「勉強ってなぜしなければいけないの?」
こういう質問は小学生を教えている私にはとてもよく理解できる質問です。それで私は「勉強したくなければしなくていい」と良いと答えます。はっきり言って学校だって行きたくなければ行かなくても良いと思います。
大人はとかく勉強する理由を言いたがります。「○○。だから勉強しなさい」という言葉。聞いたことあるいは言ったことありませんか?これは不思議なことに「勉強しなさい」は決まっていて,「だから」以前をいろいろ探しているんですね。本来であれば順接なのですから「だから」以前が先になければならないわけです。これは重松清が言っていたことでもあります。
ではなぜそもそも「勉強ってなぜしなければいけないの?」という質問が出てくるのでしょう。こういう質問って小学生に多いんですね。中学生以上になると勉強したくなければ,こんな質問する前に勉強しませんし,勉強したければこういう質問はしません。なぜ小学生に多いかというと小学生になって勉強が始まるからです。それまでは保育園,幼稚園で自由にふるまっていたのに,小学校に上がったら勉強しなければならない。それで「なんで」と思うわけです。急に勉強しなければならなくなったらそれは嫌なものです。
だからと言って,小学校で勉強が嫌いだった人がずっと勉強をしないかというとそうではありません。中学生になった時,高校生になった時,大学生になった時,急に勉強を始めるということは大いにあるはずです。
私の教え子たちも小学生の頃,あんなにイヤイヤだったのに,なんで今になってそんなに勉強してるんだと思ったり,算数あんなに嫌いだったのに高校で理系に進むの?なんてこともあります。結局のところ,勉強なんてものはしたくなった時にすればいいんです。「今やっとかないと苦労するよ」という発言を,理解できる子どもはそんなことを言わなくても勉強しています。
そうは言っても親としては子どもに勉強してほしいと思うわけですよね。対応として最も悪いのは小学校に上がって急に勉強させるようにすることです。今まで自由にふるまわせていたのに,急に勉強させることに対して子供は相当反発します。例え子供が自分で勉強したいと言ってもそうです。私が教えている生徒に幼稚園では自由にふるまう幼稚園に通わせていて,とても良かったと言っているのに,今は受験で強制的に勉強させようとしている。それはどうなんだろうと思ってしまいます。
私は大人が小さい子どもにできることは一緒に考えたり,一緒に遊んであげることだと思っています。そうやって考えることや学ぶことが楽しいという経験をしていけば,「なぜ勉強が必要なの?」という質問は出てこないでしょう。それでも出てくる時は親が無理強いしているときです。そして勉強をしたくない時です。
私自身も勉強あまり好きではなかったので,大学で勉強する時にとても苦労しました。だから早いうちから勉強すべきだというのは経験上正しく思えます。また,小さい時に方が耳が良いので英語をやらせた方が良いというのも正しいでしょう。しかし,だから勉強すべきだと結びつけてはいけないと思ってはいけません。もしそういう勉強が必要であると考えているならば,そういう環境を整えてあげること,つまり勉強がしたい,野球がしたいと言った時に反対しないで応援してあげることでしょう。こういう対応はしたいと今は思っていますが,親として今後できるのか分かりませんが,そういう対応ができるようにしていきたいと思います。