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【上杉 隆】

毎日新聞がようやく放射能被害を直視し始めた(上杉 隆)

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原発問題

健康被害の可能性を 報じるだけで糾弾される空気

ある者は在日ドイツ大使館にドイツ語で緊急の手紙を送付し、「貴国が招いているウエスギタカシという人物はとても危険なデマゴーグであるので入国させないようにされたし」という手紙を送っている(実物は私の手元にある)。

また、日本では有名なジャーナリストは、ドイツ帰国直後の大阪弁護士会での私の講演の際、あろうことか、「上杉隆を大阪で講演させると大阪弁護士会の信頼を問われる。すぐに取りやめるべきだ」という旨の電話を入れて、信じがたい言論封殺を行なった(大阪弁護士会に確認)。

さらに言えば、その有名ジャーナリストはツイッター上の偽情報を鵜呑みにして、以後も、私を攻撃し続けることになる。

私はそうした感情的な空気に包まれた日本の情況を悲しむと同時に、早く健全な変化の訪れることを心から祈ったものだ。

なにしろ、私がドイツ講演や2月のルクセンブルグスピーチ(EU議会のオーフス会議)で使用したデータのほとんどは、国連やIAEA、あるいは日本政府や東京電力などの公的な機関から引用したものだったからだ。

だが、当時の日本の現実を直視しない空気は想像以上にひどかった。それ以降も多くのジャーナリストたちが、健康被害の可能性を報じるだけで、徹底的に糾弾される状態が続いたのだ。

もはや溜息しか出なくなっていた。私の福島通いも、それまでとは形を変え、事故直後と同じように、静かに人知れず、黙って訪れそっと東京に戻るようなスタイルになっていった。

とくに福島の医療関係者たちに、きちんとした県民の健康管理をすることがみなさんの務めであり、職業上の倫理だと訴えた4月の福島・須賀川での講演以降、その当の医療関係者に対して、県の検討委員会から圧力がかかるようになってからはなおさらだった。

福島での取材を開始した当初、私は今後自分の身に起こるであろうことについて、予測を立てていた。そして、その予測は見事に、しかも予想よりも早くその通りになり始めた。

それはこうだ。

私が福島で放射能事故や健康被害の可能性についての発言をすれば、必ず過剰反応して否定する人物がたくさん出てくるだろう。それはウクライナ、ベラルーシの例でもそうだった。そして、私の発言が事実だと判明したとしても、そうした彼ら彼女らの態度に変化は見られないだろう。いやむしろ、その事実を否定できなくなったと分かった途端、ファクトで論じることを止め、そうした発言を続ける私のような人物に、「嘘つき」「インチキ」というムードによるレッテル貼りを行い、自らの虚構の正当性を守ることに汲々とするだろう。そしてまた、「王様は裸だ」と言ってしまった人物に対しては、徹底的に信頼を貶める作業に必死になるだろう。なぜなら彼ら彼女たちのつまらないメンツを守るにはそうするしかないからだ。

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