阿久沢悦子
2014年8月21日03時00分
茨木市の「9条の会」など3団体の30人が5月に「戦争体験の記録を残す会」を結成し、市内の80歳以上の高齢者宅を訪問して聞き取る作業を続けている。すでに50人以上が体験を寄せ、作業を通じて戦争の様々な「顔」が見えてきた。
女学校時代に大阪市福島区の製薬工場に動員された女性(82)は炎天下の玄関先で20分以上も語り続けた。空襲を受け、防空壕(ごう)に避難したが、油脂爆弾が天井を突き破って落ちた。「そこら中、ボンボン燃えてる。足をけがした先輩を連れて病院に行ったら、男の子が母親の横で泣いていた。こわいという感覚はなく、必死やった」
聞き取るのは元中学校教諭の若月勇一さん(69)と元市職員の深本美信さん(65)。若月さんが相づちを打ちながら話を進め、深本さんが書き留める。住宅地図を手に、この日は午前中に回った5軒中3軒で話を聞けた。「商売か?」と警戒する人も話し始めると長くなる。「語りたい、残したいという気持ちが強いんでしょう」と深本さん。