<広島土砂災害>死者39人に 大気不安定な状態続く
毎日新聞 8月20日(水)23時31分配信
19日深夜から20日未明にかけて広島市北部を襲った局地的豪雨は、広島県警などによる集計で死者が39人に上り、依然7人が行方不明となっている。被害が大きかったのは安佐(あさ)北区の可部(かべ)地区と、安佐南区の八木、緑井、山本の各地区。山沿いの住宅地を中心に土石流や崖崩れなどの土砂災害が多発しており、警察官や派遣規模が約600人に増員された自衛隊員らが夜を徹して生存者の救出活動にあたっている。現地では大気の不安定な状態が続き、2次災害も心配されることから、学校や集会所などに約400世帯、1000人が避難した。
【県営住宅のすぐ横に巨大な岩】安佐南区緑井地区の被害の様子
今回被害のあった安佐北区や同県呉市などでは、1999年6月にも豪雨による土砂災害が発生し、30人を超える犠牲者が出ている。広島市はこの災害を教訓に集中豪雨の際の避難判断基準を策定。ところが今回、広島地方気象台が20日午前1時15分に土砂災害警戒情報を出したのに、実際の避難勧告が発令されたのは既に多数の被害が出た後の20日午前4時15分以降だった。
広島市の松井一実市長は20日夕、報道陣に対し「雨が局地的だったこともあり、避難勧告まで出すかちゅうちょしていたと報告を受けている。空振りになっても注意を促すべきだった」と述べた。
一方、広島県内で大規模な土砂災害が相次ぐ要因として、花こう岩が風化してもろくなった「真砂土(まさど)」と呼ばれる地盤が広がっていることが指摘されている。これに加え今回は、日本海の前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込んだことから、同じ場所で次々と積乱雲が発生する「バックビルディング現象」が発生したとみられている。
広島地方気象台によると、雨は19日夜から降り始めたが、特に激しい雨は20日未明に集中。安佐北区三入(みいり)では午前4時半までの3時間に観測史上最大となる217ミリの降雨を記録し、平年の8月1カ月分の雨量(143ミリ)を上回った。
また広島県が安佐北区可部町上原に設置した雨量計は午前3時50分までの1時間に130ミリの猛烈な雨を観測した。同気象台によると、現地では21日も大気の不安定な状態が続く。同日夕までに多いところで1時間に25ミリの強い雨が降る恐れがあり、土砂崩れなど2次災害への注意を呼びかけている。【石川裕士、吉村周平、高橋咲子】
最終更新:8月21日(木)1時7分
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