広域で激甚指定を 京都府北部豪雨、府など調査団に要請
京都府北部の豪雨災害で、府や福知山市などは19日、災害復旧に手厚い支援が受けられるようにするため、政府に対し激甚災害の指定を強く求めた。復旧や被害の見込み額が指定基準となっているため、今回のように局地的な被災の場合、指定を受けるにはハードルが高くなる。府は他県と一体的に指定を受けられるよう政府へ働きかける方針。
激甚災害は「公共土木」「農林」など支援を受ける分野によって基準が異なる。例えば公共土木の指定基準は、自治体の税収規模と比べた被害見込み額がどれぐらいかで決まる。国の基準で試算すると、福知山市は復旧見込み額が約52億円を超えないと、局地的な被害向けの激甚災害指定は受けられない。
見込み額の算定はこれからだが、府は「福知山市単独での指定は難しい」と想定している。山田啓二知事は19日、京都市上京区の府庁を訪れた政府調査団長の西村康稔内閣府副大臣に対し、「今回の豪雨で被害を受けた兵庫県丹波市や、台風11号で被災した徳島県など、広域での指定をお願いしたい」と求めた。
その上で、激甚災害制度は創設から50年以上が経過し、近年のように集中豪雨災害が頻発する事態を想定されていないと指摘し、「災害の質が変わっており、指定のあり方を変えていくべきだ」とも訴えた。
西村副大臣は「台風12号と11号の被害は一連とするが、今回の豪雨災害までを含めるかは検討していきたい」と即答は避けた。
一方、調査団に同行した地元選出の谷垣禎一法務相は「福知山市は昨年の台風18号に続く被災で、復旧へのやる気がなえてしまうことが心配。復旧の背中を押すためにも激甚災害指定は重要」と述べた。
<激甚災害>台風などの災害そのものを指定する「本激甚災害」と、市町村単位で指定する「局地激甚災害」がある。指定されると、被災地の河川や道路、公立学校などの公共土木施設、農地や林道などの復旧に適用される災害復旧国庫補助事業の補助率が1~2割程度かさ上げされる。中小企業への融資制度の優遇もある。2013年には6~8月の梅雨前線や台風被害が一体的に指定されている。
【 2014年08月19日 22時49分 】