ひょんなことから結成した短歌結社「明星」ですが、みなさんからの歌もあつまり、第1回目の歌会の様子をお届けできることとなりました!
会員全員の共通趣味、アイドルの「佐藤勝利」くんをお題にした明星歌会第1回。細かいなれそめ等はこちらのブログをご覧いただけると嬉しいです!
のんびり短歌結社「明星」発足のお知らせ - こみねもすなるだいありー
「佐藤勝利くんとは誰ぞや?」という方は、
こちらのプロフィール、そして
せくぞんちゃんについて本気出して考えてみた~勝利さんのターン~ - こみねもすなるだいありー
以前私が書いた彼についての記事を読んでいただけると、ぼんやりながら彼のことについてわかるかと思います~。
今回参加してくださった会員は、前回の日記でご紹介したりこさん、もぐもぐさん、ななりさんに小指さん( @enaca_)を加えた4人のみなさんです。みなさん力の入った短歌をたくさん詠んでくださいました!
まだまだ未熟ではありますが、わたくし芦屋がそれぞれの短歌に講評のようなものをさせていただきながら、みなさんの短歌を紹介させていただきます。誰がどの短歌を詠んだかは伏せさせていただいております~。
さて、勝利くんと言えば圧倒的耽美感あふれるビジュアルゆえか、「死」や「血」などを連想させる短歌がいくつかみられたように感じます。
・一寸の虫も殺さぬ顔をして永遠の命研ぎ澄ませている
これは勝利くんの美しさに永続性を見出してうまれた短歌なのか、それとも「永遠の命」などないという前提のうえでの、彼の美しい命もがいつかは途絶えてしまうという、彼の美をはかなんだ短歌なのか、解釈がむずかしかったです。個人的には後者であるほうが面白いかな、と思います。「一寸の虫も殺さぬ顔をする」ことと「永遠の命を研ぎ澄ます」というふたつの行動の間にある余白を読み手が埋めることで完成する短歌かもしれませんね。私は「虫一匹殺さない(命の搾取をしない、自分の邪魔をする命を殺さない)ような顔をしている少年が、永遠の命というある意味残酷(死をもって世界からドロップアウトすることができない)な運命を背負っている」というアンバランスさを、詠み手が勝利くんから受け取ったのかな、と読みました。
・欲望の棲家となりし少年の身体に注ぐ処女の経血
ザ・耽美てんこもり!って感じの短歌です。「欲望の棲家」と「処女の経血」と、ふたつインパクトの強い語があるように感じます。「棲家」っていう漢字の密度が強そうに見える原因かもしれません。「欲望の棲家」「少年の身体」「処女の経血」と、~の…、というかたちの語が3つあるのは、少しくどいかなぁ、と思ってしまいました。
・踏み出した素足が赤に染まっても 振り向かないで今はそのまま
「赤」は何なのでしょうか。血なのかな、それとも彼がセンターを務めるグループの象徴である薔薇なのかな…と、いろいろ想像してしまう一首。個人的には、いばらの道を素足で歩いて、薔薇の赤と血の赤両方の赤に素足が染まっている…という情景を思い浮かべました。「今はそのまま」→「振り向かないで」ではなく、「振り向かないで」→「今はそのまま」としているせいで、口に出すときに詩歌らしい雰囲気が出ていいなと思います。
勝利くんがつとめる「センター」というポジションについて語られた短歌も印象的です。
・玉座にも十字架にもなるバミテのうえ前だけ向いて立てる才能
舞台やステージにおいて、役者やアーティストの立ち位置に印をつけることを「バミる」といいますが、これを行うテープが「バミテ(バミる+テープ)」ですね。多くはバッテンの形で貼られるために、詠み手は「バミテ」を「十字架」に例えているのだと思います。「玉座」とは、勝利くんが立つことを許された(つまりバミられた)センターポジションそのもの、そして「十字架」は、勝利くんがセンターへ立つことによる彼の苦悩や試練を表していると読み取りました。「玉座」も「十字架」も、少年にとってはかなり重いものですが、それでも前を向いてそれらと向き合っている彼の力強さ、真摯さが伝わってくるような短歌です。
・夜が明ける前に急いで心臓を入れ替えなきゃね、ポジション・ゼロに
「心臓を入れ替える」という言葉が、少々なまぐさいものにも、少し読み方の角度を変えれば車や機械のメンテナンスにも捉えることができるな~と思います(勝利くんは車やメカが大好きな男の子なので、何か関連させているのかな、と思いました。深読みかな?)。明け方の部屋でひとり自分と向き合い、センターへ立つ者として自身の精度を高めているところが想起されました。「急いで」というところも、彼の多忙さを思えていいですね。寝る間を推しんで、という雰囲気が出ていると思います。あと「ポジション・ゼロ」という単語が単純にカッコいい!コードネームのようですね。
・かたわれを持たない彼だけ知っている永遠という城のありか
