イスラム国:建国宣言後の1カ月で6300人が新加入

毎日新聞 2014年08月21日 11時29分(最終更新 08月21日 11時32分)

 ◇NGO「シリア人権観測所」が分析結果発表

 【カイロ秋山信一】シリア反体制派のNGO「シリア人権観測所」(本拠地・ロンドン)は、シリアとイラクで活動するイスラム教スンニ派の過激派組織「イスラム国」が6月下旬に一方的に建国を宣言した後の約1カ月間に約6300人が新たに組織に加わったとの分析結果を発表した。これまでイスラム国のメンバーは数千人から1万数千人規模と言われており、最近急激に組織を拡大した模様だ。

 スンニ派の大国サウジアラビアとエジプトのイスラム指導者は、イスラム国が「イスラム教の敵だ」との見解を相次いで発表。拡大を続けるイスラム国に危機感を募らせている。

 人権観測所の19日の発表によると、イスラム国は、北部アレッポ県とラッカ県を中心に新たな戦闘員の勧誘に成功した。新規参加者のうち大半をシリア人が占め、他の反体制派武装組織から移籍した戦闘員も約800人いた。外国人はアラブ諸国や欧州、中国などの約1300人で、その多くは最近になってトルコ国境から流入したという。

 イスラム国は戦闘員に月400ドル(約4万円)の報酬を支払い、既婚者には配偶者1人当たり100ドル、子供1人当たり50ドルを支給。住宅や燃料も無償で提供するほか、外国人には月400ドルの追加手当もあるという。イスラム国は油田を支配下に置いており、略奪や身代金目的誘拐も含めて、豊富な資金源を持っているとみられる。

 スンニ派の主要国であるサウジアラビアの大ムフティ(最高イスラム法官)は19日、「過激思想はイスラム教とは認められない」との声明を発表。イスラム国と国際テロ組織アルカイダが「イスラム教の一番の敵だ」と非難した。エジプトの大ムフティも「イスラム教の印象を傷つける腐敗した組織だ」とイスラム国を批判した。

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