ローマ法王:来年の訪日に意欲 アジア外交を強化

毎日新聞 2014年08月19日 11時25分

 【法王特別機中・福島良典】5日間の韓国訪問を終えたフランシスコ・ローマ法王は18日、バチカンに帰国する特別機中で毎日新聞など同行記者団との記者会見に応じ、来年中の訪日に意欲を示した。また、可能であれば在位中に中国を訪れたいとの意向を表明し、訪韓で本格始動したアジア外交を一層強化する姿勢を打ち出した。

 来年は、江戸時代末期に長崎の潜伏キリシタンが約250年ぶりにカトリック司祭と出会った出来事「信徒発見」の150周年にあたる。この機会に長崎を訪れ、日本の信徒と共に祈りをささげる可能性を問う質問に、法王は「そうなれば、とてもすばらしい」と2度繰り返した。法王訪韓中、日本司教団は改めて訪日を招請した。

 法王は訪韓中、北京から朝鮮半島にカトリック信仰を伝え、朝鮮王朝の迫害を受けながらも信仰を守り抜いた一般信徒の勇気をたたえた。バチカンのロンバルディ報道官は「日本の潜伏キリシタンと朝鮮の教会の始まりには類似点がある」と指摘している。

 また、バチカンと国交のない中国との関係改善について法王は、「教会が求めているのは布教の自由だけだ。他の条件はない」と政治的意図がない点を強調。「明日にでも(中国を)訪れたい。バチカンは中国の人々に敬意を払っており、接触に前向きだ」と述べた。

 一方、18日にソウルのミサで初めて対面した元慰安婦7人の印象について法王は「侵略下、少女時代に兵舎に連れてこられ、搾取され、奴隷状態に置かれた。いずれもむごいことだ。だが、彼女たちは今も人間としての尊厳を失っていない」と述べた。

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