災害ごみ、生活再建圧迫 豪雨被害の京都・福知山、搬入で渋滞
大規模な豪雨被害に見舞われた京都府福知山市が大量に出る災害ごみの収集に頭を抱えている。今回は市街地の浸水被害が大きいため、量販店や飲食店などから出る多くの事業系のごみが目立ち、スムーズな収集が困難なためだ。収集作業だけで1カ月はかかる見通しで、市民からは「ごみの異臭が漂っている」などと苦情もあがっている。
事務机やいすなどが店頭、歩道に山積みになった昭和通り。市中心部の市街地で量販店などが並び、商店主らが店内の清掃に汗を流す。「汚れた商品を早くどかして店を再開したいが、持って行き場がない」。作業用品店「オオツキ福知山店」の従業員三宅伸和さん(56)は頭を抱える。
住宅街でも収集は十分に進んでいない。市街地は細い路地が多く、パッカー車や重機を使った効率の良い作業が難しいためだ。堀地区・堀口自治会の水口富喜男会長(71)は「収集車が集めに来ているが、全然追いついていない。室外機が壊れて冷房も効かない中で、ごみの異臭が漂っている」と表情を曇らせる。
福知山市は市街地を中心に計2451戸が浸水、商店など多くの事業者が被害に遭った。通常の家庭ごみの収集に加え、連日新たな災害ごみが増えているため、収集作業が追いつかない。このため、事業者には自らごみ焼却や埋め立て処分を行う「環境パーク」へ運搬するよう求めている。
しかし、これが逆にパークにつながる道路の渋滞を招いている。「車列に並んで搬入を終えるだけで2時間かかり、肝心の清掃作業が進まない」「せめて、どこかにごみの仮置き場をつくってほしい」。疲れた様子で車列に並ぶ事業主から口々に漏れる。
こうした現状を受け、19日は、災害時相互応援協定を結ぶ兵庫県豊岡市の職員が収集車など7台を走らせて作業に加わった。20日からは、福知山市の依頼を受けた綾部市や舞鶴市など府内外の11市が家庭ごみの収集を始める。
これまでも豪雨被害に見舞われた福知山市は、2004年の台風23号禍で約9300トン、昨年の台風18号禍では約3900トンの災害ごみが出た。今回も23号時に匹敵する1万トン近い量を想定している。分別や焼却、埋め立てなど処分作業を終えるにはさらに1カ月以上かかる見通しだ。
市環境政策室の中川義一室長は「市民生活の復旧を最優先するため、まずはごみの仮置き場を設けることを検討したい」と話している。
【 2014年08月19日 23時26分 】