蹴球探訪
英に逸材16歳「夢は日本のフル代表」
サイ・ゴダード(3月18日)
トップ > 中日スポーツ > 芸能・社会 > 紙面から一覧 > 記事
【芸能・社会】中村吉右衛門 2年ぶり「秀山祭」心待ち 初代の当たり役で奮闘2014年8月22日 紙面から
歌舞伎俳優中村吉右衛門(70)が中心となって、初代吉右衛門の功績をたたえ、芸の継承を志す「秀山祭」と銘打った歌舞伎公演が、9月に東京・歌舞伎座で上演される。「新しい歌舞伎座では、できないと思った」という吉右衛門。2年ぶり8回目を迎え、若手の台頭、抜てきもあり、これまでとひと味違った趣だ。昼夜に大役を演じる心境を語った。 秀山は、初代の俳名。昼に演じる「隅田川続俤 法界坊」は、色と欲にまみれた破戒僧が、悪事を働きながらもどこか憎めない愛嬌(あいきょう)を感じさせる人気狂言。7年ぶりに演じるが、出ずっぱりで体力のいる役で「体の状態からいって最後かも」という。 初代の当たり役で、叔父の十七代目中村勘三郎も得意とした。その勘三郎の法界坊で野分姫を演じたのが、1957(昭和32)年、萬之助時代の13歳の時だった。 その後、法界坊は3度演じた。何とも言えない愛嬌と凄惨(せいさん)な殺しの場面など二面性を併せ持つ役柄。「若いときは愛嬌を出すのが難しかった。今は恥も外聞もなくなったので、わざとらしくなく愛嬌を出せると思う。勘三郎のおじさんは愛嬌とすごみの変わり目がうまかった。おじさんよりもっと出してみたい」と意欲を燃やす。 道具屋甚三で出る片岡仁左衛門(70)との立ち回りも、ファンにはたまらない。現在の風俗などを取り込んだ「入れごと」で、大いに笑わせる場面もある。最後に舞踊「双面(ふたおもて)」で、法界坊と野分姫の合体した霊を一人で演じ分ける。吉右衛門の女形が見どころだ。 夜の部の「絵本太功記 尼ヶ崎閑居の場」は、本能寺で主君を討った武智光秀が、母親の庵室で竹やりで殺されるまでを、親子の情愛を絡めて描く義太夫狂言の名作。こちらは21年ぶり3度目の光秀になる。 初代が、市川団蔵の型で当てた芝居という。「写真で団蔵の顔のすごさを見ましたが、とてもかなわない。初代がかなわない、と言ってたくらいですから」と吉右衛門。 最初にかさを下ろして顔を見あらわす場面が大事という。「3日とはいえ天下を覆した人ですから、ただ出てきただけで大きな人」を表現しなければいけない。型はあるが、「こうやればいい」というものでもない難しさがあるという。 「秀山祭は、ボクがお山の大将という公演ではなく、初代の芸を思い出し、再確認し、知らない方には知っていただく公演。生きていたら回を重ねて20周年まで、そうでなくても続けられるよう、秀山の吉右衛門はいつまでも皆さん忘れないでいただきたい」と並々ならない熱意を明かした。 ほかに歌六らの「菊畑」、仁左衛門・千之助の「連獅子」、染五郎・松緑らの「御所五郎蔵」。公演は、9月1〜25日。 (本庄雅之) PR情報
おすすめサイトads by adingo
|