OpenStack最新情報セミナーレポート
2014年8月7日(木)に、日本仮想化技術株式会社主催の「OpenStack最新情報セミナー」が開催されました。このセミナーは、オープンソースのクラウド構築ソフトウェア「OpenStack」に関する最新の情報を提供するために、大体2ヶ月に1回、定期的に開催されており、今回が6回目の開催となりました。
現在は、技術者向けのセミナーを行う「昼の部」と、ややビジネス向けにOpenStack関連のビジネスを行っている企業からのプレゼンテーションが聞ける「夜の部」の2部構成で開催されています。ここでは、昼の部の技術セミナーのポイントをレポートします。
セミナーで使用された資料は公開されているので、是非ダウンロードしてみてください。また、セミナーの様子はUstreamで中継されており、録画を見ることもできますので、合わせてご覧ください。
[セミナーの情報および資料ダウンロード]
http://virtualtech.jp/20140807-seminar/
[Ustreamのチャンネル]
http://www.ustream.tv/channel/openstackupdate
「OpenStack管理者入門」
筆者が講師を務めたセミナーです。OpenStackの最新バージョンは“Icehouse”ですが、1つ前のバージョンである“Havana”を使って、Ubuntu LinuxをベースにOpenStack環境を構築する『OpenStack環境構築手順書 Havana版』を無料で公開しています。
この手順書は、docs.openstack.orgで公開されている公式の手順書が英語であること、また内容に間違いが多いことから、筆者がこうした課題を改善したものとして作成し、公開しているものです。
これまでのセミナーでは、この手順書のポイントを解説してきましたが、今回は手順書に従って構築したOpenStack環境を管理するための基本的な手順について、デモを交えて解説し、よりOpenStackを理解するための手がかりにしてもらうことを意図した内容としています。
セミナーの内容としては、基本的な管理であるユーザー作成から、OpenStack上で動かした仮想マシンインスタンスを接続するためのネットワークの設定、仮想マシンのためのOSイメージの登録などを題材に、OpenStackのWeb管理画面である「Horizon Dashboard」の基本的な使い方を解説しました。手順書ではシェルスクリプトやコマンドラインなどで手早く設定している事柄を、あえてWebのインターフェースを使って順々に行うことで、何を設定すればよいのか、手順書では何をしているのか、ということを理解することができるでしょう。
また、構築したクラウド環境にCPUやメモリのリソースを追加する必要が出た時には、サーバーハードウェアを用意して「コンピュートノード」として設定、追加する必要があります。手順書では1台のコンピュートノードを設定していますが、2台目以降で変更すべきポイントと、ノード追加後の動作について解説しました。
OpenStackは、仮想マシンインスタンスの起動リクエストを受け付けると、管理下にあるコンピュートノードのうち、よりリソースが空いているものを選択してインスタンスの起動を行います。これらを司るのが「スケジューラー」です。今後、指定したノードでインスタンスを起動することもできるようにバージョンアップしていく予定です。
この記事の著者
宮原 徹(みやはら とおる)
日本オラクル株式会社でLinux版Oracleのマーケティングに従事後、2001年に株式会社びぎねっとを設立。Linuxをはじめとするオープンソースの普及活動を積極的に行い、IPA「2008年度 OSS貢献者賞」を受賞。
2006年に次の目標を仮想化技術の普及に定め、日本仮想化技術株式会社を設立。仮想化技術のエバンジェリストとして、日々全国を飛び回っている。2014年のテーマは経営とITの適切な関係。
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