勝利くんの所属する5人組グループ「Sexy Zone」には「ふまけん(菊池風磨くんと中島健人くんの二人組のシンメトリー)」と「聡マリ(松島聡くんとマリウス葉くんの二人組のシンメトリー)」というふたつのシンメ(ふたり一組で、左右対称のポジションで歌ったり踊ったりすること。ジャニーズではしばしばシンメが固定されて、ふたりでひとつ、のような扱いをされることから、シンメのふたりには何か特別な絆を感じるファンが多い)が存在することから、必然的にセンターに立つ彼にはシンメがいません。シンメの存在を「かたわれ」と表現し、それを持たない彼にだけ知ることができることがあるとした上の句の切実さ、孤独感の輝きがとてもよいと思います。ちょっと下の句の字足らずがおしいかな。読むときに少し違和感を感じてしまいました。
あとは勝利くん自身の若さ、みずみずしさなどを詠んだ短歌もありました。
・ステージの上もLINEのアイコンも等価値に在る18の顔
これは少し読み解きが難しかった短歌かもしれません。ステージの上の顔=LINEのアイコンという図式をとったこの短歌からは、ステージの上の勝利くん=私生活の勝利くん、という関係性が読み取れてしまったからです。彼のニュートラルなところを表現したかったのかな…と思ったのですが、個人的にステージの上の勝利くんと私生活(LINEのアイコン)の勝利くんに関係性がうまく見いだせなかったのです。これはまたもう少しじっくり読み解きたいなと思っています。的外れなことを言っていたら申し訳ない…。
・無邪気さをセロハンでくるみ飾りつけこれが僕だという頃も過ぎ
セロハンでくるむ、という行動から、飴玉やお菓子の包みを想像しました。セロハンは中身が透けてみえる素材ですから、無邪気さを人に見えるかたちに包んで飾り付けることができなくなった、ということでしょうか。「過ぎ」とのことなので、今はセロハンで包むことが許されない(中身が透けない何かで無邪気さを覆うことを求められる)、もしくは何かで包むこと自体が許されない(全てをさらけ出して観客の前に立たなければならない)状況になったということなのだな、と読み解きました。
「Sexy Zone」というグループの特性、もしくは佐藤勝利自身の特性からか、ほぼ同じ語が違う会員同士の詠んだ短歌に登場する、といったことも起こりました。びっくり。
・浮遊するラヴとピースを噛み砕きアクリルの目で虚空を燃やす
・ラブアンドピースでチョキを出したんだ そっちがパーを選んだんでしょ
違う会員が詠んだ短歌二首ですが、「ラブ(ラヴ)(アンド)ピース」という語が共通しています。個人的にSexy Zoneから妙にワールドワイドというか、オールオーバーザワールド的な印象を受けているので、(地球や星といった規模の大きな歌詞も多い)そのせいで共通した語が出てきたのかなと考えました。しかし前者の短歌は全体的にハードな印象で、Sexy Zoneが持つラヴとピースを「浮遊」と称し、それを佐藤勝利が「かみ砕き」、彼の持つ目で虚空(ラヴとピースをかみ砕いて生まれた空白?)を燃やすという、かなり破滅的というか、破壊の行動にあふれた一首となっています。佐藤勝利のある種の暴君さが表れているのを感じます。
対して後者の短歌は喋り言葉で、全体的に軽妙な印象を受けます。ラブアンドピースの「ピース」を、じゃんけんの「チョキ」とし、「そっち」(佐藤勝利以外、Sexy Zone以外のものたち)が「パー」を出したとして、句の主人公がじゃんけんで勝っている。「そっちが選んだんでしょ」という言葉から生意気さのようなものを感じるうえ、「ピース」と「チョキ」という多少屁理屈のような語の結び付けにより、かわいらしいズルさが出ていると感じました。
ここからは一首ずつ失礼します。
・革命の名前を知って、少年はもう図書室に戻れない、夏
勝利くんやSexy Zoneからただよう雰囲気からか、「革命」という単語が浮かずにうまくしっくりきています。元来おとなしい少年だったという勝利くんですが、そんな彼には戻ることができない、彼はもうステージに立つ人間なのだから、という業のようなものがひしひしと感じられる短歌です。「革命」「図書館」「夏」という単語の配置により、少し古めかしい、ほこりのにおいがしそうな、雰囲気のある一首になっていると感じます。
・ひとの子につけられた名前はココア たてがみなびく前のライオン
上の句の読み解きがあやふやなままになってしまっています…。「たてがみなびく前のライオン」との下の句ですので、「ライオンの子供なのに、人の子に名前(しかもかわいい)をつけられ、かわいがられてしまっている」という状況でしょうか…。しかし下の句の「たてがみなびく~」は、勝利くんをあらわす上でかなり的確なワードだと感動しました。
・鏡よ鏡 誰が一番綺麗なの?それってそんなに大事なの?ふうん
アイドルにとって一番の武器と言っても過言ではない「容姿」を、「そんなに大事?」と言ってのけてしまうような大物感を勝利くんに感じる人は少なくないと思いますが、そんな大物感がよくあらわれた一首だと思います。「ふうん」が生意気でいいですね。ちょっと型破りな感じがしますが、こんな短歌も楽しくて好きです。個人的にSexy Zoneの6thシングルである「King&Queen&Joker」の雰囲気を感じました。勝利くんは女王様を演じていましたね!
