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<広島土砂災害>救助中に死亡の政岡さん 男児抱きかかえ

毎日新聞 8月20日(水)20時59分配信

 死者・行方不明者が40人を超えた広島市の土砂災害。救助活動中に死亡した安佐北消防署の政岡則義消防司令補(53)は地域の防犯に尽力するなど正義感が強く、自らが犠牲になった今回の現場でも救出しようと畑中和希君(3)=広島市安佐北区=を抱きかかえたまま土砂に巻き込まれた。「せめてこの子だけでも」。被災の直前、政岡さんは和希君の父親とみられる男性からそう言って託されたという。

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 政岡さんは勤続35年のベテランで救助経験も豊富だった。20日は午前4時半ごろ、広島市安佐北区可部(かべ)東の現場に副隊長として入った。

 近所の男性(41)によると、政岡さんが救助に向かった畑中さん方は3人家族で到着時には流されかけていた。その後「ゴゴゴ」と土砂が流れるような音が聞こえた。男性が「この子だけでも助けてくれ」と和希君を政岡さんに放り投げたという。

 市消防局によると、政岡さんは和希君を抱いて他の住民を避難誘導していたところ、近くにいる母親(42)とともに土砂に巻き込まれた。母親は救助されたが、政岡さんと和希君は死亡した。男性は無事とみられる。

 政岡さんの自宅近くに住む男性(76)は3年前から地域のパトロールをするなど、政岡さんと一緒に防犯活動をしていた。「熱心に取り組み、正義感が強くて真面目な人。地域の祭りで子供みこしの先導役もして慕われていた」と悼んだ。

 現場近くの主婦(68)は「白い布をかけられた消防隊員が運ばれていたので手を合わせた。とても気の毒だ」と肩を落とした。安佐北署の湯出原宏副署長(58)は「誇りを持って職責を果たしてくれたとは思うが非常につらい」と言葉少なだった。【杉山雄飛、瀬谷健介、畠山哲郎】

最終更新:8月21日(木)1時20分

毎日新聞

 

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