Updated: Tokyo  2014/08/23 12:39  |  New York  2014/08/22 23:39  |  London  2014/08/23 04:39
 

イエレンFRB議長:労働力の活用、依然「極端に低い状態」

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  8月22日(ブルームバーグ):米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長は、米国では5年間の景気回復で労働市場が改善してきたものの、依然としてあまりに多くの国民が失業状態にあるとの認識を示した。

議長は22日、ワイオミング州ジャクソンホールで開かれているカンザスシティー連銀主催の年次シンポジウムで講演し、「米経済は、大恐慌以降で最も大きく、かつ長期にわたる雇用喪失からの回復過程で相当の進展を遂げてきた」と指摘。その上で、「労働力の活用はなお極端に低い状態にある」と述べ、7月の連邦公開市場委員会(FOMC)声明に記された当局者の認識をあらためて示した。

イエレン議長の発言は、7月のFOMCの議事録で伝えられたメッセージに沿った内容に思われる。議事録では、労働市場が完全雇用に近づきつつあるとの認識を当局者らが強めつつあることが示された。ただイエレン議長はこの日、リセッション(景気後退)による「ダメージの深さ」を踏まえると、労働市場の完全な回復を指摘するのは難しいとし、政策当局者らは「幅広くさまざまな指標」に注目する必要があると指摘した。

またこれまでの発言と同様に、適切な政策を行うための「単一のレシピ」はないと説明。当局者らは「活用している政策の枠組みを明確に示す必要性に特に注意を払っている」と述べた。

労働市場の改善と利上げ

イエレン議長は、労働市場の改善が「予想よりも速いペースで続いた」場合は利上げが現在の想定よりも早く実施され、追加利上げのペースも速まる可能性があると述べた。逆に、完全雇用および物価安定の達成という当局の目標に向けた進展が期待外れな動きとなった場合は、政策は一層緩和的なものになると説明した。

この日の講演では、需要の弱さをめぐり労働市場のスラック(たるみ)がどの程度関連しているかについての議論にも触れられた。

議長は「労働市場には極めて大きな構造的要因が影響している。これには労働力の高齢化といった人口動態のトレンド、労働市場における潜在的なダイナミズムの度合いが変化する可能性、また中程度のスキルを必要とする職が相対的に減少する『二極化』の現象が含まれる」と語った。

その上で、構造の変化とされる要素の一部に関しては循環的なトレンドも当てはまり得るとし、その理由を説明した。障害者保険申請については「雇用の見通しが悪いとの認識」を反映している可能性があると指摘。また雇用機会が弱い状況に鑑みて早期引退を招いている可能性があり、労働力の高齢化による将来の労働参加率低下への寄与度は低くなるかも知れないと述べた。

原題:Yellen Still Sees ‘Significant’ Under-Use of LaborResources (2)(抜粋)

記事に関する記者への問い合わせ先:ワシントン Jeff Kearns jkearns3@bloomberg.net

記事についてのエディターへの問い合わせ先:Chris Wellisz cwellisz@bloomberg.netMark Rohner

更新日時: 2014/08/23 05:14 JST

 
 
 
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