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 米ミズーリ州セントルイスで19日、刃物を持った20代の黒人男性が警官に射殺された事件で、白人警官が銃を連射する瞬間の映像が明らかになった。事件は、セントルイス郊外のファーガソンで黒人少年(18)が白人警官に射殺されたことへの抗議デモが続く中で起きた。警察側は正当性を主張しているが、「殺す必要があったのか」と疑問の声も出ている。

 インターネット上に20日、公開された映像によると、雑貨屋で飲料とドーナツを盗んだとされる黒人男性が店の周辺をうろついている時、パトカーが到着。車を降りた白人警官2人が男性に銃を向けた。男性は一瞬後ろに下がったが、右のポケットから刃物らしき物を取り出し、「動くな」との警告にもひるまない。

 男性が3メートル前後の距離から警官に近づこうとした瞬間、2人の警官が、約2秒の間に少なくとも計9発を連射した。最初の数発で男性は倒れたが、撃ち続けた。映像は市民が携帯電話で撮影したものとみられる。米報道によると、男性は「撃て。俺を殺せ」と叫んだという。

 これに対し、CNNテレビのキャスターは「脚を撃てば良かったのではないか」と、殺す必要まではなかったと指摘した。一方、犯罪捜査の専門家らは、相手が刃物を持って迫ってきたので、正当な行為だったと擁護。容疑者に対する銃の使用についての議論にも発展している。(ファーガソン=奥寺淳)