難病:慢性疲労症候群 実態調査開始へ

毎日新聞 2014年08月20日 21時32分

 神経の機能障害などにより激しく疲労する難病「筋痛性脳脊髄炎(せきずいえん)(慢性疲労症候群)」について、患者の日常生活の困難さや症状の経過を把握する調査を厚生労働省が月内にも始める。患者の多くは寝たきりなど深刻な状況にあるが、実態を示す公的データはなく、福祉・医療制度の谷間に置かれている。多くの患者に調査に協力してもらうため、患者会は呼びかけを始めた。

 筋痛性脳脊髄炎の国内の患者は推定約30万人。4分の1が寝たきりとされるが、専門医が少なく、大半は障害者手帳を取得していない。難病患者を福祉サービスの対象に広げた障害者総合支援法(昨年4月施行)でもサービス支給の対象外とされ、患者会が国に実態調査を求めてきた。

 調査は厚労省が1200万円を計上し、聖マリアンナ医科大に委託。患者の食事や排せつなど日常生活での介助の必要性や、発症時からの症状の経過などを分析し、来年3月までに報告を受ける。実施責任者の遊道和雄・同大難病治療研究センター長は20日記者会見し、「福祉や医療で患者に何が必要かを把握したい。100人以上の患者に参加してもらうことが必要だ」と話した。同席したNPO法人「筋痛性脳脊髄炎の会」(東京都)の篠原三恵子理事長(56)も「多くの患者に調査を知ってもらい、参加してほしい」と呼びかけた。

 調査対象は医療機関で筋痛性脳脊髄炎と診断された人。参加を希望する患者は10月末までに氏名、住所、電話番号、メールアドレスを遊道センター長に連絡する。連絡先は電話(044・977・8111、内線4029)またはメール(yudo@marianna-u.ac.jp)で受け付ける。

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