アビスパ、降格回避へ システムソフトが1億円出資
経営再建を目指すサッカーJ2のアビスパ福岡(野見山篤社長)が、福岡市に拠点を置くシステム設計開発「システムソフト」(東京、吉尾春樹社長)から約1億円の出資を受け、増資することが22日、関係者の話で分かった。昨秋、経営危機が表面化した福岡は、本年度末までに財務が改善しなければJクラブ資格の剥奪が確実だったが、増資により回避できる見通し。
関係者によると、福岡の支援要請にシステムソフトが応じた。福岡は取締役会での承認を経て9月の株主総会で正式決定する方針。福岡の筆頭株主は、現在のコカ・コーラウエスト(福岡市)からシステムソフトに代わることになる。
福岡は2006年、31億1796万円の累積赤字を解消するため、当時の資本金33億7千万円の97・3%を減資した。以降も広告収入の低迷などから経営は改善せず、昨年10月に約5千万円の運営資金不足が表面化。サポーターからの募金などで乗り切ったが、13年度は純損失8740万円を計上し、2期連続の赤字となった。この結果、12年度に5955万円あった純資産が目減りし、2785万円の債務超過に陥った。
Jリーグのクラブライセンス(資格)制度は、12年度から3期連続の赤字、もしくは14年度末時点で債務超過のクラブは、J1とJ2に所属するライセンス発行を認めていない。関係者によると福岡は、本年度は単年度黒字となる見込みだが、債務超過の解消は微妙な状況だったという。このため来年度から下部リーグへの降格の危機にあった。
8月現在、資本金は1億2599万円。株主はコカ・コーラウエストのほか、福岡市や地場企業など87社・団体。22日現在、J2の22チーム中10位。
システムソフトは1979年、福岡市で創業。登記上の本社は東京だが、福岡市・天神にも福岡本社がある。不動産、生命保険会社などのシステム開発や、大手企業向けにウェブマーケティングのコンサルティング事業を展開している。東証ジャスダックに上場。13年9月期の連結売上高は27億円、最終利益は3億円。社員数は142人(今年4月時点)。
=2014/08/23付 西日本新聞朝刊=