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【全文】あなたの会社も「魂の食肉処理場」かも?ワーク・ライフバランスの正体を示す4つのポイント

 「ブラック企業」が大きな社会問題となる中、ビジネスワードとして有名になりつつあるのが「ワーク・ライフバランス」です。ワーク・ライフバランスとは仕事と生活のバランスのことを指し、現在多くの企業や団体が現在ワーク・ライフバランスを考慮した働きかたについて議論しています。

 ワーク・ライフバランスについてのベストセラー本の著者であり、ワーク・ライフバランスの啓蒙活動家としても知られるナイジェル・マーシュはこう語ります。「実は企業や多くの人が考えているワーク・ライフバランスへの取り組みは意味がなく、自分自身でワーク・ライフバランスについて考慮し、自分の手で正しいバランスを見つけるべきだ」と。

 ここでは、ナイジェル・マーシュが自らの体験やユーモアを交えながらワーク・ライフバランスについての所見とアドバイスを語るTEDの講演を書き起こします。

スピーカー

ナイジェル・マーシュ/ワーク・ライフバランス啓蒙活動家

見出し一覧

・フレックスも育児休暇もワーク・ライフバランスの本質ではない
・全ての会社は「ワーク・ライフバランスなんてどうでもいい」
・「ローマは1日にして成らず」長いスパンでバランスを考えろ
・まずは小さいことから。ワーク・ライフバランスは世界を変える

動画

フレックスも育児休暇もワーク・ライフバランスの本質ではない

 以前から願望として持っていたことなのですが、まず私の簡単な頼みごとを受けてください。少し立ち止まって、哀れな弱虫で悲惨なあなたの存在を見つめ直してください(笑)

 今の頼みごとは、15世紀に聖ベネディクトが多くの信者に与えた忠言に沿っています。この忠言は、私が40歳になったときに自らを従わせようと決めたものです。その瞬間まで、私は古いタイプの企業戦士でした。食べ過ぎや飲み過ぎを繰り返し、さらには働きすぎていて、家庭をないがしろにしていました。しかし、40歳のとき、私は人生を好転させようと考え、特にワーク・ライフバランスという厄介な問題に対処しようとしました。会社を辞め、妻と4人の子供と共に家で1年間過ごしました。その期間でひとつのことを学びました。働いていない時には、仕事と生活のバランスをとるのがとても簡単だということです(笑)もっともお金が尽きる頃にこの発見をしたのであまり役立つことはなかったのですが。

 それから再び働き始めることにしました。私は決心を固めて以来、7年間に渡りワーク・ライフバランスに取り組み、勉強し、執筆してきました。今日はみなさんに4つの所見をお話させてください。

 まず1つ目です。社会がワーク・ライフバランスについて取り組むのであれば、誠実な議論が必要です。厄介なのは、多くの人がワーク・ライフバランスについて全く馬鹿げたことを話すことです。例えばフレックスタイム制やカジュアルフライデー(金曜日はラフな格好で仕事をしても良いという制度)、父親の育児休暇…これらに関する議論は、日常的な世話を必要とする子供のいる家庭において、特定の仕事やキャリアの選択肢は互換性がないという問題の本質を覆い隠すだけです。問題解決の第一歩目は、今私たちが置かれている状況を現実的に認識することです。私たちが暮らす現実社会はいらないものを買うため、そして好きでもない人を感動させるために大嫌いな仕事に何時間も費やし、絶望を叫びつつも静かな生活を送る無数の人々で溢れています(拍手)金曜日にTシャツにジーンズで働くことなんてこれっぽちも問題の核心に迫っていないんです(笑)

全ての会社は「ワーク・ライフバランスなんてどうでもいい」

 2つ目の所見は、政府や会社はこの問題を解決する気がないという事実に向き合わなければならないということです。外に助けを求めるのは辞めましょう。自分の送りたい人生をコントロールし、責任を持てるかは自分次第なのです。自ら人生をデザインしなければ、誰かが勝手にデザインしてしまうでしょう。しかし、他人に作られたワーク・ライフバランスはあなたには合わないはずです。大切なことはインターネット上には載っていません。このような発言をすると会社を解雇にされそうですが、とても大切なことです。生活の本質を決して営利企業の手に委ねてはなりません。営利企業とはなにもブラック企業を指しているわけではなく、「魂の食肉処理場」と私は呼んでいますが、全ての会社についてです(笑)営利企業は本質的にあなたを出来る限り利用し、利益を持ち逃げしようとする性質上のもので、その行動は営利企業のDNAに刻まれているのです。健全で、善意のある企業でさえ悪質な行為をしています。一方で、職場に保育所を設けるのは素晴らしく、賢明な行動です。しかし、同時に悪夢でもあります。職場で忙殺されているのに、さらに仕事に時間を割かなくてはならなくなります。生活と労働の間に必要な境界線を設定し、実行することに責任を持たなければなりません。

