2014年7月24日、国連の規約人権委員会が、日本政府に対し、ムスリムに対するプロファイリング捜査をやめるよう、以下のような改善勧告を掲出しましたので、ご報告いたします(原典はこちらです。)。
【原文】
Surveillance of Muslims
20. The Committee is concerned about reports on widespread surveillance of Muslims by law enforcement officials (arts. 2, 17 and 26).
The State party should:
(a) Train law enforcement personnel on cultural awareness and the inadmissibility of racial profiling, including the widespread surveillance of Muslims by law enforcement officials;
(b) Ensure that affected persons have access to effective remedies in cases of abuse.
【仮訳】
ムスリムの監視
20. 委員会は、警察職員によるムスリムに対する広範な監視活動が報告されていることに、懸念を表明する(規約2条、17条及び26条)。
日本政府は、
(a) 警察職員に対し、異文化の理解、及び、警察職員によるムスリムへの広範な監視活動を含む人種的プロファイリングが許容されないことについて、トレーニングを実施すべきである。
(b) [権力が]濫用された場合には、影響を受けた人々に対する効果的な救済手段へのアクセスを確保すべきである。
規約人権委員会とは、いわゆる自由権規約(市民的及び政治的権利に関する国際規約)の実施を監督するために設置された国連の機関です。18名の専門家から構成される委員会が、条約締結国の規約実施状況を定期的に監査しています。今年、6年ぶりに日本が監査対象国となっていました。
審査は7月15日、16日に行われ、多くのNGOがジュネーブ入りし、日本政府の規約違反行為を規約人権委員会に対し報告しました。
ムスリム違法捜査弁護団も、同様に、委員会に対し、今回の流出資料を提出しつつ、警視庁・警察庁のムスリムに対する捜査が規約に違反することを指摘しました。
事前のNGOとの公式セッションや、委員会本会議においては、複数の委員から本件捜査に関する質疑が発せられており、関心の高さがうかがわれました。
警視庁・警察庁による本件捜査は、偏見に基づく宗教差別であって、典型的な人権問題です。
今回の勧告によって、最も普遍的な人権規定である人権規約に照らしても、本件捜査は当然に違法とされるべきであることが明らかになりました。
控訴審においても規約委員会と同様の判断がなされるよう、引き続き注力します。