をかけてはいけない」と述べた。首相周辺は「現場が混乱を極めている時に野党が行って何の意味があるのか」と大畠氏の視察に批判的だ。

 公明党の山口那津男代表は「地元の強い要請」(党関係者)で23日に、社民党も吉田忠智党首らが25日に訪れるが、他党は未定だ。閣僚では、新藤義孝総務相が23日に広島入りする。衆参両院の災害対策特別委員会も来週後半以降に合同視察を検討している。

 民主党は首相が20日、山梨県の別荘にいったん戻ったことなどを批判。大畠氏は21日に野党各党に「予算委で首相を追及したい」と共闘を呼びかけていた。一部の党は賛同したが、「本質的な問題ではない」と拒否する党もあり、実現の見通しは立っていない。

 被災地視察は現場対応との兼ね合いが問題になることがある。平成23年3月の東京電力福島第1原発事故では菅直人首相(当時)が事故発生翌朝に視察。混乱時に応対した吉田昌郎所長(同)は政府の聞き取り調書(吉田調書)で「(何の目的の視察かは)知りません」などと批判していた。