パチンコ税:自民議連に創設案浮上 換金を対象に

毎日新聞 2014年08月19日 21時56分(最終更新 08月19日 22時46分)

多くの人でにぎわうパチンコ店
多くの人でにぎわうパチンコ店

 自民党で、パチンコやパチスロの換金時に課税する「パチンコ税」の創設案が浮上している。法人実効税率引き下げに伴う税収減を補うため、20兆円産業とも言われるパチンコ業界に目をつけた。ただ、パチンコでの換金は刑法が禁じる賭博とすれすれのグレーゾーンにある。新税導入は換金の合法化が前提になるため、今後論議を呼びそうだ。

 パチンコ税を検討しているのは2月に発足した自民党の「時代に適した風営法を求める議員連盟」(会長・保岡興治元法相)。

 現行の風営法はパチンコを「遊技」と規定し、店が景品として現金を提供したり、景品を買い取ったりすることを禁じている。しかし実際には、客が獲得した出玉を特殊な景品と交換し、店舗近くの景品交換所に持ち込んで換金するケースが大半だ。事実上、賭博と変わらないが「店と関係のない景品交換所が景品を買い取っている」という理屈で警察当局も黙認してきた。

 換金を課税対象にするには賭博性を法的に認める必要がある。自民党議連は、「パチンコ業法」などの新法制定か風営法改正によってパチンコ店内での換金を合法化する案や、店外の景品交換所を公益法人化する案などを検討している。

 安倍政権は成長戦略の一環として、来年度から法人実効税率を引き下げる方針。一方で、来年10月から消費税率を10%に引き上げるかどうかを年内に決断しなければならない。議連幹部は「パチンコ税を社会保障財源として目的税化し、地方税にすればいい。数百億〜数千億円の税収が見込める」と皮算用している。

 また、政府・与党が秋の臨時国会でカジノを中心とする統合型リゾート(IR)整備推進法案を成立させようとしていることもパチンコ税の追い風になるとみて、議連は9月中に論点を整理する方針だ。

 ただ、警察庁は民間賭博の容認につながるとして換金の合法化に消極的。「社会問題でもあるパチンコ依存を助長しかねない」という批判は根強い。新たな課税そのものへの反発も予想される。【笈田直樹】

 ◇賭博罪

 刑法は賭博を禁じており、単純賭博罪には50万円以下の罰金、常習賭博罪には3年以下の懲役が科される。競馬や競輪も賭博に当たるが、競馬法など特別法で認められている。パチンコは娯楽としての「遊技」の位置付けだが、自民党の議連は利用者の9割以上が出玉を換金していると指摘する。

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