中学生:教諭への暴行など逮捕相次ぐ 警察介入是非で議論

毎日新聞 2014年08月19日 10時44分(最終更新 08月19日 18時27分)

 中2の息子がいる同県内の50代男性高校教諭は「暴力を目撃した他の生徒のショックは大きいし、自分の子が被害に遭わないか心配。警察の介入は仕方ない」としつつ、教諭の立場から「大人に暴力をふるうのはそれまでの不信感や不満が積み重なった結果。日ごろから生徒とコミュニケーションがとれる関係を作るべきだ」と話す。

 「夜回り先生」で知られる水谷修・花園大客員教授は「もう学校だけでは対応できなくなっている。教諭にゆとりはなく、礼儀などを含む全ての指導を求めるのは無理がある。子供を育てるのは社会全体の責任。学校が警察を含む各機関と連携しながら子供たちを良い方向に導こうとするのは、間違いではない」と理解を示す。

 一方、教育評論家・尾木直樹さんは「生徒の評価権という絶対的権限を持つ教諭が、さらに警察権力を使うのは安易ではないか。学校の自殺行為でとんでもない話だ。背景には教諭の力量不足があり、他生徒への『見せしめ』の意味もあるのだろう。心の琴線に触れるような指導をせずに、生徒が更生するとは思えない」と厳しく批判している。

<今年度の中学生逮捕事案>

●発生場所・容疑者

(1)発生日(2)逮捕容疑(3)被害教諭(4)容疑の概要

●草加市・3年男子2人

(1)4月15日(2)暴行(3)50代男性

(4)胸ぐらをつかみ壁に押しつけるなど

●寄居町・3年男子

(1)4月23日(2)傷害(3)30代男性

(4)頭突きや腹蹴りで1週間のけがをさせる

●さいたま市・3年男子

(1)5月7日(2)暴行(傷害で送致)(3)30代男性

(4)胸の殴打や足蹴りで打撲の軽傷を負わせる

●越谷市・3年男子

(1)5月12日(2)暴行(3)20代男性(4)胸ぐらをつかむ

●比企郡・男子

(1)6月16日(2)暴行(3)20代男性(4)胸ぐらをつかむ

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