【社説】検察幹部の下半身露出容疑、徹底捜査で真相究明を

 済州地検のキム・スチャン検事正が、夜間の路上でみだらな行為をしたとして警察の取り調べを受けている。警察は今月13日午後11時58分ごろ、済州市役所近くの飲食店の前で「男がズボンのファスナーを下ろし、性器を出すのを見た」という女子高校生からの112番(日本の110番に相当)通報を受けて出動し、その近くでキム検事正を連行した。警察はキム検事正を留置場に収容し、10時間後に釈放した。

 現在のところ、警察とキム検事正側の主張は食い違っている。警察は事件当時、通報した女子高校生が現場でキム検事正を「わいせつな行為をした犯人」と名指しした、と発表した。また「わいせつな行為をする男の様子が監視カメラに写っているが、服装がキム検事正と似ている」と説明した。だが、キム検事正は17日に記者たちと面会し「官舎の近くで散歩していたところ、突然警察に捕まり、ひどい目に遭った。全くでたらめであきれるばかりだ」と主張した。

 警察は、わいせつな行為をした人物がキム検事正なのか、あるいは別の人なのかを最終的に確認できないまま、事件をメディアに公表した。これは「警察が検察に恥をかかせようとしているのではないか」という説を裏付けるものだ。だが、キム検事正の説明には釈然としない部分が多いのも事実だ。キム検事正は警察の調べに対し、自分の名前ではなく弟の名前を告げ、留置場にいた10時間の間、身分を明らかにすることはなかった。これについてキム検事正は「身分を明らかにすれば、警察はどんな形であれ、私に恥をかかせようとするだろう。自分は何も悪いことをしていないし、丸く収めようとした」と主張した。しかし、本当に「ひどい目に遭った」のなら、なぜ堂々と身分を明らかにしなかったのかという疑問が残る。キム検事正は自分が警察に立件されたという事実も、2日後の15日まで大検察庁(最高検察庁に相当)に報告していなかった。

 キム検事正が路上でわいせつな行為をしたというのが事実ならば、最近相次いで発生している検察幹部によるスキャンダルの決定版ともいえる衝撃的な事件だ。現職の検事総長が、隠し子がいながらうそをつき続けたほか、性的な接待を受けたとされる検察幹部もいる。検事が女性の被疑者と性的関係を持ったケースもある。

 今重要なことは、透明かつ公正な調査により、真実をありのまま明らかにすることだ。警察は未確認の内容を外部に流したり、疑惑を実際よりも誇張して、検察に恥をかかせようとしたりするようなことはあってはならない。一方、検察も身内をかばおうは考えず、捜索令状の請求など、警察の捜査に最大限協力すべきだ。検察がらみのスキャンダルはこれまで「心証はあるが確証がない」などといって、うやむやにされてきた。今回は徹底的な捜査を行い、透明な形で真実を明らかにしなければならない。

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