国連人種差別撤廃委:ヘイトスピーチが対日審査の焦点

毎日新聞 2014年08月20日 23時16分(最終更新 08月21日 00時07分)

 【ジュネーブ坂口裕彦】国連の人種差別撤廃委員会は20日、ジュネーブの欧州本部で、2010年以来4年ぶりとなる対日審査を2日間の日程で始めた。日本で社会問題になっているヘイトスピーチ(憎悪表現)の法規制を巡る議論が最大の焦点だ。委員会は審査を踏まえ、9月上旬にも勧告を公表する。

 日本も加盟する人種差別撤廃条約の第4条は、差別思想の吹聴を禁止する法律の制定を義務づけている。しかし、日本政府は法律による規制が「表現の自由」を不当に萎縮させる可能性があるとして、第4条を留保。ヘイトスピーチは法律で規制されていない。

 日本担当のケマル委員(パキスタン)は「第4条の留保はただちに撤回すべきだ」と述べ、包括的な反差別法の制定を求めた。

 これに対し日本政府は「民法上の不法行為や刑事罰の対象にならない行為への規制は、憲法が保障する『表現の自由』などとの関係を慎重に検討しなければならない」と述べ、現行法で対応する考えを重ねて示した。

 この日の審査に先立ち、委員と非政府組織(NGO)の会合も開催され、NGO代表らはヘイトスピーチを規制する早期の法整備を訴えた。

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