「ローマは1日にして成らず」長いスパンでバランスを考えろ

 続いて3つ目の所見ですが、私たちはワーク・ライフバランスをどのような時間枠で求めるのか気を付けなければいけません。1年間の休養を経て仕事に戻る前のことですが、私は一つひとつ細かく順番に、私の理想のバランスの1日を書き出しました。こんな感じです。「たっぷりと睡眠をとって、気持ちよく起きる。その後、犬の散歩をして妻と子供たちと朝食をとる。車で仕事場へ行く途中に子供たちを学校まで送っていく。3時間働く。友人と昼休みに運動する。もう3時間働く。夕方早くからパブで仲間と飲む。車で帰って妻と子供たちと夕ご飯を食べる。30分ほど瞑想する。犬の散歩をしてそれから寝る」(拍手)こんな理想の1日はどのくらいあると思いますか?(笑)もっと現実的になりましょう。全てのことを1日でこなすのは無理です。人生におけるバランスを計る時間枠は延ばされなくてはいけません。気を付けるべきなのは、「退職した時に子どもたちは家を出て、妻には離婚され、健康は損なわれ、友達も趣味もない第二の人生がスタートする」という罠に陥らないことです(笑)1日は短く、退職した後は長すぎます。解決するためにちょうどいい方法があるはずです。

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9割の男性が妻の仕事に賛成!夫は妻の仕事に意外と理解を示していることが判明

  • 2014/08/20
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  • Rio

 安倍政権がアベノミクス成長戦略として掲げ、期待されているのが「女性の社会進出」と「夫の育児参加」。では、実際の働く男女の胸の内はいかなるものなのでしょうか?

結婚後も仕事をしたい女性は約8割、賛成する男性は約9割

 みんなのウェディングとうるるで共同企画・実施された『「結婚後・出産後の働き方」に関する調査』によると、結婚後も仕事をしたい女性が約8割、賛成する男性は約9割という驚くべき結果となりました。働き続けたい理由としては収入を得たいという理由の他に、社会とのつながりを持ちたい、自分の成長のためと答える女性が多く、働くこと自体にやりがいを持てる女性が多いようです。

 このように、女性の”働き続けたい”という気持ちが高まる中、その気持ちをサポートする家庭環境は整い始めているということですね。

女性にとって社会の仕組み以上に男性の理解は心強いモノ

 働きながら子育てをする女性は出産前に比べ、生活面で様々な制約が生じたり、精神的にも疲れてしまうもの。そんな女性にとって、身近な男性の子育てや女性の働き続けたいという意志に対する理解は何よりも心強いものなのではないでしょうか?

社会も女性の労働に積極的な動き

 最近では育休・産休を取り入れている企業も増えていますね。女性だけでなく、男性が育休を取るケースもそう珍しくありません。実際、「イクメン」という言葉をあちこちで聞くようになり、男性の子育てに対するハードルも下がってきています。

 
 このように、家庭と社会の双方で女性の働きに対しての理解が得られるようになってきました。今までは仕事を続けたくても、仕事を取るか出産を取るかという考え方が一般的でしたね。でも、どれだけの女性が出産によって自分の仕事を犠牲にしてきたのでしょうか?

 「子供を持ちながら生涯仕事を続けたい」という1人1人の意志が今後さらに、子育てが仕事を犠牲にしない制度や仕組み作りの後押しになるのではないでしょうか?