・黄金のキツネ・飛行士・薔薇・砂漠・飛行機、僕が演じる統べて
これはサン・テグジュペリの「星の王子様」でしょうか。勝利くんにぴったりな世界観だと思います。あのキラキラしつつも精緻で静かな物語の雰囲気は、勝利くんに似合う。これはもう完全に「勝利くんに星の王子様が似合う」という一点突破な短歌ですが、「僕が演じる」という語で、勝利くんの舞台経験、特にJohnny’s 2020 Worldのことを思い出しました。
みなさんからいただいた短歌は以上で全てとなります~!素敵な短歌をありがとうございました。
個人的に今回「コレだ!」となったのは
・玉座にも十字架にもなるバミテのうえ前だけ向いて立てる才能
・革命の名前を知って、少年はもう図書室に戻れない、夏
でしょうか。前者の短歌は、バミテを十字架としたのがいい感じだな~と思いました。バミテの「上」に「前」を向いて立つ、というまっすぐな言葉の重なりも素敵。後者の短歌はこの中の短歌で唯一「高校生」としての佐藤勝利を強く感じることのできた短歌でした。新鮮。「革命」も、佐藤勝利自身をイメージした単語ともとれますし、高校生が学校で習う世界史の単語、ともとれますね。
この2首に返歌をするとすれば、こんな感じでしょうか~。
・罰はバツのまま 両足の間にある墓標を見ずにぼくは生まれる
・今はもう誰も読めない歴史書に挟んであった亡霊の栞
以前私が詠んでまとめた「佐藤勝利短歌」のエントリも、あわせてこちらに置いておきます~。
今回はじめて短歌を詠んだ!という会員の方もいらっしゃった中、新たなときめきを生む短歌をたくさんお寄せいただけたことをとても嬉しく思います。私自身まだまだ稚拙な短歌ばかりですが、感想をお聞かせくださるみなさん、応援してくださるみなさんの声にお応えできるよう、日々精進していきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
それではお待ちかね(?)、第2回「明星」歌会のお題ですが……。
第1回に続き、またまたアイドル(ジャニーズ)に関連するお題にしたいと思いまして、「ジャニーズJr.」はどうだろう?と思っております。
デビュー、はたまた自ら追い求める何かへ向かって日々努力する彼らのことを、短歌で表現してみませんか?また後々のお題で、ジャニーズJr.の誰か個人をお題にさせていただくこともあるかもしれませんが、第2回は「ジャニーズJr.」という団体、集団の印象、概念へ向けて短歌を詠んでくださると嬉しいです。
第1回の歌会の様子を見て、これなら参加してみようかな~と、少しでもご興味を持たれた方がいらっしゃいましたら、是非一緒に短歌を詠んでみませんか?もし入会ご希望の方がいらっしゃいましたら、芦屋こみね(@urahara0811)までご一報くださいませ。楽しい会をつくりましょう!
現在はアイドルをお題に据えていますが、今後はアイドル以外のお題でも歌会を行いたいと思っております。「このお題なら参加したい!」と、期間限定で参加することも、「このお題ならちょっと遠慮しようかな~」「ちょっと今回は忙しいかも…」と、お休みいただくことも大丈夫ですので、どうぞお気軽に。あなたのご参加お待ちしております!
まだまだ手探りな短歌結社「明星」ですが、これからものんびりと前進してまいります。
それでは、今回はここで失礼いたします。ここまでお読みいただきまして、本当にありがとうございました~♡