避難訓練など防災対策生かせず8月21日 18時52分
土砂災害警戒区域に指定されている地域に多くの世帯が含まれている広島市安佐北区の可部東地区では、地域で避難訓練を続けるなど防災に取り組んできましたが、住民の間からはこれまでの対策が十分に生かせなかったという声が聞かれました。
1人暮らしの宮本和夫さん(79)は、夜中に大雨が降るなか、避難することは難しいと思い、雷や土砂が崩れるような音を聞きながら、不安な思いで朝を迎えたということです。
宮本さんは「訓練では連絡網を使って避難を呼びかけることになっていたが、活用されることはなく、気付いたときには避難できる状況ではなくなっていた」と話します。
宮本さんと同じように、この地区の複数の人が、今回の土砂災害では避難したくても避難できず、自宅に残っていたと取材に対して答えています。
2年前、土砂災害警戒区域に指定された際に、地区の自治会長を務めていた林田利昭さん(68)は、当時、地域に呼びかけて避難訓練を始めました。
林田さんは、「土砂災害警戒区域に指定されたことで訓練をするなど住民の意識は高まったと思っていたが、今回の被害は想定外のことがたくさんあった。自主防災の方法も見直す必要がある」と話していました。
可部東地区とは
15年前の平成11年に、広島県で31人が死亡した大雨・土砂災害を教訓に土砂災害防止法が制定され、災害の危険がある地域を、都道府県が「土砂災害警戒区域」に指定できるようになりました。
土砂災害警戒区域に指定されると市町村は、▽土砂災害に関する情報の伝達や避難、救助などの警戒避難体制を作り、▽災害の危険がある場所を記したハザードマップを作成するなど、住民に必要な情報を知らせることが求められます。
今回の土砂災害で被害が大きかった地域の中では、安佐北区可部東地区で、およそ2000世帯が含まれる範囲が、おととし11月に警戒区域に指定されていました。
警戒区域への指定を受けて可部東地区では、土砂災害が起きたときの避難所などへの安全な経路を示した「避難経路図」をすべての世帯に配布し、住民を対象にした避難訓練を毎年行ってきました。
また、一部の住宅に設置される防災行政無線の数が増やされ、広島市から出される災害に関する情報を周知する住民の間の連絡網も作られていました。
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