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【全文】大前研一講演:泥沼を這い上がったストリートスマートから学ぶ「経営者の勘所」

 先日、2008年のリーマン・ショック以降、下降線を辿っていた国内未公開ベンチャー企業の資金調達額が、2013年に引き続き、2014年も増加傾向となったという発表がなされました。また、設立して間もないベンチャー企業が10億円以上の大型資金調達を相次いで発表し、グローバル展開を進めていくなど、起業家にとっては世界と対等に戦っていける環境が整いつつあります。

 そんなグローバルなステージで戦う経営者を目指す上で必要不可欠なスキルが「問題解決力」。そして、その問題解決力の養成に最も力を注いでいる機関が、日本を代表する経営コンサルタント・大前研一氏が学長を務める「ビジネス・ブレークスルー大学大学院」。ビジネス・ブレークスルー大学大学院は、オンデマンド方式で講義を配信し、仕事と両立させながらMBA取得を目指すことができる国内有数の経営大学院です。今回は、そのビジネス・ブレークスルー大学大学院での講義の魅力を少しでもお伝えするため、学長である大前研一氏の講演の一部を書き起こしました。

 円高や増税など経営環境の厳しい現代日本において、経営者の多くは、事業不振の原因を外部に求め、言い訳を並べ立てる傾向にあると大前氏は語ります。しかし、戦後混乱期をしたたかに生き抜き、世界を相手に成長を続けてきた日本企業の経営者たちがいました。彼らは、答えを求めて苦悩しながらも自分自身の感覚を信じ、結果として成功を手中にしてきたのです。あまり逆境と向き合う機会がないまま、経営者・起業家への一歩を踏みだそうとしている若者に、戦後の混乱した社会を生き抜いてきたストリートスマートたちが実践してきた経営哲学を参考にし、現代を生き抜く術を大前氏が伝授します。

戦後のしたたかな経営者の多くは、本能的な感触、触覚を持つ「ストリートスマート」 

 経営者というのは、今ほとんど世の中のせいにしているんだよね。円高だからどうしようもないとか、政府は何にもやってくれないとか、そういう言い訳が多すぎる。とにかく最近経営者と話していると、自分(経営者)が本当に努力してるのかと、そういう感じなんだよね。どちらかというと、今の経営者というのは自分以外のところに問題を見つけようという、エクスキューズが多すぎる。これは多分、今の経営者の人は修羅場を通ってきてないからだと思うんだ。

 戦争が終わった後の経営者というのは、何しろ修羅場を日本全体が通ってる。それで戦争が終わった後、日本の1人あたりGDPは300ドル。草の根まで食べてる、そういう時代だよね。だから、ノーエクスキューズの状態で財閥が解体されて、そして零式艦上戦闘機を作ってた会社も鍋釜を作らないといけないと。そういう時は、やっぱりしたたかなやつがどんどん出てきたのよ。日本の経営史を読むと、したたかな経営者というのは、いわゆるストリートスマート。ストリートスマートというのは、アカデミックスマートと呼ばれる学校の出来る子と違って、嗅覚とか感覚が非常に研ぎ澄まされているわけ。今、何作ったら売れるかということに、非常な勘がある。今の経営者には、これがなくなってるんだ。

 だから、ビジネス書や日経新聞を読むにしても、こういうのはアカデミックスマートの連中が書いてる。だからみんながだんだんそれを読めば読むほど、本能的な感触、触覚を失ってくる可能性がある。だから僕は、日本の戦後史から学ぶとよく言っているわけだ。「私の履歴書」も、最近面白くないよな。だめ。子供の夏休みの日記みたいに、「朝起きて歯を磨いてどうのこうの、宿題をして午後は遊びました。今日一日楽しかった」って40日分書くんだからね。こういうやつの「私の履歴書」って全然面白くない。

戦後、レジャー事業に目をつけたヤマハ「川上源一」

 僕が感動した「私の履歴書」は、川上源一。ヤマハの中興の祖なんだけども、川上源一は戦争が終わって、そのすぐ後に苦労してアメリカに行くんだよ。当時のアメリカは、ハワイを経由して、船で行くんだな。結構大変なんだよ、行くの。そして行ってみて頭に来たと。なぜかというと、戦争が終わったばかりで日本がまだ貧しくて、みんなが食うか食わずの生活をしているのに、みんなは遊んでいると。それで彼は悔しいということじゃなくて、「そうだ、日本も復興してきたらレジャーが大きな事業になるかもしれない」と思って、彼はヨットやスポーツ、楽器などをどんどんやるわけよ。だから彼の原点というのは、「アメリカ人は、戦争が終わってまだ間もないのに、こんなことをやって楽しんでるんだ」と感じたところなの。人生楽しむということが実は事業になるんだと、そこで感じたんだよね。

