【社説】海外通販サイトの方が安い韓国製家電

 韓国関税庁によると、今年に入って韓国の消費者が海外のネット通販サイトを通じて購入したテレビの台数が、先月末の時点で1万2000台を突破したという。昨年1年間は3400台だったことから、今年はすでにその4倍近くにまで達しているわけだ。このような形で海外から入ってきたテレビは、海外メーカーのものはほとんどなく、サムスンやLGなど韓国メーカーのものばかりだという。

 韓国の消費者が海外のネット通販サイトを通じて韓国メーカーのテレビを購入する理由は、税金や配送料などをプラスしても、国内で直接購入する場合に比べて20-30%近く安上がりになるからだ。例えばLG製の47型のテレビの場合、国内のネット通販サイトでは通常130万ウォン(約13万円)前後で販売されているが、米国のネット通販大手アマゾンではほぼ半額になる。サムスン製の60型のテレビも同様で、米国のネット通販サイトを利用すればほぼ半額で購入できる。これに関税8%、付加価値税(日本の消費税に相当)10%、配送料150ドル(約1万5000円)をプラスしても、韓国国内で購入する場合に比べて30%近く安い。海外サイトで購入した場合は設置などの作業を自分でしなければならないが、アフターサービスに関しては国内で購入する場合と大差はない。

 ネット通販による輸入はここ5年間で年平均45%以上のペースで増加しており、昨年の取引件数は1100万件を突破。取引額も1兆ウォン(約1000億円)を超えた。また海外のネット通販サイトでの購入を代行して配送までしてくれる業者も最近は増え、さらに海外のサイトもハングルによる案内を表示するなど、韓国国内の顧客をターゲットにしたマーケティングに力を入れている。

 かつて政府が高い関税を賦課することで輸入を事実上規制していたころは、韓国メーカーや流通業界は海外で安く売り、国内で高く売るという方法で十分な利益を上げることができた。ところが最近は自由貿易協定(FTA)の影響で関税が大幅に下がり、海外のネット通販サイトで1回クリックするだけで、誰もが自宅にいながら海外の商品を購入できるようになった。いわゆる流通革命が現実のものとなっているのだ。今のところ海外のネット通販サイトを通じた購入額全体の規模は、韓国国内での小売額全体の1%にも及んでいないが、韓国企業がこのような変化に対応できなければ、海外からの直接購入は今後大幅に増えるだろう。

 サムスン電子やLG電子など大手メーカーも、まずは国内向けの販売価格引き下げに取り組まねばならない。現状を放置していては、今後もより多くの消費者が海外のネット通販サイトを通じて韓国製の家電などを購入するようになるはずだ。政府もネットでの取引規制をさらに緩和して競争を促し、国内メーカーが設定した高価格を下げさせるよう誘導しなければならない。韓国国内で売られているのと同じ商品を、海外のネット通販サイトはどの程度低価格で販売しているのか、流通業界もリアルタイムで把握し、国内の消費者が不利益を被らないよう努力すべきだろう。これを怠っていては流通業界も国内の顧客をつなぎ留めることができないはずだ。

<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) The Chosun Ilbo & Chosunonline.com>
関連ニュース