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【主張】吉田調書 世界の原発安全性の糧に 極限状況下の事故対応を学べ
「退避」と「待機」では、意味が逆だ。無用な被曝(ひばく)を避けるための退避をどうして「現場離脱」と断じたのか。「暴れている」原発の冷温停止に命をかけた人々に対する冒涜(ぼうとく)であろう。
4基の原発が大破して放射線量が上昇し、余震が繰り返される極限状況下で、原発技術者は被害拡大を防ぐために死を覚悟して過酷事故に立ち向かった。
吉田調書からは、人の動きを含めた福島事故の実像が見えてくる。史上最大級の原子力事故の体験を負の遺産としてはならない。失敗を乗り越え、未来に進んできたことで人類の今日がある。
福島事故を踏まえて原発の安全性強化が進む中、原子力規制委員会による九州電力川内原子力発電所1、2号機への一般からの意見公募も15日に終了した。
千年に一度の大津波に福島第1原発は屈した。しかし、発電所で働く人々の事故拡大防止にかける心は健在だった。これから始まる原発再稼働に対する信頼のよりどころの基礎としたい。
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