 彼は、もともとオルガンとかを作ってた会社なんだけども、そこからピアノを作ろうと始めるわけだ。でもこの人は、高校出たか出ないかぐらいの人なので、あまり学問は関係ないんだけども、いいピアノを作るにはどうしたらいいかという発想をするんだよね。そうすると、まずは弦によってどう音が違うのかと、同じピアノの弦を張って、違う木でピアノを作ってみる。そうすると、同じ木でも半年乾かしたものと2年乾かしたものでどう音が違うか。それから今度は、同じ木で弦の違うものをやるとかね。それから鋳物で弦を両側にやって引っ張るんだけど、その鋳物の種類によってどのぐらい音が違うかとか言って、バラバラにしちまうわけだ。それで18万通りのピアノを作るわけよ。その18万通りでもって、いいピアノというのはこう作るという研究してるわけ。学校は行ってないんだけど、今のドクター論文よりも精巧なものをやっていた。

 だから、ヤマハが世界一のピアノメーカーになるんだけれども、その原点というのはこの川上源一の科学的アプローチなんだ。サイエンティフィック・アプローチ。そして、この曲げていく技術をマスターすると、今度はスキーに入っていくわけだ。当時は、スキー板も同じものだから。テニスのラケットも弓道もアーチェリーも。そのうちの一部が繊維強化プラスチックのFRPになるんだけれども、FRPになったら今度はボートまでやり始めるわけよ。川上源一は、いつもルーツは同じなんだよね。

商売の原点は、アメリカに最初に行った時の衝撃

 彼が勉強したのは、唯一「孫子の兵法」だけ。孫子の兵法を勉強して、何回も何回も読んで、2600年前に書かれた非常に優れた戦略のあることに注目する。それは何かというと、日本でもピアノを普及させたいけど、みんなピアノを買うお金がない。どうやったらピアノを買ってもらえるかと考え、病院に行って赤ちゃんが生まれた時に「おめでとうございます」と祝いに行った。そして、今から毎月1000円ずつ貯金をしていただくと、うちのピアノおばさんが来て集めてあげると。そうして、ちょうどいい歳になるとピアノが買えるようなお金が貯まってくるので、日本ではそのようにして十数年間お金を貯めて、ピアノを買っていたと。それに加えて、4歳からピアノ音楽学校においでと誘い、ヤマハ音楽教室を作っていくわけだな。その結果、日本はピアノを弾ける人が世界で一番多くなり、結果的に家庭におけるピアノの浸透率が20%超え、ドイツ、アメリカよりもピアノの浸透率が上がっちゃったわけよ。

 だから、この川上源一は全部本能で感じているわけだ。どうしたらいいかと。そして、そこに必要な学問というのは、孫子の兵法だけだよ。そして、そのうちスタインウェイという世界一のピアノメーカーが売りに出たんだよ。当時20億円ぐらいだったな。20億といったら当時のヤマハだったらはした金みたいなもんだから、川上さんのコンサルティングをやっていた僕は「スタインウェイ買えますよ。どうですか?」と言ってみた。そうすると「俺は、スタインウェイに追いつき追い越そうと思って一生掛けてきた」と。「今、金で買えるからといって買う気はしない」と言って、彼は買わなかった。僕は買っときゃよかったと思うけどね(笑)ベヒシュタインとベーゼンドルファーとスタインウェイというのは、ピアノ製造御三家って言われてたんだけど、今はベーゼンドルファーなんか買っちゃって。ベーゼンドルファーを買うぐらいだったら、スタインウェイ買って全然問題なかったんだけど、彼の言い分はわかるよね。一生あいつに追いつき追い越そうと思ってやってきたのに、20億と聞くとがっかりすると。仮に2000億と言われたら彼は買おうとしたかもしれない。ただ20億というと、やっぱり当時の彼にとってははした金だった。

 こういう物語は、今の「私の履歴書」には書いてない。この彼がアメリカに最初に行った時の衝撃、これが彼の商売の原点だ。レジャータイム、これが商売になるんだというのを初めて知ったと。今の「私の履歴書」は、なんとか東京大学に受かりまして、なんとかこういうところに就職できましてって、なんとかって、半分自慢話じゃんか。面白くもおかしくもないよね。それでお前は平凡な人生を過ごしたなっていうんだけど、日経新聞的にはやっぱりそこそこの人だから「私の履歴書」はそうなるわけだ。だから昔のやつをいくつか読んだらいいよ。つまり日本の戦後史は、苦労の歴史なんだよ。食うや食わずの苦労の歴史。

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