中国人男性への花嫁あっせん業の光と闇
2014年08月20日 17:52 発信地:臨淇/中国
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■隣り合わせの人身売買の危険
だが、結婚のあっせんに人権侵害がつきまとうケースもある。
AFPが今年取材したベトナムにあるシェルターでは、十数人の少女たちが、親戚や友人、交際相手などによってだまされ、中国人男性に花嫁として売り飛ばされたと訴えた。
ミャンマー政府は2011年に発表した報告書で、同国で行われている人身売買の大半は、少女や女性たちを中国人男性と無理やり結婚させる目的だと述べている。
中国の国営英字紙チャイナ・デーリー(China Daily)の報道によれば、同国の警察は2012年だけで誘拐された外国人女性1281人を保護し、本国へ送還した。その女性たちの大半は東南アジア諸国の出身者だったという。
専門家らは、地方部では取り締まりが緩いため、まだ発見できていないケースはおそらく何千件にも上るだろうと話している。
臨淇を案内してくれた運転手は、山間にある小さな集落を指さして「買われた女性」がいるところだと語った。「着いて2、3日すると女性たちは逃げ出す。でも山が深いから逃げるのは簡単じゃない。周りは親戚だらけだしね。いなくなると、親戚同士が連絡を取り、連れ戻すんだ」
ただし、間違いなく自発的な意志による結婚もある。仕事のために臨淇の男性たちがベトナムを訪れた際、ブー・ティ・ホン・トゥイ(Vu Thi Hong Thuy)さん(21)は夫と巡り会った。「お互いを知るようになってから恋に落ち、そして結婚した。ベトナムではものすごく働かなければならないのに、十分に稼げなかった。でも今は働いているのは夫だけなのに、暮らしはましになったと思う」
現在中国とベトナムの関係は緊張状態にあるが、「親切」で「従順」といった宣伝文句が添えられたベトナム人女性たちの写真が並ぶ「ベトナムとの出会い」サイトにより、結婚あっせんビジネスはますます過熱している。
あるサイトのスタッフは匿名で取材に応じ、「ホーチミン(Ho Chi Minh)でのデートを手配するために、3000元(約5万円)を請求する。もし2人が結婚することになったら、写真代も含めた結婚式の費用としてさらに3万6000元(約60万円)を払ってもらう」と明かした。
さらに多くの場合は、もしも新妻が逃げ出したら、代わりの女性を探すという。「もし相手の女性が最初の2か月間のうちに離婚したり、逃げ出した場合には我々は責任を持って、別の女性を探します」(c)AFP/Tom HANCOCK