【モスクワ=田中孝幸】18日付のロシアの有力紙ベドモスチは、米国と欧州連合(EU)がロシアへの経済制裁をさらに強化した場合、ロシア政府が自動車を含めた欧米産の工業製品の輸入禁止に踏み切る可能性があると伝えた。
ロシアは7日、対ロ制裁への対抗措置として欧米からの食料品の輸入を1年間禁止すると発表していた。政府当局者によると自動車の禁輸はプーチン大統領の意向により見送られたが、今後検討する選択肢の一つとして残されたという。禁輸対象の拡大をちらつかせ、追加制裁を検討する欧米をけん制する思惑もあるようだ。
ロシアの乗用車販売全体に占める輸入車の割合は4分の1程度。米フォード・モーターや仏ルノーなど多くの欧米の自動車メーカーはすでに輸入から現地生産にシフトしており、禁輸に至っても影響は限定的とされる。ただ、高級車のメルセデス・ベンツを扱う独ダイムラーには打撃となりそうだ。
一方、ロシア国内では食品不足や値上がりに対する市民の不安が高まっており、早くも欧米からの禁輸を一部見直す動きが出ている。タス通信によるとロシアのドゥボルコビッチ副首相は18日、同国との関税同盟に加盟している隣国のカザフスタンとベラルーシで加工された欧米産食品の輸入は容認する考えを示した。
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